月下で恋を歌う 陸(終)
前回
誰も来ないところ…と考えてもやはり、屋上しか思いつかない。放課後に屋上なんてベタすぎるだろ。他に妙案はなかったから、結局屋上に呼び出すことにした。
直接言うのも気まずいっていうか、恥ずかしいから靴箱に手紙を忍ばせておく。いつも通りの授業がやけに長く感じたのは、気持ちが落ち着かないからか。恋愛なんてしないと思っていた俺が、まさかこうなるとはな。
授業も終わり、屋上のベンチで文庫本を読みつつ待つが、内容は微塵も入ってこない。数分くらい経って、こつこつと靴の音が耳に入っ