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『じぇんじぇん』は立派な日本語だった、という話
先日の記事ではこれを引用しました。
「シェ」「ジェ」は,外来語シェ,ジェに対応する仮名である.
また、次のようなことも書きました。
そのうち「ぜんぜん」ではなく「じぇんじぇん」などと表されるかもしれない。さすればめでたく、「外来語を表現するカナ」から「平仮名」に格上げ(?)される日がくるかもしれない。
ところが。
こちらの記事に・・・。
こちらのリンク先の、さらに(B2)のリンク先ですね。
(B) 2.仙波 光明・村田 真美・峪口 有香子 (2012)「吉野川市山川町の方言」『阿波学会紀要』58号、pp. 167–176
この「吉野川市山川町の方言」。
要旨にはこうあります。
発音の面では,シェ・ジェがかなり濃厚に残っているものの
ん?
などと思う。
2)セ・ゼの口蓋化,合拗音サ行のセ・ザ行のゼがそれぞれ口蓋化したシェ[e]・ジェ[ e]になる現象は残っている。
・・・。
『改訂山川町史』の「方言」の章「3,山川町の方言」には,「古態とみられる特色音節」として次のような例を挙げている(一部省略した)。
<中略>
(ニ)〔jeママ〕例 ジェンジェン(全然)
もう、ひっくり返りそうになりました。
ああ。
方言のことは全く考えなかった。
目から鱗が落ちるとはこのことでしょう。
『ジェンジェン(全然)』をしげしげと眺めた時間でした。
先日読んだ本に次のようなものがあります。
『言海』というのは明治時代に編纂された辞書です。
初めての普通語の辞書でした。
今でこそ、わざわざ「普通語の」などとことわることはありません。
でも、言海が出た頃は違った。
それ以前の日本語の辞書というと、専門用語か難語の解説というものだったからです。
しかし。
「普通語」
それはいったい何でしょうか。
「普通語の辞書」というのは、一見、とても平等に聞こえる。けれども、実は一方で、普通の言葉を強制的に決めるという効果がある。普通の言葉でなければ言葉にあらず。更に言えば、方言擗語を撲滅せよという考え方にも繋がりかねない。
本にはそう書かれていました。
もちろん、私は方言擗語を撲滅せよとなどとは思っていません。それでも、辞書に書かれているものだけを取り込む。そしていつしか、それ以外のものをふるい落としている。そのことはもしかしたら差別の始まりかもしれない。
それを今回身をもって知りました。
ネットというのは、ともすれば問題点ばかりが強調されがちです。だけれども、時に、見えなかったものを見せてくれる。視野を広げてくれる。
共感してもらえるのも嬉しいけれど、意見や指摘に優る高揚はありません。
これからもたくさん教えてもらえるのだろう。
楽しみでなりません。