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デザイナーが2024年に買った本まとめ-02「ブランディング・防災・人文・その他」

2024年を振り返るということで購入した書籍を一覧しようと思います。第2回目は「ブランディング・防災・人文系の書籍」についてまとめました。

今年はジャンル別にして記事にしています。初回の第1回はグラフィックデザイン・工業デザイン系の書籍をまとめました。よろしければこちらもどうぞ👇

この記事は【QUMZINEアドベントカレンダー2024 https://qumzine.thefilament.jp/ 】にエントリーしています!


ブランディング系書籍

1.Brand Naming

この本とてもよかったです。ブランディングに関わる書籍は、どうしても視覚表現に焦点をしぼることが多い(それはそう)ですが、こちらは「ネーミング」を取り上げた内容。既存のブランドの名称が、どのようにつくられているか、またその成り立ちによって分類もされており、分かりやすくまとまっています。

2.ブランドギャップ

ブランディングにおけるルールを章ごとに5つ紹介。差別化、協力、革新、、、など目的や手法、具体例とともに紹介されている。

3.ザグを探せ!

2.エスセティクスのマーケティング戦略

エステティクス=感覚的経験によるデザインの重要性について説いた書籍。サブタイトル「"感覚的経験"によるブランド・アイデンティティの戦略的管理」にあるようにエステティクスという観点によって、ブランドのアイデンティティを構築、管理しようと試みる内容。
エステティクスとは、ドイツの哲学者バウムガルテンによってつくられたとのことで、企業アイデンティティの歴史やそれらを構成する要素の分類と実例なども紹介されている。出版は1988年なので、それなりの古さはあります。

3.ブランドマーケティングの再創造

4.カプフェレ教授のラグジュアリー論

5.カルティエ 最強のブランド創造経営

6.グッチの戦略

7.ブランド・ストレッチ

8.ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る

ルイ・ヴィトン、クリスチャンディオールなど欧米40以上のブランドを傘下におさめ、2023年度には約14兆の年商にまで成長したブランドコングロマリット、LVMHのベルナール・アルノー社長のインタビューをまとめたもの。

あまり(というかほとんど)メディアに露出することがないため、LVMH社の創設やブランド買収と再構築、経営戦略と哲学など他では聞くことのできないブランドビジネスについて学ぶことができます。こちらもやや入手が困難なのが難点ですね、、、、

人文系書籍

9.メッセージ分析の技法

著者のクラウス・クリッペンドルフは『意味論的回転 デザインの新しい基礎理論』が広く知られていますが、それより前に表されたのが本書。データを物理的事象の集まりではなく、シンボリックな現象として分析する技法、「内容分析」についてまとめられています。

10.イタリアのテリトーリオ戦略

11.人生のレールを外れる衝動のみつけかた

12.遠読

13.あなたへの社会構成主義

14.理解の秘密

TEDxにも関係の深いリチャード・ワーマンの著書、『理解の秘密』。図版も多くて分かりやすくまとまっています。

15.記号創発システム論

16.ロラン・バルト モード論集

ファッション雑誌に書かれたコピー、例えば「アクセサリーが春を呼ぶ」という言葉に着目し、そのアクセサリーのデザインに、「春を呼ぶ」要素があるのか、といった記号論的な観点で読み解く研究ノートなどがまとめられた論集。タイトル通り、非常に著名な著書の『モードの体系』にまつわる対談なども。

16.創造性はどこからやってくるか

科学者のイメージでしたが、「創造性」に焦点をあてた本書もとても興味深いです。トラウマを創造性と結びつけ、そうした「創造性」がどこからやってくるか、という問に自身の経験を交えながら答えていきます。

本人の言葉ではないですが著書内で引用される「創造者は完成の瞬間がわかる」という視点が非常に考えさせられるものでした。

17.認知症世界の歩き方

報道でもよく聞くようになった「認知症」というキーワードだが、この本を読むまでは正しく理解していたとは言えないなと思いました。具体的な症例を、分かりやすい実例とイラストをもとにまとめてくれていて、読みやすいです。また「ミステリーバス」や「トキシラズ宮殿」など、症状によって生じる実態をイメージしやすい比喩によって見出しにしているのもよかったです。

18.SIZE(サイズ)- 世界の真実は「大きさ」でわかる

プロダクトデザインを行う際、モノのサイズは非常に重要ですよね。

ペットボトル飲料のボトルの径や、カトラリーの長さなど慣例的に収束するサイズがあるなど普段の生活を見回してみても興味深いです。そういった「サイズ」に着目し、様々な例を紐解きながら分かりやすくまとめられています。

生物学や経済学、心理学などの知見を駆使して「大きさ」を考える教養書。

19.スケール 上- 万物を支配する「大きさ」の法則

20.スケール 下- 万物を支配する「大きさ」の法則

生物や都市、賃金など身の回りで観察できる様々事象のなかに、共通のルールを見出し、具体例と共に紹介してくれる。帯にあるように「哺乳類の大きさが2倍になると、心拍数は25%減る」といった事実は非常に興味深い。

21.1死後の恋

夢野久作は『ドグラ・マグラ』しか知らなかったのですが、こんな短編集もあったのですね。このタイトルにもなっている『死後の恋』も非常に面白く、ややサスペンスにも読めるストーリーで面白かったです。

