読書感想「死にたがりの君に贈る物語」
死の匂い。疑心暗鬼。自分の心を守るための防衛反応。吐いた言葉に自分自身が傷つくとしても、吐かずにいられない脆さ。
壊れそうなあやうさ。すでに壊れていそうに見えるほど。
その心を救うのは愛だなんて、言葉にすると陳腐で、だけど事実なんだろう。
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愛情を受けられなかった人は、相手の愛情をたしかめるために暴言を吐くと聞いたことがある。
本当に信じて大丈夫なのかたしかめたくて、暴言を吐いて反応を見る。
離れていったらそれまで。これで離れていくなら、その愛情は見せかけだけの偽物で、信じたら傷つくから信じない。
本当は、信じたくて、縋りたくて仕方がないのに。試して、信じては疑ってまた試して。
傷つきやすい心は、自分が吐いた言葉に、相手の反応に、どんどん傷つくのに。
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そんな人たちがいると知識としてあった。この小説を読んで、その壊れそうな脆さと痛みをまじまじと見たような気がした。
最後に脆さを抱えたまま進もうとする姿には、目が潤んだ。
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