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ママはフルーツジッパーに似てない!
フルーツジッパーのことを応援し始めて、1ヶ月ちょっとが過ぎた。
一番最初にフルーツジッパーのことを推し始めたのは夫で、
彼女たちがデビューした時に、何かで見かけて
「こ、こ、これは…!!!!!」
と思ったらしい。
その時私や子供達に、YouTubeをみせて、いかにフルーツジッパーが熱いか、熱弁をふるったのを覚えているが、
私たちは3人とも
「ふーん」でしかなかった。
「わー可愛いね。フリフリで。」
くらいは言ったかも。
その後、サツコレにきたり、ファクトリーにくるたびに夫は
「札幌にくる…」
と、教えてくれていたけど、誰も興味を示さなかった。
そんな自分たちを恨んでる。心から。
わたしの一番かわいいところが流行り、レコ大で見かけ、
昨年はNEW KAWAIIもヒットして、テレビやラジオでも耳にする機会が増えた。
子供達は小学校で、保育所で「フルーツジッパー」に詳しくなり、
YouTubeでMVがみたい!とか、車で曲を聴きたい!と言い出したりして、
自然と生活の中にフルーツジッパーが存在するようになった。
毎日聴くと、声の聞き分けができるようになり、その中でも特に好きなこの声の持ち主は誰なんだろう?と探したところ
ベビーピンク担当の松本かれんちゃんだということを知って、
名前の通りの可憐さと、可愛らしさと、赤ちゃんっぽさ、全部がマジで本当に可愛くて、
ズッキューーンと、胸を撃ち抜かれたような感覚になったのだった。
で、そこからは、早い。
気がつくとフルーツジッパー中心の生活になり、いつのまにかファンクラブにも入ってた。
アイドルを追いかけるのが初めてだったので、最初のうちに課金をし過ぎて破産するかと思った。
アイドルは、Awichとかに比べて、グッズやイベントや、生配信など、動きが多いことを知った。その度に ン千円課金し続けるのは大変だから、
ここぞ!という時に課金することにした。
因みに、すでに“ここぞ!”は数回きてて、
来月はかれんたんのぬいぐるみが届いたりする。楽しみすぎる。
いや、それで、子供達との会話の中にもフルーツジッパーのことがたくさんあるし、
フルーツジッパーを通してコミュニケーションをすることもある。
「新曲聴こう!」とか
「新しいインスタの投稿めっちゃ可愛いよ!」とか。
最近は「かがみ」という曲のティザー動画が更新されていて、日々メンバーの可愛い動画が発表されている。
毎日の楽しみだ。
そんな中、ちょっとした事件が起きた。
その日は、ミントグリーン担当の櫻井優衣ちゃんの動画がアップされていて、子供達と見ていた。
「マジで可愛いね。」と、私。
「めっちゃ可愛い!私、ゆいちゃんが一番好きかも」と、長女。
それに対し次女は「えー!私はみんな好きだけど、やっぱりかれんたんかなぁ♡」
などと盛り上がる。なんて楽しい時間。永遠に子供達とアイドル動画見ていたい!
そこで終わればよかったのに、
私にちょっとした“出来心”が芽生える。
その出来心とは
“子供達は、私のことをいつも、ママ可愛い♡と言ってくれるけど、フルーツジッパーと同じくらい可愛いと思ってるのか、本音を聞いてみたい”
というものだ。
今考えると、そんな馬鹿みたいなこと考えるのやめとけよ!と思う。
だけど、思いついたら止まらない。
聞いてみたい。怖い。でも知りたい。
それで、恐る恐る口に出してみたのだ。
「ゆいちゃんさ、ママにちょっと似てない?」
わかってる。似てない。わかってる。書いてても叩かれるのが怖くて、叩かれる前に謝りたい。ごめんなさい似てません。すみません。
だけど子供たちがどんな反応をするのか、見てみたい!
二人は顔を見合わせて、
あからさまに“はぁ?”
というような顔をした。
冗談だよね?と言いたげな次女に、更に追い討ちをかける。
「ねぇ、ママのことちゃんとみて?ゆいちゃんに似てない?」
この発言により、二人は、
“やばい、ママ、本気で言ってるっぽい…”と、思ったはずだ。
最初の“はぁ?”の表情より、少し曇った顔になり、次女に関してはイライラしてるようにも見える。
「ねぇ、どう思う?似てる?」と私が聞くと、
痺れを切らした次女が、私のおでこを、ゴシゴシ擦りながらこう言い放った。
「あのさ、ゆいちゃん、こんなにおでこベタベタじゃないし、こんなに日焼けみたいな顔じゃない。絶対サラサラしてるし、ほっぺはピンクで全然違うから😡」
それは、とても、大きな声だった。
想像以上にキレててビビったし、
思ったよりも私の悪口めっちゃいうじゃん!
この時、驚いたのは私だけではなく、長女も同じようにビックリしたようで、
少しあたふたしながら、私と次女の仲介に入ろうとしてくれる。
「次女ちゃん、落ち着いて。まぁ、ママ、ゆいちゃんには、残念ながら似てないかなー?」 と、大人の対応だ。
さすが小学生!すでに小学校という小さな社会に身を置いているだけあって気遣いができる!
ただ、どうにかママを傷つけず、だけど本当のことも教えてあげなきゃいけない、と思ったのだろう。
最大限気を遣っている表情で、こう言った。
「なんていうか、似てないし、んーーなんだろ、歯茎の色が全然違うかな?」
書いてても震える。
最初に次女が言った
「こんなに顔ベタベタしてない」も、かなりのパンチだったけど、それを越える爆弾発言だ。
「歯茎の色が全然違う」
なんていうパワーワード!
しかもそれが、気を遣って、どうにか絞り出した優しい長女による発言が故に、
パンチにパンチを重ねた形になった。
歯茎の色、違うだろうなぁ…!
20代のピチピチのアイドルとは、メイクも肌も違うことは理解してる。細さや、かわいさ、髪のツルツルさや、まつ毛のカール具合だって違うだろう。何もかもが違うことなんて、40代を間近に控えてる私が一番よく理解してる。
だけど。
だけど!
「歯茎の色が全然違う」
は、ものすごい現実を突きつけられた気分になったのだ…!!!
私は、その発言を聞いて、
死ぬほど笑った。
「顔がベタベタで、肌が日焼けで、ほっぺはピンクじゃなくて、更に、歯茎の色も違うなら、似てないね😂😂😂」
泣きながら笑った。
悲しくて、じゃなかったはずだ。
心の底から笑えてた…と思う。
何に爆笑してるのか、わからない。という表情の二人が、顔を見合わせて、つられて笑った。
「うん😂😂ママの歯茎は、なんか赤黒いけど、ゆいちゃんは、ピンクだからね😂😂」
いや、ついでにトドメさすなや!
赤黒いんか!私の歯茎は!
フルーツジッパーに似てる?なんて一生聞かない。
ただただ、40手前の、私の現実を突きつけられるということを知ったから。