『葉桜の季節に君を想うということ』
歌野晶午さんの『葉桜の季節に君を想うということ』を読みました。
騙されたけど、ちょっと伏線に気づけたのも嬉しかった!!
主人公である探偵・成瀬将虎が、様々な依頼を通じて人々と関わり、人生の深みを味わっていく物語です。
一見バラバラな事件が、次第に一つの大きな謎へと繋がっていきます。
本の概要は以下の通りです。
本の概要
以下ネタバレを含むので、もし見たくない方はスキップしてください。
1. 騙された!巧妙な展開😮
物語の始まりは、衝撃の2文字でした。
それは主人公の男性のベッドシーンという激しめのシーンでした。
一見お盛んな若くてキラキラした主人公が、青春を謳歌している場面に見えます。
その後も主人公の視点を通して、徐々に物語が進んでいきますが、その過程で予想外の展開が次々と起こります。
この物語は時系列が複雑なぶん、
「え、今どの時代?何歳?」
と、ページを振り返ってしまうことが多かったです。
結局あれあれ?という気持ちで読み進め、
最後に完全に理解できました。
結末では、それまでの出来事が一変したので、衝撃を受けました。
この巧妙な構成力が、この作品の大きな魅力の一つです。
2. 葉桜の意味
桜が散り、新緑の葉が出てくる「葉桜」の季節は、儚さや移ろいを感じさせます。
つまり葉桜とは、老いた主人公自身のことであるのですが、あえて「葉桜」と表現しているところに趣を感じました。
主人公自身は70歳前後にして、探偵です。
ガードマンやパソコン教室の先生、映画のエキストラもこなすバイタリティ溢れるおじいさんです。
桜は枯れた後も生き続けていて、紅葉になるころ見頃を迎えるものもあるという描写があったのですが、桜の見方が変わったような気がしました。
過ぎ去った時間を想う登場人物たちの感情が丁寧に描かれていました!
3. 本格ミステリー
単なる謎解き小説ではなく、登場人物たちの心理描写が非常に豊かでした。
登場人物一人ひとりが抱える孤独や葛藤が、物語の進行と共に浮かび上がってきます。
読者は単に「謎」を追いかけるだけはありません。
それらの謎を追いながら、点と線がどんどんつながっていき、登場人物の人間性が浮かび上がってきます。
それらは決して明るい過去ではなく、後悔と複雑な気持ちに溢れていました。ただ、それら一つ一つが人情味あふれるストーリーでした。
後悔の念を抱えながらも、前向きに生きていこうとする登場人物の姿が魅力的でした。
ミステリー要素と人間ドラマが融合した点が、推理小説以上のものにしていました。
まとめ
『葉桜の季節に君を想うということ』は、
本格ミステリーを味わいながらも、人生の儚さや人間の内面に深く迫る一冊でした!
意外な展開とともに、読後にはしみじみとした感動が残り、最後には前向きな気持にさせてくれます!
まだ読んでいない方にはぜひ手に取ってほしい、ミステリー好きには必読の名作です。
読んでくださりありがとうございました𓅓