どうして起こる?「ハラスメント」問題
本日はバレンタイン!
憧れの人には「本命チョコ」を、そうでない(笑)人にも「義理チョコ」をプレゼントする。…というのは日本だけの風習なんだそうですよ。
青春時代の甘酸っぱい思い出を胸に、今や職場で「お世話になっております」の気持ちを込めてチョコを配っている…そんな方も多いのではないでしょうか。(ここ直近は、リモートワークで会社にそもそも行っていない、、という方もいるかもしれませんが…)
でも、ちょっと待ってください。その素敵なコミニュケーション、
時に「ハラスメント」との誤解を受けるかもしれません。
「ハラスメント」そんなつもりじゃ…
ちょっと怖い言葉ですよね、「ハラスメント」。もちろん義理チョコを配っている方が、そんなつもりがサラサラ無いことはよくわかります。
そもそもなぜ「義理チョコ」を配る、という風習ができたのか。それは恐らく「職場の円滑な人間関係構築のため」ということになるでしょうか。
そうです、ハラスメントの問題が難しいのはここで、
時に、良かれと思って取った行動が、相手の取り方次第で「ハラスメント」となってしまうことがあるからです。
「ハラスメント」その定義とは?
「ハラスメント」とは何でしょうか。パワハラ、マタハラ…いろいろありますが、まずはその定義を確認していきましょう。
労働施策総合推進法では、以下のように定められています。
優越的な関係を背景とした言動であって
業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
労働者の就業環境が害されるもの
1〜3をすべて満たすものを、パワーハラスメントと定義しています。
ご覧の通り、かなり曖昧な部分も多いとお感じになられるのではないでしょうか。「必要かつ相当な範囲」など、数値で表すことのできない部分は、「感じ方の違い」によっていくらでも変わってしまいそうです。
そうなんです、この「感じ方の違い」こそが、
ハラスメント問題最大の問題であり、大きな原因のひとつなのです。
では、なぜ「感じ方の違い」がハラスメントを引き起こすのでしょうか。
「アンコンシャスバイアス」とは
アンコンシャスバイアスという言葉をご存知でしょうか。
最近では多様化、ダイバーシティ等でも使われるようになりましたが
「無意識の思い込み、偏見」と訳されます。
ハラスメントといっても、故意に傷つけようとして行われることは、実はそれほどありません。
ハラスメントの多くは、「そんなつもりじゃなかった」「良かれと思って行動していた」ことで起こります。
例えば、
「お子さんが産まれたばかりだから時短勤務が本人も良いだろう」
→「フルタイムで働きたいのに仕事を減らされた」
「女性には負担の大きい仕事だからアシスタントをつけてあげよう」
→「女性だからできない事と勝手に決めつけている」
などです。
これらは、すべて受け取り方でハラスメントと感じてしまうのはご理解いただけるかと思いますが、問題は加害者です。
加害者に、無意識の偏見があることにお気づきになりましたか?
子育ては母親が主体となってするものだ、女性は守られるものだという「常識」の中で生きてきた人にとって、上記の言動は「精一杯の思いやり」だったのかもしれません。
しかし、それは「常識」ではなく「思い込み」、
強い言葉を使えば「偏見」です。
アンコンシャスバイアスとは、本人にはなかなか気づきにくい、
こういった「偏見」のこと。
それぞれが違う環境で生きてきた仲間です。
「偏見のない人」など、いません。あらためてセミナーや研修などを通じて、自分にどんな「偏見」があるのか、それを自覚することで、ハラスメントの芽を摘むことができるかもしれません。
「偏見」「思い込み」をすべて捨てるのは難しくても、「意識」することでハラスメントを抑制しましょう、ということですね。
ここが怖い!「ハラスメント」
ハラスメントがなぜ企業の脅威となるのか。
今までご説明した通り、
ハラスメントは「アンコンシャスバイアス」、個人の無意識による思い込み、自身の価値観による解釈の相違によって起こります。
これは突き詰めると、「コミニュケーションの不全」から来ている場合がほとんどです。
また、悪意のない言葉に傷つけられた際も、「この人は悪気は無いから」と思えれば、それほど悩まないかもしれません。
しかし、信用できない人からの言葉は、「故意に傷つけられた」と深刻に受け止めてしまうでしょう。
これらすべての要因は、結局のところ人間関係。
「信頼関係の構築」ができていない中で、「心理的安全性が低い」状態におかれた人は、より深く傷つき、ささいな言動を悪く受け取ってしまいます。
つまり「ハラスメント」は、顕在化するずっと前から人間関係、ひいては組織が問題を抱えていたということなのだと思います。
