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上川郡ポケビ編

HPが満タンじゃないところから、流れるように時間をおしすすめることも、時には必要だ。かえりに『Days』を聴くその三分間だけ、あたたかく、真剣に思いを巡らせていた。

JRに車、バスととにかく乗りものにのっていた。珍しく帰りのバスの揺れが、半分寝惚けてなぜか運転手さんがハンドルを握っていると信じられなくてこわかった。

夕焼けに衝立が流れていく。昔から、後部座席の左がわに座って、窓から景色のしゅんしゅんを眺めていた。ポケットビスケッツの署名活動をリアルタイムで観ていた記憶はない。ステレオから『POWER』が聞こえてきたことも、遠くの空が夕焼けを起こしていたことも、きっと後づけられた記憶なのだろう。それでもやっぱりミニサイズのCDは、日に焼けて家にある。

着いた町にはいちおうの大通があって、数年前よりもシャッターがいっそう降りていて、どこまで目を凝らしても人が居なかった。でもそんなことは関係がなくて、変わらず眩しかった。きらきらと夏があった。

駅前(嘘で横)公園と、町民体育館を、どちらにもある噴水の傍を通り抜けていった。線路の向こうの家にだけあがった。熊公園までは行かない。商店に入ってお菓子も買わない。もう野球している姿も見ない。浸る暇をもたせないことを、とにかく車が保障してくれているみたいだった。

私の口はとにかく重くて、私はただ山間で、新しくできたという居酒屋で、昼下がりに終始魚を摂取していることになった。お酒もぜんぜん飲めなくなってしまった。ずっとずっと会っていなかった4,6歳年下の従兄弟たちは草野球をはじめて、日に焼けて、煙草を吸っていた。
🐟

彼らが笑っていてよかった。
千秋を聴いて、忘れない。

嘘つき★Babyまでも良く

おしまい

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