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徒然日記

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#アンソロジー

短編小説読書メモ7~8本目ーーー近藤史恵『ここにいるぼくら』、辻村深月『ご縁の心得 ツナグ』

短編小説読書メモ7~8本目ーーー近藤史恵『ここにいるぼくら』、辻村深月『ご縁の心得 ツナグ』

アンソロジー『料理をつくる人』を読了したので、新しいアンソロジーへ。
今回のテーマは舞台。舞台と一口に言っても、ミュージカル、バレエ、2.5次元など多種多様。
トップバッターを飾るのは、2.5次元を題材にした近藤史恵さんの『ここにいるぼくら』。

漫画やゲームが原作の物語を舞台演劇として上演する2.5次元というものを、私は見たことがない。
『キングダム』や『ゴールデンカムイ』の実写映画は見たことが

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短編小説読書メモ6本目~越谷オサム『夏のキッチン』とアンソロジー全体について

短編小説読書メモ6本目~越谷オサム『夏のキッチン』とアンソロジー全体について

越谷オサム『夏のキッチン』で、アンソロジー『料理をつくる人』をようやく制覇!
忘れないうちに書いておく。
最後の話は、初めての料理に挑戦する小学生の男の子の話。
包丁の代わりにピーラーで人参を剥いたり、その途中でケガしたり、と苦戦しながらも、母のアドバイスを受けて、どうにか完成させる。
そして、終盤である事実が判明する。
この話の舞台設定が夏になっているのも、このオチが余韻をもたらす効果を強めてい

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短編小説読書メモ5本目~織守きょうや『対岸の恋』

短編小説読書メモ5本目~織守きょうや『対岸の恋』

短編小説50本読破プロジェクト、5本目は、織守きょうやさんの『対岸の恋』。(出典は、アンソロジー『料理をつくる人』)
それぞれの姉と兄が結婚したことで、縁戚となった大学生と高校生の関係性を描いた話。
彼らの関係を一言で言うなら、「同病相憐れむ」といったところだろうか?
似たところがあるから惹かれ合うように見えて、その「似たところ」、「共通点」にある物が含まれているからこそ、二人は進展しないし、平行

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短編小説4本目 秋永真琴『冷蔵庫で待ってる』

短編小説4本目 秋永真琴『冷蔵庫で待ってる』

アンソロジー『料理をつくる人』もいよいよ後半に突入した。
四人目は秋永真琴さん。また初めて読む作家さんだ。
ここまで来て、このアンソロジーの主役が「料理」ではなく、「料理をつくる人」と気づく。
料理をつくる、と一口に言っても様々なシチュエーションがある。
仕事として他人のために出す料理を作る場合。(作る側が主人公か、そうでないかでも違う)
そして、自分のために自分の食べるものを作る場合、つまりは自

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3本目 深緑野分『メインディッシュを悪魔に』

3本目 深緑野分『メインディッシュを悪魔に』

アンソロジー『料理をつくる人』から三本目、深緑野分さんの『メインディッシュを悪魔に』。
地獄の王サタンがニューヨークに登場する、という設定に、ドラマの『ルシファー』を思い出した。
前の二作がほのぼの現代(日常の謎)、ホラー風味なら、今回はダークファンタジー風と言うべきか?
スルスル読んでいけるかと思えば、途中でちょっとしたどんでん返しもあるのが、まるで隠し味のスパイスのよう。(ちゃんと伏線は張って

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短編小説読書メモ1~2本目

短編小説読書メモ1~2本目

短編を沢山読むプロジェクトがスタート。(↓参照)

とりあえずの目標は50本クリア。
ということで、1~2本目を。
読んだのはこちらから、最初の二編。

西條奈加さんの『向日葵の少女』と、千早茜さんの『白い食卓』。
どちらも名前は知っていたものの、初めての作家さん。
『向日葵の少女』は、神楽坂を舞台にしたシリーズの一編らしい。過去の記憶と現在とが温かく入り雑じる、ほのぼのした作品。
続く『白い食卓

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