蒟蒻物語
農家の方から手作り蒟蒻を頂きました。
そのままでは食べられない蒟蒻を食べられるように加工した日本人の知恵と工夫は素晴らしい。これをどう料理するか。
蒟蒻、こんにゃく、こんじゃく、ということで今昔物語を妄想しながら料理することにしよう。
蒟蒻 500グラム位あったのかな
黒摺り胡麻 多めに
唐辛子 1本
胡麻油 適量
醤油 大匙3
酒 大匙1
味醂 大匙2
蜂蜜 小匙1
粉唐辛子が写っているけど、使いませんでした。
比較的短い説話を1000近く集めた、言わばアンソロジーが今昔物語集。日本版の千夜一夜物語?
すべての説話が「今は昔」という書き出しで始まっていることから、この題名。
作者や編者は不明。成立年代も不明。ただ、最古の写本の炭素測定や内容から察するに、1100年代の後半?白河法皇や鳥羽法皇の治世、所謂、院政期ではないかと推測されています。
内容は多岐に渡っていますが、仏教説話が比較的多いことから、僧侶が関わっていたかもしれません。天竺(印度)、震旦(中国)、本朝(日本)の部に大別されます。
小学生の頃、学校の図書室で見つけた本を読んで以来、時折、様々な形で読んでいます。水木しげる先生が漫画にもしています。
大正時代、今昔物語集に魅せられた文豪が芥川龍之介。
「鼻」という小説は「禅智内供の鼻」という話を翻案。
大き過ぎる鼻が悩みの僧侶、何しろ食事の時には小僧に板で鼻を持ち上げさせねばならない程。何とか鼻を小さく出来ないかと悩む物語。
「藪の中」は盗賊、多襄丸の話から出来た物語。
黒澤明の映画「羅生門」はこれが元ネタ。今風に言うなら、三次創作?
平安時代の有名人、陰陽師安倍晴明や源頼光の四天王に関する話もあり。安倍晴明、不思議な力を使いますが、晴明以外にも幻術を使う人物の話。
信濃国の郡司の館に公用で泊まった武士と供の者達。武士は郡司の妻に夜這い。いたしていると股間に違和感。マーラーが消滅?
妻に問うてもとぼけるばかり。
翌日、一行が出発すると郡司の家来が追いかけてくる。忘れ物を届けに来たという。持参の包みを開くと、アレが一杯。つまり一行の皆が夜這いしていたということ。驚いていると、逸物はそれぞれ元の場所に。すべて、郡司が使った幻術。
注意、ここから更に下ネタっぷりに拍車。お好きでない方は飛ばして、次の写真の向こうへどうぞ。
馬に乗り、野原を行く男、もよおしてきました。便意とか尿意ではなく、アレをしたくなったということ。
周りに女はいないし、どうしたものかと思うと、蕪の畑。一本を引き抜くと二股。小刀で股の所を削り、G行為。
すっきりと下腹も軽くなり、蕪を畑に戻して立ち去る。
その後、収穫の時。畑の持主一家の娘、件の蕪を見つけ、その場で食べてしまう。その後、ご懐妊。生まれた子は蕪太郎と呼ばれたとか。
他にも異界に迷い込んだ話や生霊の話、妖怪や鬼等々、正にオカルト満載。
そうかと思えば、伏見稲荷の祭礼に出掛けた男、笠を被った麗し気な女を見て、しつこく声を掛ける。ところが、その女、笠を取ったら自分の女房。大勢の前で赤っ恥。妻に頭も上がらなくなってしまった。これって今でもありそうな話。
高校の古文の教科書に載っていた話では、受領、つまり現地に赴任した国司、山道を歩いていると崖から落下。郎党達が慌てていると、駕籠を下ろせという主の声。どうやら無事だったので、駕籠に乗って上がって来るのだろうと思っていると、上がってきた駕籠には平茸が一杯。その後も二度、三度と平茸一杯の駕籠。ようやく受領自身が上がって来て、運よく落下した所に群生していた平茸を持ち帰るために駕籠を下ろさせたとのこと。
正に受領は倒れる所に土を掴めという、強欲さを地で行く説話。
欲つながりでは、いつも焼いた鰻を売りに来る女。何故か、その女が海ではなく野原で何かしているので、近づいてみると、蛇を捕まえていた。つまりそれまで売っていた魚の切り身は実は蛇だったという話。
蒟蒻は0カロリーで腸内も綺麗にしてくれます。胡麻から抗酸化物質セサミンやゴマグリナンを摂取。使用した唐辛子、かなり辛く、味醂醤油の甘しょっぱさの奥底にピリリとくる味が後からジワジワ。
胡麻をたっぷり入れて辛さを中和。
温かい時よりも、冷えた時の方が味が沁み込んで美味かった。
興味深く、面白い説話が多く収録されている今昔物語集から幾つかの話を抜粋して紹介。この蒟蒻のように後からジワジワと味わいや不気味さがこみ上げてくる話が多い。
平安時代とはあまり関心が持たれない時代。戦国や幕末のようなドラマ、端的に言えば戦があまりなかった時代。勿論、まったくなかった訳ではなく、平将門や藤原純友の乱、刀伊の入寇という元寇に先立つ外国からの侵略等もありましたが、総じて、名前の通りに平和で安らかな時代だったのかもしれないとも思います。平和なので特筆すべき事変も少なかった?
また、平和なのでこうした物語を楽しむ余裕がある人々もいたのではないかと思えてきます。
今昔物語集の話の幾つかを思い出しながら、蒟蒻物語をご馳走様でした。