『黄色の壁紙』
壁紙を張り替えねばと思う。
ハエがやたらとうるさいのだ。
三日前?
いや、もう五日になるか。
家内に頼んだ壁紙を張り替えねばと思う。
流し台に洗い物がたまっている。
生ごみも。
そうじゃない。
壁紙だ。
黄色じゃなきゃ駄目だ。
ハエがどうにもうるさい。
床がベトベトしているせいだ。
床掃除はあとだ。
まずは壁紙だ。
あれほど黄色だといったのに。
馬鹿めが。
隣の犬がけたたましく吠えている。
あんなに吠える犬だったか。
いつからだ。
三日前?
いや、もう五日になるか。
うるさいな。
壁紙が終われば次は犬か。
早く張り替えねば。
しかし、ハエがどうにもうるさい。
サーモンピンクだと。
馬鹿めが。黄色だ黄色。
誰だ。
しつこくチャイムが鳴る。
うるさい。
こっちは壁紙で頭がいっぱいだというのに。
ハエも。犬も。チャイムも。
黄色だ。黄色じゃなきゃ駄目だ。
馬鹿めが。
おかげで床も拭かねば。
髪の毛に血がからまってベトベトだ。
だがまずは壁紙だ。
黄色だ。黄色の壁紙。
早く張り替えねば。
サーモンピンクだと。
馬鹿めが。
洗い物がたまっている。生ごみも。
ハエも。犬も。チャイムも。うるさい。
床がベトベトだ。
早く張り替えねば。
黄色の壁紙を。
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水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。
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