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"DIVIN" Vol.21

『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。

デジタル企業と百貨店の提携と、D2Cブランドの戦略

レシピと食品にフォーカスしたデジタルメディアとして有名なFood52。サイトやInstagramには美味しそうなレシピや料理たちが並ぶ。そんなFood52とアメリカの大手百貨店Nordstromが提携を発表。

Food52は2018年にD2Cモデルとしてキッチン用品の販売を開始。最初はオーブンのミットやスプーンなどであり、それ以来、お皿やマグカップ、ボウルやケースなど様々なキッチン用品を販売している。

そのFood52の家庭用品のプロダクトを販売する新しい小売パートナーを遂に見つけたのである。Nordstromの店舗とオンラインの両方で製品の販売を開始すると先週に発表された。

Food52のオリジナルプロダクトは「FiveTwo」と呼ばれるものだ。

Food52とノードストロームは実は昨年1月以来、小売のパートナーシップの可能性について話し合っていたと語る。そして、その提携はFiveTwoのプロダクトが十分の大きさになるまで待っていたと言う。

コロナウイルス感染症のパンデミックは、人々が家にいる時間を増えさせたともに、家庭用品、調理器具を扱うFood52の製品に対する需要が高まるにつれて、この提携を加速させたと同社の代表は語る。 

8月の売上高は前年比で87%増加し、FiveTwoの売上高は昨年の2倍になっている。 2019年度ではFood52はこの記事の参考元であるModern Retailに、まだ収益性は無いものの、4,000万ドルの収益を達成する予定であるとしていた。

Food52にとって、これは全く新しいタイプのパートナーシップとなった。今まで幾つかのオンラインプラットフォームと、小売の提携を結んだことはあったものの、全国的な小売チェーンとこうした提携を結ぶのは初めてのことだった。

彼らの目的は「より多くのアメリカの消費者の前に立つこと」と話し、これはつまり ブランド認知を圧倒的に高めることである。

コロナの前、Food52は季節限定のポップアップショップという形で独自の小売店を運営していたものの、TiveTwoのようなオンラインブランドの場合、物理的な小売りのオプションを持っていないことはスケールすることの難しさを意味している。

他のD2Cブランドと同じように、彼らはオンラインから始まり、そして自社の店舗を増やしていく。消費者とのタッチポイントを増やすこと、つまり一般消費者の認知を獲得することがスケールへの正攻法だ。

Food52は自社の店舗という形ではなく、卸売りのパートナーシップを通じて小売業に拡大することを選んだのであり、最近では自社で店舗を経営するリスクを考慮し、卸売のパートナーシップを模索するD2Cブランドが増えてきている。

友好な卸売の関係を築けるのであれば、自社店舗でなくても良いと、答えるブランドは実際に増えている。

Food52は元々、卸売り自体を爆発的に増やす計画は持っていなかった。

彼らは自身のECサイトで健全な成長を遂げていたため、卸売のビジネスモデルに傾倒することを恐れていた。その代わりに、Food52にとっては、ただ多くの商品を売ってくれる小売業者ではなく、一緒に「Food52のブランドについて消費者を教育できる」小売業者を見つけることに時間を掛けていたという。

Food52にとって成長への重要な決断であったように、このパートナーシップは、Nordstromのような自社店舗を持つ小売業者にとっても極めて重要な時期に来ている。

百貨店は、今年8月の第2四半期決算で、コロナによる閉店・休業により売上高が前年同月比53%減となった。アパレル事業は打撃を受ける最大の小売カテゴリの1つであり、彼らはそのダメージを抑える方法として、売上が伸びている家庭用品に救いを求めている。

Food52にはこの提携により、単なるレシピサイト以上の存在であることを人々に知らしめる目的がある。

 彼らのターゲットを聞かれると、「今日、私たちを誰であるかを知っていなくても、その人たちがターゲットである。」と語った。

そして、また異なるD2Cブランドの話を紹介。

以前のDIVINでも度々取り上げたPattern。

彼らは元々、GInLaneという会社名で様々な企業、ブランドのブランディング・クリエティブを支援するブランディングコンサルタントエージェンシーであった。

彼らはEverlane、Hims、Harry’sといったアメリカでも特に成功を収めたD2Cブランドのブランディングを担ったことで、世界でも指折りのブランディングエージェンシーとなった。

