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記事一覧
博多酔吟集(15首)
スターバックス太宰府天満宮表参道店
木材に深く組まれて空間は保たれながらコーヒーを飲む
勾玉のブレスレットが売ってあるお守り屋さんに集うこどもたち
思い出したように話しかける
長い参道にならぶふたりはふたりとも結婚記念日を忘れてる
見えてきた文字がゆっくり意味になる 〈ひとつの中心のその中心〉
九州国立博物館
一瞬のたのしさがくるかなしさは馬のはにわの写真を撮った
すす
ロックンロールを聴きながらつくった歌
24、5、6くだらなく過ぎていく齢(よわい)も都市の光なのかな
風邪かもな 風邪じゃなかったらいいけどな ルルには糖衣がついててえらい
脳みそが飛び出るほどのシンガロングいいんだ濁ってもその声で
ギターを持ってきみが静かに歌いだす 光のなかを駆け抜ける馬
会っててもきみに会いたい 会ってても手を握ってもそこにはいない
秋は好き 舗道を走るもこもこのフリースのこどもとすれちがう
新幹
浅春集/送春集/暮春集
浅春集(抄)(2015年) 三月十六日、京大短歌追い出し歌会。折句「また会おう」
まさに言葉は旅なのだから愛すればおしなべて咲きうる揚花火
その後コンパで酔い潰れ、榊原さんに家まで送ってもらう
就職しても元気でいてね まだ寒い春にまぶたがぶつかっている
三月二十四日、京都大学卒業式。ぼくは大学院へ進学する。
疏水の横を歩いて帰るイヤフォンを外していても音楽が湧く
三月二十八日、京
ある中華街(2016年7月)
うれしいときみが言ったらうれしいな 太陽がひっくり返っても
ナチュラルアメリカンスピリット喫いながらこの世の続きはどうなるのかしら
500円玉が財布に2枚あるちょっとうきうきする大通り
降りそうな7月の朝 目を閉じてあなたのかなしみをめぐらせる
海岸通りをあなたと歩く 商店街をあなたと歩く 記憶はずっと
神戸なら神戸のなかに心なら心のなかにある中華街
くちびるに味付け海苔を貼り付けてへ
においで醒めた(2016年1月と2月)
御社、って口にするとき恥ずかしい 高価な服を着てるみたいで
参拝の帰りにいなり寿司を買い駅のホームで食べれば冬だ
憎しみは輪郭を得て憎しみは奔馬となってぼくを出てゆく
*
一時間すわったままで聞いていた話のオチがおばあちゃんかよ
寝転んで就活のこと考えてきょうのアルバイトはさぼりたい
友達が最低な夜、飲んでたら最高な夜 まちがってゆく
使いきるだけなのにただ難しいひとりぐらしのココ
春合宿吟行詠(2016.3.23)
ちょっとだけ運転手さんが怒ってる3月23日のバス
船岡山 京都の自然200選 200はガバガバすぎんよとおもう
〈人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢まぼろしの如くなり……〉
ずっとずっと滅んでいこう参道の手すりのペンキが遊具みたいだ
今宮神社
あぶりもちりたかったけれど競合のお店のふたつとも定休日
やくも食堂でオリオンビール(缶)をいただく
クソリプのように生きたい平日の
ワールドイズファイン
常緑樹に降る雨の音を聞きながらコーヒーはひとりで淹れられる
噴水がきらきら喘ぐ 了解ですみたいなメールをたくさん送る
終電をみんなうつむきドアの開く寸前 ほんとうに音がない
母親が見かねてくれたマフラーをやんわりと巻いてバイトいってきます
右も左もクリスマスだね。見上げればサノバビッチのような星々
ワールドイズファイン、センキュー膜っぽい空気をゆけば休診日かよ
だらしなく降る雪たちに