こいと

とにかく傾聴、傾聴の人生ですが、頭の中ではすごく饒舌。日々頭の中で綴られる文章があんま…

こいと

とにかく傾聴、傾聴の人生ですが、頭の中ではすごく饒舌。日々頭の中で綴られる文章があんまり多いので、何かに書き残そうとNoteを初めて見ました。 何か読みたい、がっつり本を読む程でもない。そんな時に読み流してもらえる軽さで触れてもらえると嬉しいです。

最近の記事

2021/11/09

 金曜日夕方に指示されて校内新聞の原稿を作り始める。  指示は曖昧、素材は申し訳程度に少しだけ提供され、取材の実績もなければ目的、配布範囲、構成に関する指示も何もない。そこから形にしろなんて、なんて杜撰な指示だろう。  先生の指示と、頼りないコメントをもとになんとか徹夜して作り上げたは良いが、土曜朝に提出するも、これではだめだ、というNGが出る。  何か違う、こうじゃない、と言う応答に落ち込む友達を見て、手伝っているだけの自分がつい意気込んで、その先生と会議をさせろ、と

    • 今更自己紹介

       自分のこと考えたら考えた分だけわからなくなるので自己紹介が苦手。ひっそり書きたいものが書ければいいや〜と思って始めたのですが、書いてる人のパーソナリティもわからずでは、数少なくここの記事にたどり着いて目を通してくださっている方にも、Postした記事の意味も背景もなんのこっちゃわからんなぁ……と今更ながら頑張って着手してみます。  昭和生まれの結構良い年齢ですが、結婚歴なく猫ちゃん二匹と暮らしています。そろそろ20年くらいIT系(SIやH/Wでなくソフトウェア、SaaS系)

      • 営業の予算達成プランとかいうやつ

        お気持ちと仕事を切り離して、ただやればいいだけ  昔、営業になりたての頃、あまりに大きな予算(会社によって呼び方違うよね。売上目標のこと)の達成がどうしてもプランできなくて、「プラン?プランてなんだよ!やってみないと先のことはわかんないよ!」とかぐだぐた思ってたんですけど。  当時今でも尊敬するスーパー営業の先輩がメンターをしてくれていて、その先輩は「俺はもう○○億で契約させる絵が見えてるから、あとはその通りただやればいいだけ」って常々おっしゃってまして。で、実際達成させて

        • 2022/04/04

           友人たちと北海道に旅行に行く。そこには自分の恋人も混じっている。チョコレート加工を体験できる場所で、前の人が綺麗に作業台を使わなかったことに苛々している。  自分たちの順番になるが、その苛々した気持ちが残っていたため、施設のスタッフさんに八つ当たりし怒ってしまう。友人たちに宥められるが、私は意地を張った子供のように、内心なぜこんなことをしてしまったのかと後悔しているのに、引っ込みがつかなくて怒り続けている。友人のうち一人が子供っぽい私の振る舞いを笑っている。私は彼にも当たり

          2022/03/18

           仕事に復帰した私は、私が休んでいる間にチームに加わった影山君と一緒に客先に来ている。客先では社長以下大勢の並ぶ会議が行われており、私は顔馴染みなのでそこに参加し各担当者に挨拶をさせてもらっている。彼らは皆陽気で、私のことをとても気に入っている。  これ以上会議の邪魔をしてはいけないといい加減会議室を出ると、外出先から帰ってきたのであろう一団とすれ違う。先頭にはお世話になっている常務がいて、ずいぶん厳しい顔で歩いているが、私たちとすれ違って会議室に入る間際、とても嬉しそうな明

          2022/03/10

           ある寂れた観光地の古びた民宿に私は居る。家族のうち私だけが、ひとり先行して来ており、後からやってくる予定の家族みなを待っている。民宿はただの古い民家で、散らかっており、外廊下に雑に並べられた箪笥には、宿泊客用ではなく住んでいた人間の使う生活用品やガラクタが入っている。医薬品をまとめているのだろう引き出しには、それでもかろうじて宿泊客を意識した未開封ののど飴が入っており、まだ新しいそれを私は取り出す。後で食べようと思ったのだ。  古びて傷んだ水色の網戸越しに外を見ると、黄土色

          2022/01/11

           薄暗い夕方。私はキャンバスのような薄い板状のものと、二、三の空の畳んだ紙袋を右手に掴んで、アスファルトの歩道を歩いている。歩道は道路の右側で、私の左手側にはガードレールがあり、右手側にはおそらく市役所がある。  私は何かに打ちひしがれている。手につかんだ板状のものと一緒に、地面に頽れてしまう。悲しいと言うよりは、悲しさの頂点が過ぎ去って、もうだめだ、と脱力しているようだった。どこかへ向かわなくてはならない。  母が言う。煙草を片手に、どこかはすっぱな物言いで、笑ってさえ

          2022/01/10

           茶トラとサバトラの太った猫が一匹づつ、あの和布団の部屋で丸くなっている。硝子障子に囲まれたその部屋を屋外の道から覗き込んでいる。周りには子供が何人かいる。皆時代がかった服装で、昭和初期くらいのようである。  その部屋は、子供か、ごく一部の大人にしか見えないのだ。だからそこにいる猫も、私と、周りにいる子供たちにしか見えない。子供たちははしゃいでいて、その部屋と猫が見える私がいて嬉しいようである。  私は和紙に筆で、その部屋にあるものを書き出していく。  猫。水飲み用の鉢。

