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欧州トレイルGR20を歩いてみた【2】

この夏、地中海にあるコルシカ島を横断する有名なトレイルGR20を一人で歩いてきた(北半分だけ)これはその感想文の続きです。

計画準備編は別に書きました↓


【3日目】Refuge de Carozzu — Refuge Haut Asco

3日目

たったの5km。されど5km。アップダウンが激しすぎて、膝がガックンガックン。

みなさん朝がはやいこと。ヘッドランプは必需品ですね

朝を制すものはその日を制すのは離島の山歩きではマジで正論です、ええ。

朝ごはんは、持参したオートミールに水を入れて食べたのち、さっそくゆっくり歩き出す。今日は前半登り、後半降りで至ってシンプル。

だいぶ岩登り要素が高いのが、GR20の難易度が高い理由なのかな、ってほど岩登りであった。雨が降っていたら絶対歩きたくないルート。ツルッツルだ。

ひたすら岩
つるっつる
にしても朝焼けが綺麗すぎる
浮石が多くて、降りもつらい

たったの5kmなのに、8時間くらい歩いた気がする。下りが時間かかった。(足首のせいにしておこう)

Refuge Haut Ascoは冬はスキー場でもあるため、一応道路も走っており、ちょっとファンシーなホテルとレストランもあったり(カード支払い可能!)ここで、オシャンティーなランチをイタリア人カップルと頼んだ。ホテル内のショップにはフルーツ!!!が売っていたり、パン・オ・ショコラ付きの朝食が頼めたりと、ちょっと贅沢できる。

この晩は、Refugeのドミトリーを予約しておいた。予約すると値段が半額になる。人も少なかったため、一人で一部屋使わせてもらった。

一部屋独り占め、うふふ
テントを持参している人はRefugeの小屋周りにテントを張り、シャワーやキッチンなどの施設は小屋のを使う感じです。

今日の夕食では、ベルギーの医大生とイギリスの医大を卒業したイタリア系スイス人が医大制度の違いについて議論していた。

今晩の夕食もパスタ。コルシカ島名物の子牛の肉煮込みのパスタ。激うま(ただお腹すいてただけ?)

この日は、ルート説明会も(inフランス語)。おおまか理解できた自分の語学力に感動。実は、2015年に土砂崩れで死者が出たのが4ステージ目のCirque de la solitudeというルート。今は別ルートが主要ルートになっており、旧ルートを歩きたい場合はガイド付きが義務付けられている。それの説明会兼トレイル前半の質問会的なもの。

この日は、ばっちり充電もでき、3日ぶりに電波も通じ、美味しいご飯もたらふく食べて幸せにひたった。新しい友達もできた。心配なのは4日目。

【4日目】Refuge Haut Asco via Monte Cinto — Bergerie de Ballone

辛い1日だった。

4日目

この日の予想行程時間は12時間だったため、わたしは朝2:30に起きた。と言っても、緊張して寝れなかったのが正直なところ。4時には行動開始。暗すぎて全くトレイルの続きが見つからず、結局4:30歩き始める。

白い点々はヘッドライト
登りがきつすぎる

登りが細かな浮石ばかりで一歩進んでは半歩滑り落ち、また一歩進んでは滑り落ち、の繰り返しで前に進まない。寝不足のせいか、力も出ない。また、トイレ最中に岩で膝をパックリ、血がどばっとでてきて朝からハプニング万歳。

ここからMonte Cintoピストン

もともとはMonte Cinto(コルシカ島最高峰)に登るつもりはなかったものの、100mアップだし行けるか!なんて軽い気持ちで臨むのがいけなかった。ほぼ手を使った岩登り。もはや登山ではない。

Monte Cintoまでの道は意外とアップダウンが激しく、ほぼ岩登り

オランダ人二人組と一緒にピストンした。二人は大学時代のサークルの先輩と後輩。法律を勉強してたんだって。サークルのステッカーを頂上で貼っていて、楽しいアイデアだな、なんて思ったわたし。

Monte Cintoピストンは往復2時間半くらいかかった。そこからの下りもエグすぎ。

火星ってこんなとこなのかな

途中、右膝が悲鳴を上げてきた。寝不足はやはりきつい。しっかり寝ることの大切さを思い知った。

当初の予定はRefuge Ciottulu di i Moriまでいく予定だったが、Refuge Tighiettuで力が尽きた。すでに夕方5時を回っていた。すると、Refuge Tighiettuはいっぱいとのこと。予約なしでは泊まれないと言われた。仕方ないので、30分くだったさきにあるBergerie Balloneまで歩く。もうへとへと。

Bergerie Balloneに近づくと、聞き慣れた声がするではないか。

イタリア人カップルのEの声!このアクセントは間違なし!!!

