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東京探索記 34 港区白金
秋の訪れをようやく感じられるようになった10月中旬の週末、港区白金界隈を歩きました。
悪水溜
庭園美術館を出てから目黒通りを北へ、東京大学医科学研究所の敷地の手前にある悪水溜(あくすいだまり)と呼ばれる窪地へ。もともとは溜池で、「悪水」とは自然の湧水や雨水のこと。浄化されていないので飲用には適さないことからこう呼ばれています。でも決して生活排水ではありません。
その水のたまり場を囲う擁壁として造られた煉瓦塀が今も残っています。おそらく明治時代につくられたのでしょう。煉瓦塀の上にも下にも住宅が広がり、いまや住宅地の中の一風景として馴染んでいます。
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ここに溜まっていた水は北の方角にある古川へ向けて白金の街のなかを流れていました。古川の支流なので、古川白金三光町支流と呼ばれているその流路を辿りました。
旧公衆衛生院(現 港区郷土資料館)
東京大学医科学研究所と旧公衆衛生院のキャンパス内を流れは通り抜けています。
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雰囲気がほとんど同じです。
その旧公衆衛生院は建物をそのまま利用して今は港区立郷土歴史館、別名「ゆかしの杜」として公開されています。上の写真を見るとわかりますが、スクラッチタイル張りのゴシック調、「内田ゴシック」とよばれる外見は100年近い年月が経ったいまも色あせることなく、荘厳な雰囲気を出しています。
建物が古いのはもちろんですが、足元に目を向けると珍しいマンホールがいくつか。一つは「暗渠」と書かれたマンホール。この地下を水が流れているということでしょうか。もう一つが「瓦斯」、それも右から左へ書かれています。この建物が建てられた当時からあるマンホール、正確にいえばハンドホールと思われます。
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旧公衆衛生院を出て裏側の坂道を下りていきます。
左手には旧公衆衛生院のレトロで風格のある建物が住宅の間から見えますが、右手側に目をやると住宅の奥には崖が。高低差がどんどん広がっているのがわかります。この写真ではわからないですね(^_^;)
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この道の奥、最も低い場所の行き止まりに下水道管跡らしき構造物。おそらく悪水溜から流れてきた水が通っていたのではないかと思います。
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東京大学医科学研究所の敷地から出ています。
なぜこのような中途半端な露出なのかは不明です。
聖心女子下の暗渠
続いてはこの水の流れが通っている女子校のキャンパスへ、といきたいところですが、非公開なのでここは正門へのアプローチの銀杏並木にとどめておき(カバー写真)、学校のキャンパス横をまわって、女子校と区立の小中学校の敷地の横に残る暗渠へ。
ここへは白金の台地から長めの階段を一気におりると東京都下水道局の看板がある下水道用地へ。訪れたのは10月中旬ですが、長い夏が終わって間もないこの日は雑草がまだまだ繁茂していました。強引に奥へ進みましたが、途中で蜂がブンブン飛んでいて、もしこの先に蜂の巣があったら…と心配になり撤収。
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三光町の暗渠
白金北里通りを渡ります。この先は旧白金三光町を通っている暗渠となります。ここの暗渠は路地として「東京路地紀行20」で紹介しているので、詳しくはそちらに委ね、ここでは写真をいくつか。
前にも書いたかもしれませんが、昭和感満載の路地にはいつ訪れてもワクワクの気持ちがとまりません。
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さて、悪水溜からの水の流れとはここでお別れして、白金北里通りを西へ向かいますが、長くなったのでここでいったん休憩を。
続きは次のエピソードで。