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私のシャボン玉

私のシャボン玉

私の中にはシャボン玉がある
浮かんでは消える考え
文字にした途端弾ける小説のネタ
空に飛んでいく好奇心
夜になると弾けて消える心の光

私の外にはシャボン玉がある
棘に当たると弾ける友達
それは本当に友達なのか
まとわりつく他人からの期待
結局すぐに消えてしまうけど

シャボン玉は簡単に弾けてしまう
手に触れただけで
角に当たっただけで
強い風に当たっただけで
そして飛ぶ気力を無くしたとき

私の

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ふわりと白いものが降ってきた
差し伸べた手に乗ったのは
今年初めての雪だった
すぐに消えてしまったけど
柔らかい雪だった

触れたら消えてしまう雪
あの春の日に出会った
君のよう
少し胸が締めつけられる

あの日君に触れてしまったから
君は消えてしまったのだろうか
降り注ぐ白い花を見ながら
ぼんやりと考える

雪がとけたら春になる
君がいないなら
春になったって意味がない

濡れた足元を見て
白い

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感情を持たない化け物は。

感情を持たない化け物は。

俺はどうやら化け物らしい
周りが俺を見て言う
あいつは化け物だ
感情を持たない化け物だと
見た目は同じなのに、何故だろう

「おいで」
俺の声に唯一返事をしてくれる
腕の中に収まってしまうくらいの
白い毛玉
俺の顔を舐めては
黒い宝石をこちらに向ける

茶色のカリカリを食べる毛玉
尻尾が左右に慌ただしく揺れる
…元気だな
突然、ぎゅうっと胃が締め付けられた
俺も何か食べるか

冷蔵庫は空っぽだった

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心のエラー

自分の心にエラーが発生した
酸いも甘いも噛み分けられずに
全て飲み込んでしまったからか
心の容量がいっぱいに
なってしまった

自分のことが分からない
自分のことなのに
誰かに尋ねようと思っても
話せる相手なんて何処にもいない

ネットの森を彷徨っていたら
また音が鳴り響いた

『容量不足です』

透明な感情

透明な感情

透明な感情に満たされる

海のような水のような

何かしたいとも思えず

ただ虚無とは違うような

不思議な感情

自分自身が透明な感情に溺れる

不思議と苦しくなくて

居心地が良くて

溺れていたいけど

知らないうちに感情は消える

この感情はなんだろう

名前を読むには青すぎて

滲んだようにしか見えない

そのうち読めるのだろうか

この透明な感情の名前が