閲覧注意!! カラヴァッジョ作 ホロフェルネスの首を切るユディトは三枚ある!!
まずは下の画もご覧いただきましょうか。
悪趣味…… そんな声も聞こえてきそうではある。苦手…… ふむ。それは仕方がない。人間だれしも得手不得手はある。一見すると夢に出て来て魘されそうな塩梅も滲むのだが…… 。
タイトルサムネイル白のユディトの美しさを見給え。あの迸るようなエロスの輝きを。
星と月は美しい。確かに美しい。しかし魂をうち震わせる人間の姿には及ばない。
さて、この二枚の画。イタリアが生んだ鬼才、光と闇の魔術師 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴアッジョの代表的な作品の一つ。
画のテーマは、旧約聖書外典「ユディト記」の一節をモチーフに画を描き上げたもので、タイトルは「ホロフェルネスの首を切るユディト」。
実はこの画、もう一枚あるらしいというから楽しみこの上ない。
わたしはこの画を題材にした小説を今を遡ること4年ほど前から書いている。簡単に申し上げると、白バージョン黒バージョンの二枚の作品は世に出ている。さてでは、最後にみつかり出てくるはずの1枚は何色バージョンなのか…… 。
二人の女と一人の男の物語が展開される。
舞台はフランス・トゥールーズ、ニース。イタリア・ジェノヴァ、ミラノ、ローマ。
三枚の画が揃ったとき、その順番はどの様に並べられるべきなのか。
白が先か… 、黒が先か…… 、はたまた違う色が先なのか。
あなたならカラヴァッジョは何色のユディトを描いたと考えるでしょう。
カラヴァッジョはなぜ三枚の"連作"を描く必要があったのでしょう。
白のユディトは肌が薄っすらと紅潮を見せ、乳頭にまでその兆候が覗える。性的ではないにしろ、興奮状態にあることは確かなようだ。
もう一つ。ユディトの耳に注目すると真珠に黒いリボンがあしらわれたイヤリングが見えるのだが……
実は旧約聖書外典版・ユディト記の書かれた紀元前においては、女性を装飾するアクセサリー、リボンはまだ登場していないのである。
リボンが登場したのはローマ時代。主に君主への忠誠を誓う証の一つとして使われ始めるようになったと伝わる。女性たちを装飾するようになったのは主に8世紀以降になってからなのだ。したがって、カラヴァッジョの画の中には、時代考証上の矛盾点が存在することになるのである。
リボンのイヤリングにいたってはルネサンスに近くなってから。尚、淡水真珠は紀元前から女性を美しく飾っていたことが知られているのだが。
一方、黒のユディト。
顔の影、唇に伸びた牙を思わせる影、そしてSin(罪)を首に宿した老婆の姿
はオドロオドロシイものを感じさせる。
この画は数年前にトゥールーズの"屋根裏"で発見された作品だったが、当然のように巻き起こった真贋論争の真っただ中、オークションに出されることが決まったものの、その直前、謎の売買契約によって180億円で売られた末、その後忽然と人々の前からその姿を消している。
詳細に興味があるご仁はlink参照
さて、残るもう一枚の作品はどの様なバージョンなのか……
カラヴァッジョは何を思い3枚の連作としたのか
マリア信仰に傾倒したカラヴァッジョ。
「ホロフェルネスの首を斬るユディト」こそ、カラヴァッジョ流のフェミニズムを体現した作品ではないのか。
興味は尽きない。
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