22.ユリイカ 2024年11月号 特集=松岡正剛 1944-2024

残念ながら今年8月に逝去された松岡正剛特集のユリイカ。氏と関係のある様々な方が寄稿しています。僕のデザインの師匠である川崎和男先生も文を寄せており、久しぶりに文章を読みました。
(視点は全く異なりますが大塚英志氏の文章も読み応えのあるものでした。)

23.アイヌの世界観

24.中動態の世界 意志と責任の考古学

25.多元世界に向けたデザイン

26.芸術の記号論

27.デザインにできないこと

28.まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書

頑張って(博士)論文書きます。

29.図とイラストで学ぶ 新しいスポーツマネジメント

30.現代スポーツ評論51 特集:地域スポーツの現在

31.思想 2024年10月号

防災系書籍

32.環境や福祉、防災 (改訂版 NEWマーク・記号の大百科)

33.にげましょう

34.BIOCITY 61号 防災・減災のためのエコロジカルデザイン

35.日本の防災、世界の災害- 日本の経験と知恵を世界の防災に生かす

36.コミュニティ防災

37.フェーズフリー 「日常」を超えた価値を創るデザイン

38.フェーズフリー コンセプト&ガイドブック

39.フェーズフリーデザイン事例集 Vol.00

40.フェーズフリーアワード 2022 報告書

その他

41.80年代オマケシール大百科

懐かしい、小学生の頃を思い出すおまけのシールのデザインがほぼ一覧できて、個人的にとてもよかったです。当時は意識出来なかった細部の比較やおまけシールが廃れていった理由など多様な観点からまとめられています。

42.昆虫 新版 (学研の図鑑LIVE)

昆虫の図鑑としては初めて、生きた状態を撮影した写真によってまとめられているとのこと。死んでしまうと脚が閉じるようで、本来自然の中にいる時と同じ(生きている)状態が見られます。面白いです。

43.絶対に住民に伝わる!公務員のためのSNS・動画・ホームページ 新しい広報の教科書

44.宝石の国 13巻

作品としても好きですが、付録の冊子の製本がすさまじいとのポストをみて購入しました。すさまじいです。
写植時代を思わすような斜体のかかったタイトルがいいですね。精密なイラストと(鉱物による)詩などが収められています。創作の観点やまとめかた、本としての体裁など非常に参考になる内容です。

45.百年の孤独

ずっと気にはなっていたのですが、ハードカバーしかないので横目に見ながら見逃していた作品。文庫化するということで発売日に買いに行きました。こちらもあまり普段読まないような文化圏の物語です。著者はコロンビアのジャーナリスト、小説家であるガブリエル・ガルシア=マルケスで、魔術的リアリズムの旗手として文学界に多大な影響を与えたとのこと。1982年にノーベル文学賞受賞してるんですね。
架空の都市マコンドを舞台に繰り広げられる一家の隆盛と滅亡を描く。読みやすいが、独特の感情・身体表現が興味深く、不穏な空気感がまとわりつくような印象もあって面白い。(一族を描いたということで登場人物の名前がどれも似ている、というのがやや難易度が高いところですね。)

46.すべての、白いものたちの

2024年のノーベル文学賞に選ばれた韓国の作家 ハン・ガン氏の作品。受賞報道直後はどの書店でも売り切れていてなかなか手に入らなかった記憶があります。年末になってやっと棚で展開するのを見かけるようになりました。
あまり韓国文学に馴染みが無かったのですが、読みやすく独特な視点が面白いです。

47.引き出しに夕方をしまっておいた

48.夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録

ユダヤ人としてアウシュヴィッツに囚われ、奇蹟的に生還した著者、フランクルの「強制収容所における一心理学者の体験(原題)」。昔読んだ気がするんですが、新装版になって表紙のデザインが変わってしまったため買わずにいました。まだこの昔の表紙デザインのものが売っていたのでこれを機に購入。
関連したテーマですが、『関心領域』という映画も今年みました。この『夜と霧』に書かれたようなナチスの所業を(環境)音だけによって際立たせるアイデアと、当たり前かのように振る舞う冷酷な人々が印象的でとても良い映画でした。

49.事業構想を「書く」 ビジネスモデルを可視化し新規事業開発を加速させるフレームワーク

こちら著者の方にご恵贈いただきました『事業構想を書く』。新規事業開発におけるプロセスを、自身の経験、知見から体系的にまとめフレームワークとして分かりやすく書かれています。特に「書く」という言葉がタイトルにもあるように、手を動かすことの重要性が強調されている点は、デザイナーとしてもとても共感する部分でした。


おわりに

ということで2024年に購入した本のなかでもブランドや人文系などをまとめてみました。デザイン系以外の本をまとめると、その人間の人となりが垣間見えるような気がしますね。

デザイナーのみなさんは普段どんな本を読んでいますか?
Balloonではこんな企画もしていますのでよければ皆さんの本棚も見せてください。

わたしたち Balloon Inc. では、デザインやブランドにまつわるリサーチ、シンボルマークのグリッド分析、など様々な記事を掲載しています。ぜひぜひこちら👇もご覧下さい。

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