
【読書記録】宿命
こんにちは。ベビーシッターのアサミです。
本年もよろしくお願いいたします。
新年最初の読書(正確にいえば、年末から時々読んでいた)は、東野圭吾さんの【宿命】という小説でした。
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。
男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代
ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
読書好きの長女が、勧めてくれた本でした。
伊坂幸太郎さんの小説が好きな私が伊坂小説を娘に勧めたらあっという間にほぼ全巻読んでしまっていて、そこにあるミステリーの面白さにはまった彼女はこれを読んで
「伊坂さんほどではないけど、“繋がる”からおもしろいよ。最初がしばらく長くて、最後が急に繋がる。」
と言っていました。
私はいつも本を読み始めると、彼女のいう「最初」の部分はやたらと寝落ち(寝る前に読書をすることが多いので)をしてしまい、先に進まず数日〜数週間かかってしまうことも(笑)
そこから後半の展開になり謎が紐解けていくと、最後まで知りたくてあっという間に読み終えてしまいます。
他のことが手につかなくなるくらい没頭してしまい、家族から声をかけられても耳に届いていないこともしばしば…。
今回も、急展開で昨日からラストスパートをかけた走者のように後半に入ったらあっという間に読んでしまいました。
この「宿命」を読んで、途中でこの本が書かれた年が気になり調べてみると、
1993年第1刷発行
2023年12月第123刷発行
となっていて驚きました!
令和の今にはあたり前になった携帯電話やインターネットなども、1990年にはまだ一般的には使われていません。小説内で戦後の話にも触れていますが、戦後のイメージが1990年と、いま2025年ではだいぶ変わってきます。
現代との違い想像し、どこか懐かしいような情景を想像しながらも読み進めてきたこの本。
本の中では、犯罪や常軌を逸した研究など鳥肌の立つような内容にも触れていましたが、現代それももはやフィクションではないのではと心の中に砂嵐が吹き込むような感情も生まれましたが…
宿命とは、“生まれる前の世から定まっている、人間のさだめ”という意味の言葉のようです。
この話に出てくる人物はみな、壮絶な人生を過ごしながらもブレずに己の道を進んでいたというところが読み終えた後の私にとって清々しい気持ちにさせてくれ、感想を書きたい気分にさせてくれました。
あとがきを読むと、筆者の1番気に入っている意外性はラスト1行だそうです。(先に知らなくて良かった〜!)
いま起きていることに対して、「こういうことになる運命だった」とか、「自分にはこういう宿命があるんだ」とか、「こういう星の元に生まれてきたんだ」とか、目の前の事実に対して好都合な理由づけを、自分の気まぐれでしてしまうことがあります。
最近の自分は物事を良い方向に捉える練習が成果を上げてきたので、昔ほど何かに一喜一憂することも少なくなりました。
それでも、メンタルが弱っているとき等には、何かに理由づけをして自分の心を守りたくなるときがあります。弱音を吐いたり、機嫌が悪くなったり、人に対して気を遣わせてしまうことも。そしてそれが自分でも分かっているから、自己嫌悪に陥ってしまう。
同じような方もいると思います。
この宿命という本に出てくる人々は、自分に正直で、もちろん良い感情も悪い感情も持っているのですが人としてすてきでした。自分のことだけを考えているように思える内容も、実はそうではなかったということが段々分かってきます。
私も、いくつになっても色々な感情と向き合いながら自分が自分らしく穏やかに過ごせるために奮闘しています。
この歳になってからこの本に出会えて、“今の私”だから本を読みながら想像を楽しむことのできる部分もあったと思います。
私にとっての宿命とは何かはわからないです。今の気分は、それを考えたくない。
プライベートは、気分屋なので。
(余談。私はなぜか、コーギーという犬種が好きで、コーギーの写真や動画を見るととてつもなく心が癒されるのですが、これはどうしてなのでしょう?)
それでは、また。