2024年 ベストミステリー【海外編】
年末の雰囲気が好き
切なく、悲しく、寂しい、一年の終わり。冬の澄んだ夜空を見ていると、そのまま時が止まるような錯覚に陥る。新しい年なんか来てほしくない、ただ吸い込まれるような夜空に浮かんでたいだけなんだ。
なーんて年末の詩をかましたところで、今度は海外ミステリーです。2024年に発売された海外ミステリーのうち、読了できた全54作品の中からベスト10を選びました。どれもバケモノ級の傑作ばかりです、年末年始のお休みのお供に是非どうぞ。
作品のご紹介
1位 魂に秩序を/M・ラフ
多重人格×多重人格の人格群像劇『魂に秩序を』を1位に推す。前半は多重人格障害者の背景や様々な日常が描かれ、後半は自らの過去を探し出すロードノベルになっていく。ミステリーはもちろん、青春、恋愛、サスペンス、冒険小説など、様々な要素をごちゃまぜに含んだ作品。
にじみ出る怪物パワーに圧倒されまくり。長いお話なのに、終盤に近付きにつれて寂しくなり、まだ彼らの物語を読んでいたいと思ってしまう。
人生には色んな困難があるけれど、こんな境遇の彼らでも日々あきらめずに成長している。少しくらい嫌なことがあっても、腐らずに胸をはって生きなきゃと思うわ。今年読んだ全作品の中でNo1です、控え目にいて必読。
2位 両京十五日/馬伯庸
『両京十五日』中国は明の時代1425年。敵が迫る中、南京から北京まで15日でたどり着かなければならない。 超ドエンタメな歴史冒険小説で一度読み始めちゃうと最後まで止まりません。キャラクターの躍動が魅力的に描かれ、思わず一緒に旅に出てる感覚になっちゃう。昨葉何(さくようか)がキュートすぎて尊い、大ファン。
3位 ビリー・サマーズ/S・キング
エンタメ王のキングが描く犯罪小説『ビリー・サマーズ』マジでめっちゃおもろい。まるで映画を見ているかのような会話のやり取り、情緒あふれる厚みのある心情描写、そして壮絶かつ慈愛に満ちた圧巻のラスト、100点満点です。人の幸せって何だっけ…と考えさせてくれる名作。
4位 終の市/D・ウィンズロウ
東海岸のマフィア抗争『業火の市』、ハリウッド映画業界で大暴れ『陽炎の市』、そしてギャンブル街のビジネスマフィア『終の市』 ついに完結した本シリーズ。どんどんシブくなっていくダニーにベタ惚れです。殺し合い騙し合いの犯罪小説なのに、何故こんなにも涙がとまらないのでしょうか…
5位 ボタニストの殺人/M・W・クレイヴン
みんな大好きワシントン・ポー刑事シリーズの第5弾『ボタニストの殺人』 いつもの優秀な仲間たちと難事件に立ち向かうも、学者のエステル・ドイルが逮捕されちゃうという展開。前作よりもエンタメ度がマシマシになって、物語としても読ませてくれる。おもろい!
6位 死はすぐそばに/A・ホロヴィッツ
みんな愛して止まないホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズの第5弾『死はすぐそばに』 オーセンティックな謎解きをベースにしつつも、新しいことにチャレンジしてくる。マジかよこれって斜め上を行く展開で、これまでのシリーズを楽しんできた人こそ、衝撃の渦で混乱するに違いない。
7位 身代りの女/S・ボルトン
今年イチオシの鬼サスペンス&スリラー『身代わりの女』 名門校に通う優秀な学生たちがヤッちまった大失敗。後半はあまりに怖すぎてページがめくれないよ… いや、気になるからめくるんだけども。一度の失敗でいかに普通の人生を歩むのが難しくなるのか、ヒシヒシと痛感させられる物語。
8位 アルパートンの天使たち/J・ハレット
『アルパートンの天使たち』地の文が一切なく、全編メッセンジャーのやり取りやドキュメントだけで進行していく物語。かつてカルト集団が起こした事件をノンフィクション作家が追う。チャットのやり取りが面白過ぎてニヤニヤしちゃうんだよね。ラストの後味も大好きで、モキュメンタリーで綴ってきた意義を示してくれる。
9位 グッド・バッド・ガール/A・フィーニー
いつもヘンテコなサスペンススリラーを提供してくれるアリス・フィーニーの新作『グッド・バッド・ガール』 騙し捻りのテクニックはもちろん、今回は母娘や人の絆を肌で感じられる作品になってます。きっとあなたも大切な人を守ってあげたくなるでしょう。
10位 破れざる旗の下に/J・リー・バーク
『破れざる旗の下に』アメリカ南北戦争の悲劇を描いた戦争小説、2024年のエドガー賞 長編賞。戦争と差別の狂気っぷりを丸ごと描いた作品。豊かで幸せな暮らしや、自由を勝ち取るために戦っているはずなのに、そこには悲劇と惨劇しかない。戦争に巻き込まれた人の死に、どんな意味があるのか…
次点 ターングラス 鏡映しの殺人/G・ルービン
実際に本を裏表上下反転させながら読むという『ターングラス 鏡映しの殺人』 19世紀末のエセックス篇と20世紀大戦前のカリフォルニア篇、お互いに関連し合うという極上のエンタメ小説。どちらも終盤に差し掛かってくると、どう関連するのか気になってゾワゾワ感に浸れる。
作品の詳細レビュー
ベストミステリーにあげた各作品の詳細レビューは、ブクログでまとめています。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
国内編のベストミステリーはこちらです。