アラサー男子が読む「自転しながら公転する」【名言で語る読書#03】
素敵な作品に揺さぶられた感情を忘れないように読書歴1年弱の若輩者のアヤセがお送りします。
この記事が新しい本を知る機会だけでなく、すでに読んだ人が「ああ、こんなのあったなぁ」と思っていただけると筆者冥利に尽きます。
1.雑すぎる作品紹介
帯に書かれた文章は「恋愛、仕事、家族のこと。全部がんばるなんて、無理!」
主人公、都(みやこ)は32歳にして実家へUターン。
アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら、ふとしたきっかけから、寿司職人の貫一(かんいち)と出会い、付き合うことに…。
恋愛では、年齢を理由に結婚を焦り、仕事では上司からのセクハラ、家に帰れば更年期障害の母の看病。
いろいろな方面に様々な悩みを抱え、日々葛藤しながら生きる女性が「上手に生きる」ことの難しさを描いた長編。
2.激熱フレーズ4選(ネタバレ注意)
まずは導入のこの文章。
物語の根幹に関わるので、誰が言ったかとかは大きくは言及しないのだけど…。
まずは挨拶代わりにシンプルな日本批判。
でも、これあるあるよな〜と思うのでピックアップ。
挑戦する行為を称賛するのではなくて、あくまで結果で評価する(しかも失敗したら容赦なく蔑む)価値観が根強いと日々感じるわけなんだけどそういう空気感を纏った文章で共感。
「失敗したけどよくやった!価値のある挑戦だ!」みたいな思考がもうちょっと浸透してもいいよね、世の中。
ちなみにわたくし、海外経験は殆ど無しなので、この「出る杭は打たれる」的な感覚は、実際には万国共通の可能性もあり。
まあ、いずれにせよあまり気持ちのいいものではないなと思う部分をザクっと切り込んだなーって印象で心に残る。
これは、更年期障害に苦しむ母の心情を表した一節。
つくづく思う、年齢って飾りだって。
ちなみに、僕は中学生の時は死ぬ気頑張れば東大にだって入れる(ドラゴン桜のせいだよね)とぼんやり考えちゃうくらい自己評価激高男でした。
当時は、自らを俯瞰して見れてなかったので、さすがにそのころよりは成長してると信じたいけど、じゃあ「高専の時と比べてどう?」「大学の時との違いは?」「大学院のときは?」と考えると正直大差ない気がしてならない。
これもある意味、作中の母と同じで、年齢を重ねれば大人になると漠然と考えてたけど、そうじゃなかったってことの実感。
「時間が解決してくれる」ってのは意外と万能じゃないよねって、教えてくれたフレーズ。
これもザクっと切り込んだ表現だな~、と感心。
例えばわかりやすいところで言えば、「いじめられる方にも原因がある」とか「セクハラされる方にも隙がある」みたいな…。
これ、個人的に重要なのは「そういう人間もいる」ではなくて「そういう人間はたくさんいる」ってところ。
結局のところ当事者意識、もっと平たい表現をするなら思いやりがないとこういう見方になっていくんだよね~。
だって、自分は被害に遭ってないから。
漠然と「たくさん」側にいた自分の思考を見つめなおすいいきっかけを与えてくれたので、共有がてらの紹介でした。
最後はこれ。
というか、これが共感してほしくてこの本を紹介したまである。
昔、元カノに「もっとこういう服着るべきだよ、あなたはセンスがないから。」って言われたのを思い出した。
作中にもあったけど「お洒落な人は狭量な一面がある」とはまさにこのこと笑
自分の生み出すものに自問自答して拘る人はむしろ称賛したいと思う一方で、他人に対して自分の価値基準を絶対的なものだと思って批判し始めたらなんか敬遠してしまう。
じゃあ自分は寛容かと言われるとそうじゃないのが痛いところだよね。
例えば、マッチングアプリとか「この人は顔がいいから」とか「この人は人気の仕事をしてるから」とかでガンガンいいねしていた恥ずかしい過去もあるので笑
薄い表面上の情報だけ見て、心のどこかで「幸せにしてくれる人」を探してる自分がいるなと思い、自分が寛容とは対極の人間なのだと認識。
痛いところを的確にかつ素敵な表現をしてるので、神フレーズとして紹介。
3.まとめ
いろいろ書いたけど、なんだかんだタイトルが好き。
自分の中では…
同じように見えている世界は実は明日に既に違う世界
同時に様々なことを成し遂げる必要のある人生の難しさ
っていうダブルミーニングで解釈だけど、あってるかは知らんから是非読んで確かめてみて。
あんまり明るい話ではないので、落ち込んでるときには手を出さないほうがいいかも?
別の本の感想もぜひ。
読んでくれた方々にも幸あれ。