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よりみち

知り合いのお宅に招かれました。
サルナシの実が熟しているとの一報を受け、母と。
去年も予約がいっぱいで伺えなかったので今年こそはとかなり早くから申し入れ、とっても楽しみにしていました。

そんな楽しみな目的地へ向かう途中で、これまた別の知り合いの方の畑へ寄り道です。


雲南百薬というお野菜をご存知でしょうか。別名『おかわかめ』ともいい、最近ではスーパーの地場野菜のコーナーでも見かけるようになってきました。


雲南百薬
ちょうどお花が咲き始めていました

お花を観るのは初めてでした。
こんなに連なって白く小さなお花が咲くのですね。
めちゃくちゃ高い漢方薬にありそうな厳かな印象の名前、沖縄など南の方では昔から健康長寿の秘訣として民間薬や食用として親しまれてきた野菜です。

マグネシウム・カルシウム・亜鉛・銅・ビタミンA・葉酸などを多く含んでおり、抗酸化・免疫力向上・脂肪酸代謝活性作用もあって様々な疾病や症状に効果があるとされている、かなりのスーパー野菜です。

私がこのお野菜と出逢ったのは10年以上前。デパートのレストラン街にある中華料理のお店で前菜として出てきた珍しいお野菜に興味津々。この時食べた生の雲南百薬の味が忘れられず、日本国内で作っている場所や時期などを調べて問い合わせ、探したこともありました。
それがこんなにも簡単に手に入るようになるとは。


独特の青臭さ、シャキシャキ食感と火を通したり噛むほどに増すヌメリが特徴です。
おひたしやお味噌汁に使われることが多いそうですが、私は生のままサラダでいただくのが好きです。

ツル科
蔓は紫で、葉は肉厚
その場で摘んでムシャムシャ😋

道草を食うとは、まさにこのこと。笑

ひゅるんと伸びる線香花火のような花も、
水を弾く小さな葉もかわいい🍃
雲南百薬トンネル

畑の方のご厚意で、雲南百薬もゴーヤもいつでも好きに採っていっていいよと言っていただけていましたので、ありがたく少量ずつ収穫。
ご夫婦二人では食べきれないのだとか。

朝から畑観察が楽しくて楽しくて、長時間の寄り道に。

葉の裏側が紫色をした“お紫蘇さん”

穂紫蘇もありました。
紫蘇はたった二文字なのに、いつの頃からか紫蘇を「お紫蘇さん」とわざわざ呼ぶようになりました。すでに摘まれてパッキングされている形態のものは、なぜか普通に「紫蘇」と呼んでいます。笑


ゴーヤの季節もそろそろ終わりです
ゴーヤの葉と花

小さいまま熟していました。
その種は真っ赤で、甘いんですよ♪

熟れると自然に割れて、
まるでアケビのよう


ゴーヤのぷらんぷらん生る
ゴーヤトンネルも撮りました

そしてもちろん、
トンネルを抜ける。

これが人間捕獲器だったなら、真っ先に引っかかりそうだなぁと我ながら。笑


お次は…

ヘチマです!
葉と葉の間に隠れて生る
まだ小さなヘチマが可愛くて、
葉をめくったり掻き分けたりして。
みつける度に声があがってしまいました


ポコポコと絞りのある花弁
目の覚めるような鮮やかな黄色です
たか〜い場所に咲くお花は裏側から
雨上がりの青空に、よく映えていました

タワシや美容液などにも変身するゴミの出ない注目のヘチマですが、食べた次の日はお肌がトゥルントゥルンになるというのが個人的感想です💆


寄り道はこの辺にして、
そろそろ目的地へ。


。。:+* ゚ ゜゚ +:。.。:+ 🚘 +:。.。:+ ゚ ゜゚*+:。。


かわいい小さな赤白の実をつけた
ジュズサンゴが
玄関先で出迎えてくれました
これから採るサルナシの木の葉

乾燥させていたそうで、私達がサルナシの実を摘んでいる間にこれでお茶を淹れてくださるとのこと。
なんて素敵なおもてなしでしょう!!

と、その前に、
お庭を案内してくださいました。

桔梗
京都で観た巨大ムラサキカタバミが
こちらにも
ブーゲンビリアの白

よく手入れのゆき届いたお庭です。


サルナシの実の収穫は、背の高い脚立に登っての作業。
登るのは私、母は下で待ち構えます。

脱毛をしたベビーキウイと言ったらわかりやすいでしょうか。

『コクワ』とも言うそうです。

ざくざくと生っていました
まだ固くて食べられない、青い実も
少しシワシワかプニプニとしている、
柔らかくなったものが食べ頃のサインです
実を優しく触りながら
食べ頃のものを探して収穫していきます
採っては食べ、採っては食べ。

一番おいしいものは、熟れて自然に落ちた実でした。
人差し指と親指で実を押しながらちゅ〜っと中身を食べるそうなのですが。
私は皮ごとぺろり。もうすでに何粒か食べたあとだったので、たいへん驚かれ大笑いされました。実がとろけるように甘く、皮の酸味がいい仕事をしていました。

途中、同じ色をした同じ大きさのカナブンも落ちてきました。笑
こちらもびっくりしましたが、カナブンも相当びっくりしたご様子。
キャッチしてサルナシの樹の根元にそっとリリース。慌てて草むらに隠れていきましたが、お尻ははみ出ていました。笑


「お茶がはいりましたよ〜」

少し長く煮出したサルナシの葉のお茶は、
薄茶色で香ばしいお味でした

ここのお宅のご主人様は、このお庭をテラス席から眺めながら一杯のお茶を飲むのが1日の始まりの楽しみなのだとか。

涼しくなる一歩手前の蒸し暑い陽気だったこの日。
太陽のもとで汗が滝のようでした。

乾かす前のサルナシの葉

ところどころ虫食いなのがいい。

レモンリーフと早生みかんも採らせていただきました。

風のない残暑の中での長時間に及ぶ作業はさすがに身に応え、涼しい屋内に退避です。


作りたてのよもぎ餅を振る舞ってくださいました。

練り込まれたよもぎの量…!
味も香りも濃厚です!!
ところどころ感じるよもぎの茎や繊維が
また美味しさを際立たせている

よもぎとバジルを好んで食べられなかった子供の頃の私の舌では、きっと気づけなかった美味しさとありがたさです。

お砂糖とお塩を加えた甘じょっぱい黒豆きな粉を絡めながらいただきました。お皿から口へ、往復する手が止まらず、頬も綻びます。

心のこもった手作りのごちそうに感激していると、「こういったものを“ごちそうだ”と思ってくれる若い人は、今の時代なかなかいない」と涙ながらに喜んでくださいました。


農薬を使わず、黒酢の散布のみで作っているお米農家さんからいただいた、精米したての新米をお手土産に持っていったので、話題は自ずと“令和の米騒動”に。

『奪い合えば足らぬ、分け合えば余る』
どんな時もすべては自身の心のあり方が行動に表れるというお話に及びました。
本性というのはこういうとき(非常事態)に顕わになり、隠せないものだと。


自然に触れる時間が今の私の癒やしです。

自然から学ぶことは多く、
生かされていることを深く感じます。
悩んでいることも、ちっぽけで取るに足りないと気付かされたり。
自然は誰に対しても常に平等でいてくれます。



自然に人に環境に感謝をしながら、これからもいろんな「よりみち」を楽しんで、慎ましやかに丁寧に過ごしていきたいと思った長月のおわり。

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