スシローの件から露見した人々の心の貧しさ

スシローの迷惑動画が炎上したのをきっかけに、
その他のコンビニや飲食店での迷惑動画もたくさん拡散されるようになり、
それらを目にするだけでどんより悲しい気持ちになるのですが、
それに対して何の関係もない人達が
「損害賠償請求を受けて人生終わっちまえ」
「顔も住所も晒して周りから白い目で見られろ」
と、必要以上に加害者を煽り、吊し上げようとする書き込みも、見ていてひどく残酷に思います。

もちろん、お店に迷惑なことをした人は、誠心誠意これからの行動で償いをしていく必要があるでしょう。
それは加害者と被害者、そしてお互いの弁護士が考えていく問題です。
そこに何の関係もない人が、火に油を注ぐように面白がって言葉のナイフを飛ばし続けてはいけないと思う。

中世ヨーロッパでは、平民農民たちは貧しかったゆえに娯楽がなく、罪人の公開処刑だけが娯楽だったと言われています。
人が裁かれ痛い思いをしていることに、「自分はそうではないんだ」という優越感を覚え、満たされた思いになる。
でもそれは、自分ひとりでは自分を満たせない状況の裏返しであり、経済的にも心情的にも貧しいことの証明だと思うのです。

今の日本も、同じ。
みんな心にゆとりがなくて、周りへの配慮もなくて、自分の今を生きることで経済的にも心情的にも精一杯。
だから、たとえ自分と関係ないところの話でも、罪人が出たら公開処刑を望んでしまう。
それしか娯楽がないから。正義感や優越感に浸ることの他に、自分を満たすものがないから。

迷惑行為をすることも迷惑動画をアップすることも哀しく愚かなことですが、
人を貶めて吊し上げることでしか、自分を満たせないということもまた、酷く哀しく惨めなことだと思うのです。

それは、今の日本社会情勢がそうさせているのでしょう。
いつまで経っても良くならない経済状況、増えていくだけの税金、その使い道は私たちのためではなく防衛費や上級国民の私腹を肥やすため。
そんな社会の中では、公開処刑しか娯楽がないのも仕方ないのかもしれません。

そんな中であっても、未来の自分を守るという意識を持って自分の精神状態を強く持つことが大切です。
人を必要以上に責め立ることがないように、いずれ自分に返ってきても構わないと思えるコミュニケーションを。
そして、政治や社会への不満は、「正しく情報を得る」ことで「正しく声を上げる」。
何もせず我慢していることは、もう美徳ではありません。

今回の迷惑行為を、社会全体で吊し上げるのではなく、社会が未熟な人を更生させて、全ての人を啓発していく方向へ動いていったらいい。
そんな社会の実現のために、私も元教師カウンセラーとして、できることをしていきたいと思っています。

また、HSPの人や心優しい人は、きっと今回の騒動の一連の流れの全てに心を痛めていると思います。
心や頭が悪いもので満たされていくようで、ひどく疲弊しきってしまうような、そんな感覚になってしまっていると思います。
私もここしばらくずっとそうです。
SNSとは適度に距離を置いて、自分の心と体を深く休める時間が、今を生きる全ての人に必要なのかもしれません。