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タナコフスキー
2016年3月4日 22:48
初めは「摺衣(すりごろも)」かと思った。 しかし、忌まわしき邂逅の場から立ち去って、しばらく経つのに、心中のざらつきは治まることを知らなかった。 そこで、はたと気がついた。 これは「疫病神」だ、と。 疫病神とは、祟りや穢れといった不穏なものを身に纏うものの名である。 忌まわしき黒い靄のようなものが、ねっとりと渦巻きながら、その身体を覆い包んでいる。その霧に触れた者は、同じように