見出し画像

【コロナ奮闘記】 暴れる患者さんとの戦い編

私のコロナ病棟奮闘記。
せん妄、不穏という言葉をご存じでしょうか?
コロナによる高熱や病室に隔離されているという特殊な状況。
そういった状態や環境の変化によって引き起こされることがあります。

子供や高齢者に多いですが、状況によっては成人にも起こりうるものです。
普通の病棟にいるときも、せん妄や不穏との戦いは日常茶飯事ですが・・・コロナの時は、さらに大変でした。

まず病状について。
コロナといえば、発熱。解熱剤の投与を行っても、なかなか下がり切らない熱。
熱でぼーっとしている状態ではせん妄が起こりやすい。

そして環境。
せん妄予防として、環境を整えることが大事です。
例えば自宅で使っていたカレンダーや時計、身の回りの物を置いたり、
日中に散歩などで気分転換を図ってもらうことで昼夜のメリハリをつけてもらったり。
そういう普段医療者が普通に行っている環境調整がコロナ病棟では難しい。
隔離しないといけないため、患者は自由に外を歩けない。
持ち物についてもいろいろな制限があったり・・・
家にいるときと似た環境にはどうしても近づけにくい状況です。
しかも医療者側は感染防護服を着用しているので、顔が見えない。
たぶん患者さんからしたら実験体にでもなった気分だったと思う。

そしてコロナ病棟に入院する患者さんは基礎疾患を持っている人が多かった。そのため、点滴を引っこ抜いて血だらけになったり、暴れたり、戦場のような状態になることもありました。
もちろん定期的に訪室したり、声掛けをしたり、可能であればご家族とzoomなどで面会をしてもらったり、いろいろな対策を行っています。
それでもなかなか避けきれないんです。

部屋から出たいという患者さんの(当たり前といってもいい)希望に沿うことができないのは心苦しかった。
どうしてここにいないといけないのか、コロナで入院していることを説明してもわかってもらえず、せん妄状態ではコミュニケーションもままならない。
恐怖心で患者さんは暴れる。必死に逃げ出そうと、医療者に手を出すこともしばしば。
状況を考えれば仕方のないことで、患者さんは悪くない。
けれど医療者側からするとたまったものではない・・・😥

ある日交通事故の若い患者さんが運ばれてきました。
飲酒状態、コロナによる高熱、交通外傷。
患者さんはそもそも自分が事故にあったこと(家から出たこと)もわかっていなかった。
でも気づいたらベッドに寝かされていて、防護服を着た人に囲まれて、体中が痛い。
骨折しているから、思うように体が動かせない。
高熱でぼーっとしている&かなり酔っぱらっているから、コミュニケーションもうまく取れない。
お互いに、最悪の状況でした。

点滴をすること、処置をすること、汚れた服を着替えること
やらないといけないことはたくさんある。
でも若くて大柄で、恐怖と痛みで大暴れする患者さん。
勤務していたメンバー全員で抑えながら、なんとか可能な限り処置。
もう殴られまくるし、蹴られまくるし、(コロナなのに)唾を吹きかけられまくるし、嚙まれそうになる。
処置に信じられないほどの時間を要しました。

1時間ほどの格闘(というと語弊がありますが)を終えて、
自分たちの体があざだらけになっていることに気づきました。
汗だくで全員呼吸困難、息切れ状態😩
昔のアルバムをみていたら、掌にあざができている画像を発見。
体を押さえてた子に手を上げようとしているのに気づいて、止めようとしてパンチを掌で受け止めた時のあざです・・・

殴られた掌💀

こんなこともあったなあ。辛かった。
今でこそそのくらいの気持ちで振り返ることができるけど、
あの頃は本当に、出勤する日が辛くて辛くて。

まれに起こりうることだったけど、その患者さんが一番パワフルだったので
すごく記憶に残っている。
結局酔いがさめて、熱が下がるころには、本人は何もかも覚えていなくて、
私たちは傷だらけの状態で苦笑いするしかなかった。
今になって思うと労災の申請とかできたのでは・・・?とも思ってしまう出来事でした。笑


いいなと思ったら応援しよう!

ばぶさん
よろしければ応援してください(*'ω'*) 頂いたチップは自己研鑽、旅行に使わせていただきます♡