そんなGinLaneが2019年8月にブランディングコンサル事業を辞め、自らが事業会社に転身し、自らプロダクトを作ることを宣言した。それがPatternである。

詳しくはその時の記事にて。

そのPatternのチーフクリエティブオフィサーである、Emmettのインタビュー記事から。

D2Cにおけるビジネスモデルは変わってきており、今それを再考していると語る。

初期のD2Cモデルは、Instagramの世界(観)に適する、その世界と関連性の高いブランドの構築に重点を置いていた。

Everlaneはとても顕著で、彼らが支持する価値観とそのヒップな見た目で人気を博した。

Patternは今、料理器具を扱うブランド"Equal Parts"や、家庭用具"Open Spaces"を展開する。

Emmettは、ブランディングエージェンシーのマーケティングのトップという立場から、いちブランドの”創業者”となり、このタイミングでブランドの育成について考え直したと言う。

彼は在庫を確保し、維持することの難しさを過小評価していると語った。「在庫切れ」と人々に伝えるとそれが良いことのように感じるが、本当にそのブランドを初年度からスケールさせたいのであれば、成長を妨げるストレスでしかないと言う。を

コロナ以降、Food52のように家庭用品を扱うPatternは、その両ブランドの売上高が4倍以上になった。そして、彼らは先行販売型のモデルをとっていたが、オープンオーダー方式に移行した。

Pattenは他のD2Cブランドと同じようにミッション先導型ではあるものの、その美学をどこかで超えていかないと難しいのではとEmmettは語る。

「誰もがPatagoniaのようにはなれないし、売り場でその商品を手に取り、購入する人がそのブランドがどんなミッションを持っているのか、そもそもどんんなブランドなんだか知らないし、興味ないかも知れない。」と言う。

D2Cブランドが乱立し、飽和しつつあるアメリカの市場を、ブランディングエージェンシーとして、そして自らもブランド側としても見てきたEmmettだからこそ、その難しさを今感じているのかもしれない。

Food52のように更なる成長を遂げるためには一般消費者に認知され、マスを獲得していく必要がある。そういった中での苦悩の片鱗をEmmettは正直に語っているのかもしれない。

コロナではチャリティー(寄付)はどう変わったか

世界各地で蔓延するコロナウイルス感染症は、多くの人々の生活を変えた。リモートワークやワーケーションという働き方、時間の使い方ということではなく、仕事がなくなり生活が困窮する、という意味で、だ。

アメリカでは失業保険の申請者が2600万人を超えた。猛威を奮った4月には、レジャー・ホスピタリティ業界での失業者が全体の半分となる州もあった。

これらの業界で働く人々は景気に変動されやすく、また非正規雇用の人々が多いとされている。

飲食店でウェイター・ウェイトレス、キッチンとして働き、もしそのお店の経営が難しくなると、保険や保証無しに一気に職を失う人々だ。彼らは元々、生活が不安定な職や環境におり、有色人種の人々が多かったことから、セレブレティがステイホームを訴える(居心地の良さそうなバカンス先での投稿が主だ)度に、批判が集まった。

チャリティー・寄付についてのリサーチ結果を伝えるFactCompanyの記事より。

コロナにより、生活が厳しくなり寄付ができなくなる、少なくなる人が増えたのは事実であるが、興味深い調査結果も出ている。

今まで、慈善団体に寄付する習慣のある多くのアメリカ人たちは、いまだ寄付を行っており、場合によってはさらに多くの寄付をしているというデータだ。

HarrisPoll社の調査結果によると、アメリカ内の5世帯に2世帯が、コロナウイルス感染症により、収入が減少していると述べている。

アンケートの回答者の5人に1人(20%)は、このパンデミック前と比較して最近慈善団体への寄付が少なくなっていると述べた。 3月以降に収入がなくなったり、失業したりした世帯ではその数は36%へと上がる。

