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週刊ヴェルデ

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短めのエッセイを、週一回を目標に更新。
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#浮世絵

浮世絵展の切り口

北斎、広重、歌麿、写楽、国芳、春信… … 
浮世絵師のビッグネームといえば、こんなところだろうか。
浮世絵についての展覧会といえば、だいたい彼らの作品が集まる。
北斎の〈神奈川沖浪裏〉を、私はこれまで
いくつの展覧会で見てきただろう。

たが、絵師一~二人に焦点を当てたものにせよ、有名どころを集めた大規模なものにせよ、展覧会の主役となるのは、絵師であり、商品として完成され、江戸に流通していた彼らの

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鳥文斎栄之という男~鳥文斎栄之展@千葉市美術館から

鳥文斎栄之という男~鳥文斎栄之展@千葉市美術館から

浮世絵で美人画、といえば誰が思い浮かぶか?
この質問に対し、多くの人は歌麿の名前をあげるだろう。
バストショットで捉えられた女性たちの様々な仕草や表情は、まさに彼の観察眼の賜物、とも言えようか。
歌麿が数多くの画家の中でも抜きん出た存在となっているのは、このバストショット、つまり「大首絵」を取り入れ、美人画の新たな境地を切り開いた「パイオニア」としての功績もあるだろう。
そんな歌麿と同時期に活躍し

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徒然日記~広重のこと

私にとって、歌川広重という人物のイメージは、長く作品の向こうに埋もれていた。
どんな人物なのか。
何を思って生きたのか。

執筆のために今回調べるまで、全く見えなかったし、見ようともしなかった。
が、蓋を開けてみて感じたのは、他人事とは思えない。
武家の長男に生まれた時点で、彼の将来進むレールは敷かれており、13歳、現代なら中学生の年齢で、大人の仲間入りをせざるを得なかった。
絵への思いを諦めきれ

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立ちはだかる壁に対して、何をする?~広重の場合

立ちはだかる壁に対して、何をする?~広重の場合

緊急事態宣言に伴い、美術館や博物館の多くが休館になった。

今日から開催されるはずの、「北斎と広重」展も、明日からは見られない。

何でこんなことに……。

(ちなみに私のいる図書館は、期間中のイベントは全て中止だが、他は通常通り……正直イラッと来るが、その苛立ちを書く方に向けていきたい)

北斎の「富嶽三十六景」を中心に据えながらも、同時代に生きた後輩絵師・広重の視点から展覧会の流れを組み立てて

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