失われたものを求めての写真旅(英国)
旅行者がよく行く場所ではないような裏道に、
ひっそりまだ歴史を保っているようなものが好き。
もしかしたら、もうコレクターが壁ごと買い取ったのかもしれない。
メイフェア―の路地、この老朽化したビルは壊されて残っていない。
もちろん、バンクシーのこの壁画ももうここでみることはできなくなった。
この裏はブランド物を売っている店が並ぶエリア、「消費社会に翻弄される」フォーリング・ショッパーの絵だった。
セブンシスターズの石灰でできている白い肌は、
毎年、浸食されて失われていく。だから、この崖の横には
ひっそりと近づくな、とかかれている。
でも、ここにフェンスをつけないのがいいのだ。自然のままの姿を楽しむことができる。
有名な羊、ドリー。命って不思議だなと思う。ドリーは6歳で安楽死となったらしい。1996年、もうそんな昔になってしまった。
カフェ兼デリの前を通ると、このようなおいしそうというよりは、形と色がかわいいメレンゲ菓子がショーウィンドーに飾られていた。
もう、ここにあったオフィスの会社はないので、私の中ではもう通うことのない場所だ。違うときに、近くまで来たときこの道を通った、今も変わらずショーウィンドーに菓子が並べてある。
もうこの場所には、毎日来ないよなと思うとなんだか懐かしいと同時にさみしい気分になるのはなぜだろう。
私が誰かをロンドンで案内するなら、日程を書いてあげよう。
タイトルは、「失われた時を求めて」のプルーストみたいなくくりにする。
あなたが、私の友人なら、こういう場所を歩き、そしてロンドンの普段の私のひとり旅を紹介する。
「サー・ジョンソーン博物館」はイングランド銀行などの建物を設計した建築家自身の家が国立博物館になったもので、大好きだ。昔のイギリス人のインテリのお家を訪問しているような気分になる。
そして、予約をとって「エレファントマンに会いに行く」
もう、この古い博物館もなくなってしまったかもしれない。
奥には近代的な総合病院のビルがそびえたち、手前には教会とその一角にあった病院付属の小さな博物館があった。
「エレファントマン」の映画を見てない世代にはピンとこないかもしれないが、彼は昔からこの博物館でこの病院にいた。
失われたものを求めての旅は、調べることからはじまることもあれば、たまたま出くわすこともある。
今日一つ、いいものを見てしまったな、という発見はいつになっても日々の面白さにつながるし、その場所とともになくなってしまったものとタイムトリップしたような不思議な感じを感じることができる。