調査対象の人々のうち、「まだ寄付をしている」と答えた人の半数以上が、コロナのパンデミックが始まってからも同じ金額を寄付していると答え、21%が以前よりも多く寄付していると答えている。

飢餓に対するチャリティーが最も多く見られ、次に宗教団体、保健医療機関が続く。

飢餓に対する救済への寄付の34%は収入が減少した世帯からのものであり、32%はパンデミックの間に失業した世帯からのものだった。

チャリティー文化が日常のものとなっているアメリカで起きている昨今の事象。その寄付先が本当に費用対効果良く、事業を行えているかのモニタリングも進んでいる。

11月から12月のホリデーシーズンはアメリカで最も寄付の額が増えるシーズンだ。このシーズンにはどのようになっているだろうか。

最近行ったお店あれこれ

春以降、それまでとは打って変わって外食が少なくなった。

やはり外に出ること、新しい場所に行き、ご飯を食べ、お酒を飲むことは自分にとって大切なことであると実感。

雑誌をペラペラめくるだけでなく、実際に足を運んでみる。そこでお店の人から話を聞き、その場所の匂いや雰囲気を感じ、手で触ってみる。

その経験の中で「これ作ってみたいな」「こんなもの自分でもできたらいいな」という意欲や、「もっとこういうもの作りたいな」「手掛けてみたいな」といった想いも出てくる。

それは飲食店であり、映画館で観る映画であり、ふと立ち寄ったお花屋さんだったりする。

前回のDIVINで映画「行き止まりの世界に生まれて」について書いたが、今回はここ最近で訪れた場所を何軒か列挙する。

TOKYO EDITION Toranomon

マリオットホテルグループが新しく展開する、最高級グレードに位置づけられるラグジュアリーライフスタイルホテルブランド「EDITION」。

ニューヨーク、ロンドン等の都市に続いて、東京で2つのホテルが誕生することになった。まずは今年2020年に、開発が著しい虎ノ門で。そして2021年には銀座がオープンする予定だ。

ブティックホテルの仕掛人であるイアン・シュレーガー(Ian Schrager)とマリオットホテルグループが手を結び、始めたこのEDITON。

先に開業した虎ノ門では、隈研吾氏が内装を担当。隈氏らしいルーバーを用いた天井が続き、印象的だ。

イアン・シュレーガーに代表されるのはLobby Socializing(ロビー・ソーシャライジング)と呼ばれるコンセプト。

隅々まで統一されたデザイン、高いホスピタリティ、そして何より重視したのは、彼が「studio 54」をプロデュースしていた時のように、ディスコのような社交場を目指して、ロビーを開放的な空間にすること。

感度の高い人々の“たまり場”を、高級ホテル内に作ることを彼のキーコンセプトにしていた。

今回のEDITON虎ノ門でも同じく、レセプションがあるフロアではレストランとバーが隣接し、宿泊者でなくても楽しめる。

バーエリアであれば、値段もそこまでせず、東京タワーを望みながら緑に囲まれた空間を楽しむことができる。

トイレに行く途中の長い階段。

その曲がった先には客室が始まっているのだが、ライティングが美しく、思わず写真を撮ってしまった。

バーエリアやこのレセプションエリアを含めて各照明の位置が低く、1つ1つの光量の弱さやその光の当て方などの使い方が彼ら特徴であり、称賛を浴びているとのこと。

Que c'est beau ガゼボ @清澄白河

清澄白河に今年5月にオープンしたビストロ。設計は目黒のafter8やコーヒーショップ % ARABICAの設計で有名なPuddle。

Puddleのインスタをフォローしているが、オープン前にお祝いの投稿を知っており、そこからチェックしつつも行けずに、やって行けた。

店内はシナベニヤを使い、曲線が要所要所にあり、素材感や色味も相まってなんとも居心地が良い。キッチン、カウンターの円型の天井も面白く、奥にあるボックスはトイレ。奥のスペースはポリカーボネートで作られており、昼は明るそう。

ごはんもどれも美味しく、素敵な接客と一緒に美味しいごはん、お酒が進む。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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edited by Ayumu Kurashima

IG : @micronheads


twitter: @micronheads_new
https://twitter.com/micronheads_new/

illustration : @mihirayuta

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