「ハラスメント」が起こる前に
要するに、「ハラスメント問題」というのは、
起こってしまった問題に対処するだけでは不十分で、
「ハラスメントが起こらない組織」を作ることこそ、本当の意味での「ハラスメント対策」と言えるのではないでしょうか。
「ハラスメント」の定義を学び、自身の「アンコンシャスバイアス」を自覚し、信頼できる組織でいること
これらがきちんとできている組織であれば「ハラスメント」は起こりにくい、とそう考えています。
『ハラスメント対策』の難しさとは
ご存知の方も多いでしょうが、パワーハラスメント関係及びセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント関係の法律改正が2020年に施行され、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となりました。中小事業主に関しても2022年4月1日から義務化されます。
そうなんです、もうすぐなんです。
弊社でも、お客様からの要望で「ハラスメント窓口」サービスの提供を始めました。
「我が社はみんな仲が良いし何も問題はないから」そうおっしゃる経営者の方も多いのですが、当然ですが、立場が変われば受け止め方も変わります。
ご相談をいただく企業様においても、「ハラスメント対策」の一環として、相談窓口を設置することが多くなってきております。
バックオフィスの役員の方や、人事の責任者が担当となり、自分の携帯電話に直接相談できるようにしているようなケースも多いようです。
「現場からの声をダイレクトに聞く」という主旨はわかりますが、その体制で、果たして「ハラスメントに苦しんでいる人」が、実際に相談をしてくるでしょうか。
「ハラスメントを受けている」と感じている人は、「心理的安全性が低い」状態にある、という話はしましたが、その「信用できない組織の上層部」に直接つながるホットラインに電話する、というのは心理的抵抗の非常に高いアクションです。
結果、窓口を設置しても、誰も相談せず、ハラスメント問題は目に見えない形で進行し、ある日いきなり退職、場合によっては労働基準局から連絡が…ということになりかねないのです。
法律施行に先駆けて窓口を設置した、素晴らしい企業様であっても、その取り組みが十分に活かせないという残念な事例もあります。
効果的な「相談窓口」とは?
当然ですが、「ハラスメントを受けている」と感じている人は、とても傷ついています。周囲も組織も信用できない中で、勇気を出して相談しなければなりません。
できるだけ、心理的抵抗を低くしてあげる必要があります。
例えば、
担当者の教育…当たり前ですが、担当者にハラスメントの知識が無いと、きちんとした相談ができません。相談者に信頼されるような、「相談するに値する担当者」となるべく、きちんと研修等で学ぶことが大切です。
窓口担当者に、男性も女性も配置する…セクハラなどの相談を異性にするのは抵抗があります。スタッフに男性も女性もいる体制を取ることで心理的抵抗が下がります。
相談窓口業務を外部に委託する…当然ですが、社内窓口の担当者も、同じ会社の人間です。ハラスメントを「する側」の立場だ、と思っている相談者も多く、社内窓口というだけで相談するという選択肢を持たない場合すらあります。社外の組織であれば、公平性が保たれる、という安心感につながります。
また、ハラスメントは、価値観の違いから起こることが多いため、「曖昧さ」「感情論」など、どうしてもはっきりと割り切れない部分が生じます。
そして、いざハラスメントが発生した際は、「これははたしてハラスメントなのか」「どこが法律に抵触するのか」といった難しい判断を迫られることになります。その際、専門家を擁する委託先であれば、安心して判断を委ねることができますね。
ハラスメントは会社の信用問題
労働基準局からの処分を受けるということは、会社にとっては大変に不名誉なことです。深刻な事態に陥る前に、今できること、
「ハラスメントが起こりにくい組織」「ハラスメントを相談しやすい組織」「ハラスメントを繰り返さない組織」作りをしていくことが大切なのではないでしょうか。
今現在の体制では不十分かもしれない、そんな風に感じたならぜひ、私にご相談ください。
Tenmaruでは、「ハラスメント対策」の包括的な取り組みをお手伝いいたします。
ハラスメント問題は組織問題!
自分を守る。仲間を守る。会社を守る。「ハラスメント窓口」サービス開始
「ハラスメントって結局どうなるの?」そんな話をする機会を頂いた時の動画はこちらからご覧になれます▼
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