          2022/01/09

           四畳半くらいの小さな古い、真四角の和室に、光沢のある薄赤に色とりどりの鶴や鞠が舞う、晴れ着を仕立て直した和布団が敷き詰められている。  この和布団は、私が3歳の節句で仕立て着せてもらった晴れ着だったはずだ。柄の上品さに反して、その敷かれ方は乱雑で乱れている。私はその部屋を上から見下ろしている。  私はその部屋がひどく恐ろしい。お願いだから思い出させないで、ととにかく心の中で哀願している。胸が硬くいっぱいに恐怖が詰まっている。そんな部屋はなかったし、あの晴れ着にも和布団に

          2022/01/08

           どこかの教室のような場所で講義を受けている。  教室にもかかわらず、着席している人々は、私と同じ年頃の面々から、有名な政治家まで様々だ。移民についてどう思うか、という議題が提示される。私は、自分が指されたら答えることができないな、と考える。なぜかと言うと、それがどのような背景から議論されている政策で、またそれに対しての自分の明確な考え、方向性を持っていないからだ。  指名されることを少し恐れる一方で、不足する情報を最低限質問で補いながら、論点がこれであれば私はこう考える、

          2021/12/12

           今日もまた深夜に目が覚め、健康に眠れないことを嘆いていると、右隣で共に寝んでいる老紳士も目を覚まし、悲しむ私を慰めてくれる。気に病まなくても、そのうちきっと眠れるようになる。そう言って私の肩を宥めるように撫でる。それでも私の悲しみや不安は晴れず、慰められたことでいっそう涙が溢れ、嗚咽すら漏れてくる。  ふと涙を拭った右手のひらを見ると、親指の付け根の腹の部分に、髪の毛先ほどの小さな蟻が這っている。左手で摘み除けるが、小さな蟻は五匹、十匹と、あとからどんどん皮膚の下から湧い

          2021/09/22

           父はたまに我が家にやってくると、勝手に書棚を漁って漫画を読んだり、ゲームをしたりする。私はRPGが好きなので、セーブしてあるゲームもそればかりだが、誰のセーブデータも気にせず勝手にいじって遊んでいるし、私もそれをとがめることなく遊ばせている。  書棚には、以前作ったプラモデルが飾られており、父がそれに関心を持って触れたことがわかる。ポーズを変えられたりしている。私はさして不満もないのに、わざと「せっかく格好良くしてあるのに、触ったの?」と咎めたりする。内心、私は、私の作った

          2021/11/28

           とても大きな洋館は実家で、その広い庭の一角に私の住む離れがある。全ての壁や屋根が透き通った硝子でできていて、くすんだ金色の、真鍮か何か金属で、角の柱や屋根や扉が全て縁取られている。周りは緑あふれる美しい夜の庭園で、離れはその中に暖かい灯りを透かしてふんわりと浮かび上がり美しい。部屋の中は、魔法使いの家のように古びた棚やテーブルがひしめき合って、どこもかしこも鮮やかな色をした溶液をたたえるガラス瓶や、埃っぽく分厚い洋書や、磨かれる前の貴石やらで溢れかえっている。私はこの部屋が

          2021/11/10

           博多の繁華街で空を見上げると、まだ薄明るい夕方なのに、星々が驚くほどきれいに見える。流れ星さえぽろぽろと落ちていくので、私は目の周りを手で囲い、地上の光を遮って一生懸命星を見上げる。  星を見て気分の良くなった私は、誰か他者と体温を分け合いたくなって街を見まわす。ネオンの派手に輝く繁華街で、私は若く、綺麗で、見栄えのするドレスを着ている。夜の街でキャッチの男性が声をかけてくる。  誰かと触れ合いたいな、と思っており、私の外見は美しく、実際に声をかけてくる男性もいるのに、見

          容姿に対する呪いは簡単でかつしぶとい

           悪意を持って投げかけられた言葉じゃなくても、子供の頃の容姿にまつわる評価はその後何十年も当然のように居座るので厄介だな、と思った話。  わたしは長年、自分は醜いと思っていた。太っていて、骨張ってがっしりした体格で、鼻がぼてっとして不細工で、毛深くて、仏頂面で可愛げのない、決して人に褒められる容姿では無いと思っていた。髪も太くて多いし、爪が弱くてすぐ折れたりかけたりしてみっともない。皮膚も厚くて、端々がすぐ固くなって、それが気になって触るのでささくれたりして汚らしい。小さな

          容姿に対する呪いは簡単でかつしぶとい

          2021/10/27

           寝室で眠っていると、玄関からリビングの間を数多くの人が行き来している気配がある。眠る私に構うことなく、それらの足音は忍ばせることさえしていない。各々が笑いあう話し声さえ聞こえる。  彼らは、私の自宅にある諸々の物を持ち出そうとしている。隠れもせず、私なんかが持っているものなのだから盗っていってしまおう、と無遠慮に。価値があるものだから奪ってやろう、というのではなく、価値のない私が持っているものだから、別に欲しくないけど持ち出してもいいだろう、という、そう言いたそうな様子だっ