「おおおおお、いっぽ!待ってたんだよ!いっしょに夕食食べよう、ほらほら、席とっておいたよ。」

そんなふうにEに言われておもわず泣きそうになってしまった。

優しいいいいい(半泣き)

Bergerie Balloneは私営のせいか、サービスがRefugeより圧倒的に上だった。まず、ガーディアンが超絶フレンドリー。汗だらけの私をめちゃくちゃハグしてくれた(笑)そして、夕飯が美味しすぎて意識失いそうな勢いで食べた。

夕食後はテーブルごとに一発逆的なジョークを言う謎のアクティビティがあって、フランス語でいまいちジョークがわからなかったけど、とにかく心がほかほかした夕飯であった。

スターター
メインのシチュー

【5日目】Bergerie de Ballone — Refuge de Manganu

個人的にお気に入りの日。長かったけど(30km!)最高に素敵なルートと最高に素敵な出会いと、超充実。きつさは距離じゃないんだなと実感。

5日目

ワインを飲んだせいか、疲れ果てていたせいか、ぐううううっすり眠れた私は元気100%で朝を迎えた。

朝食はイタリア人カップルと一緒に食べることを約束していたため、うきうきして起きた。準備は私の方が早く済んだので、先に出発することに。

最初の登りは少しきつかったけれど、途中フランス人Aと出会い、話しながら歩き出してからはあっという間だった。彼は、フランスのノルマンディー出身で川で仕事をしているらしい。英語とフランス語を混ぜた会話はなぜか新鮮。

昨日の晩の宿であったはずのRefuge Ciottulu di i Moriまでの登りを終えると、そこからの緩やかな下りは、

わたしはこういうのを待っていたの

もう最高すぎ。

の一言。幸せすぎた。美しい。広い草原を駆け抜ける感じ。開放感MAX。

ひろおおおおおい

No more 岩場。No more 鎖場。No more がれ場。
神様、ありがとぅうううううう

川も流れていて、素っ裸で飛び込んでいるハイカーを見かけたり。
きっもてぃいいいいいい

水はいのち

途中、お腹が減ったのでBergerieでチーズパンケーキを注文。そしたら、

「おおお、いっぽじゃないかああああ!もう会えないかと思ってたよ。でも、ドイツ人の二人組にいっぽを見かけたって情報もらってさ、会えるかななんて思ってたんだ!」

なんと、イタリア人カップル登場!感動の再会。

コルシカ名物、山羊のチーズのパンケーキ

嬉涙。

わたしは、急ぎだったので、ここからさらにもう1ステージ歩くことに。川の技術士Aと彼の愉快な仲間たちにくっついて残りの行程を歩いた。

川の技術士Aと愉快な仲間等(Feat. Great Daddy)

本当に愉快すぎる仲間等。フランス語のジョークはいっさい理解できず(理解できなくてよかったかも笑)でも、大学の登山サークル時代を思い出すような、そんな雰囲気。ワイルドな4人組だった。

Lac de Ninoまでの登り
夕方。疲れがたまる。
Lac de Nino。泳ぎたかったけれど、汚すぎた。。。
最後の数キロはVとKと。やっぱりカップルで歩くってロマンあるわ

Refuge Manganuに着く頃にはすでに夜8時近くになっていた。すると、声をかけられる。

「夜ご飯は食べた?」

と声をかけられた。お腹がものすごくすいていたが、すでに山小屋のレストランは終わっていたため、オートミールでしのごうなんて思っていたところ。

「もしよければ、わたしたち大量のパスタを作ってしまったから残り食べない?一応ロゼワインもあるんだけど?」

マルセイユから来たカップル。わたしが一人で歩いているのを見ていて気にかけていてくれたらしい。

神様ーーーー!!!

てことで、遠慮なくパスタをいただくことに。LとVは山歩き好きで、でも双子のお子さんが産まれてからはなかなか長期でハイキングができてなかったとのこと。今回初めて実家にお子さんたちを預けて二人でハイキングに来たんだとか。

「今は何をしているの?」

そんなふうに聞かれて、いやあ、ベルリンで働いてたんですけど今ちょうど次の仕事探し中でニートなんですよ(笑)なんて答えたら

「わたしたちもね、一度ふたりとも仕事やめて一年くらい放浪したわ。中央アジアや南米の山、たくさん登り歩いたのよ。」

なんてかっこいい夫婦なんだ。。。

完全にロゼに酔っ払い、その日は就寝。いい出会いの多い、いい1日だったなあ。

【続く】

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