コロナ奮闘記 患者さん対応で大困惑。メンタルがやられる編
私のコロナ奮闘記です。
感染症病棟に配属が決まり、異動となってすぐの話。
感染症病棟はとにかく制限がきつい。
患者さんは一度入院したら、それ以降病棟から出ることはできない。
症状が強く出てしまい、入院を余儀なくされる方もいれば、全く望んでいないのに入院をせざるを得ない方もいる。
例えば人工透析をしている人。
コロナが浸透してきた最後の方は、感染患者向けの透析部屋が確立しました。
でも最初の頃はたとえ症状がなくても、近くの透析病院が感染患者を受け入れることができず、
透析をするために入院を余儀なくされることがありました。
それ以外にも、様々な理由で望まない入院生活を強いられる人達がいた。
症状が強くて入院をした人でも、徐々に状態が改善すると
どうしても欲しいもの、やらなきゃいけないことがあり、早く退院したくなることもあります。
最初の頃は潜伏期間・症状が安定する期間は入院を継続しなくてはいけなかったので、
本人的には元気な状態でも検査で陰性を確認するまで、もしくは解熱して症状が改善してから数日など
いろいろな条件をクリアしないと退院ができない制限がありました。
調子が良くなったから、帰りたい。
もう咳も熱もないし、息が詰まるから外に出たい。
そういう気持ちは痛いほどわかるけれど、国や県、病院の規定に沿った対応しか私たちにはできません。
イライラが増してくる患者さんの苛立ちのぶつけ先が私たちになることもしばしばでした。
時には暴力を受けることもあった。
逆に悲しくなって、落ち込んでしまう患者さんもいた。
ようやく退院できる、となっても患者さんたちのイライラは収まらない。
「よくこんなところに閉じ込めてくれたな!」
「あーせいせいする!」
「マスクしてばい菌みたいな扱いしやがって!今すぐそのマスク外せ!」
別に感謝されたいわけじゃないけど、こういう言葉をかけられることも多くて気持ちはどんどん萎えました。
私たちが閉じ込めたわけじゃない。でも分かってもらえない。
ちなみに感染防護具を装着するとN95マスクで鼻が痛いし、暑いし、苦しい。
できる限り短時間でレッドゾーンから出て、次の入室に備えて体調を整えたい。
だけど怒っている患者さんや、悲しんでいる患者さんを放置していくわけにもいかない。
私たちはサンドバック。私たちはサンドバック。
そうやって心を殺すことでなんとかやっていました。
患者さんの気持ちを受容して傾聴することができればよかったけど、
こちら側も望まぬ業務でここまで暴言を吐かれるとメンタルにくる。
そんな中で印象に残った出来事。
数日前から退院を強く希望されていた患者さんがいました。
たしか自動車講習を受けたいとかなんとか。
それってそんなに大事?そもそも自動車講習なんてコロナでその日にすぐ受けることなんてできませんよ。事情を説明して猶予期間をもらえばいいのに。と思ってしまうけど、人によって物事の重要さは違うもんね・・・
でもなかなか検査が陰性にならず、保菌の状態では帰らせることができなかった。
段々イライラが強くなってきて、部屋に入ると罵声を浴びせられたりするため、入室の際は要注意と言われていました。
感染病棟には清掃業者も入れないので、毎日の環境整備は病棟スタッフで担っていました。
その日私は朝から掃除。床を専用消毒モップでせっせと掃いていた、ら。
ガラガラッ!!
突然病室の扉が開いてその患者さんが出てきた!
受け持ち看護師が「やめてください!」と叫んでいる。
すごい勢いで走ってきて私と対峙。
私は状況が分からず、?を浮かべていました。
「どけ!あほが!ぼーっとしてんなよ!死ね!!!」ドンッ
私、生まれてはじめて、初めて出会った人に死ねと言われて
どつかれ、突き飛ばされた。
人間突然訳の分からないことが起きると完全にフリーズするんだなって思った。
私の周りだけ時が止まった感じだった。
結局その方は強制退院という形で家族に自宅待機を見張ってもらうように厳重注意して病棟に戻ってくることはなかった。
それ、許されるんかーい。
あの方、絶対自宅待機なんてできんやん。
というのが病棟スタッフ全員の気持ちだったと思う。
強制退院という形が許されるなら、そういう扱いしたかった人たくさんおるわい。
ちょうどその頃愛知県では俺コロナおじさんのニュースが出ていて
地元でお世話になっているにも関わらず愛知県民のことが大嫌いになった。
ちなみに私は、どうして脱走する患者を止められなかったのかと
後で上層部に怒られた。やっとれんわ・・・と大泣きした😭