ワールドイズファイン
常緑樹に降る雨の音を聞きながらコーヒーはひとりで淹れられる
噴水がきらきら喘ぐ 了解ですみたいなメールをたくさん送る
終電をみんなうつむきドアの開く寸前 ほんとうに音がない
母親が見かねてくれたマフラーをやんわりと巻いてバイトいってきます
右も左もクリスマスだね。見上げればサノバビッチのような星々
ワールドイズファイン、センキュー膜っぽい空気をゆけば休診日かよ
だらしなく降る雪たちにマフラーを犯されながら街が好きです
街だって自然だし造花だって咲いてるよ。 どうしてぼくだけがぼくなのだろう
検温計を静かにしまう昨日歩いた街のにおいを閉じこめながら
(初出:「京大短歌19号」(2013年)より改変)
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