映画『ぼくの伯父さん』と言えば寅さん?北杜夫?
映画好きのみなさんにとって『ぼくの伯父さん』と言えば、寅さんシリーズ42作目『男はつらいよ ぼくの伯父さん』でもなければ、北杜夫著の児童文学『ぼくのおじさん』でもありませんね。
そうです、1958年に日本公開されたフランス映画、ジャック・タチ監督主演『ぼくの伯父さん(原題Mon Oncle)』ですね。かつてBOOKOFFでこんな値段で売られているDVDを見かけたのでパシャリ。
た、た、たけえ。
だって、そのとき目と鼻の先のシネコンでこんなのがやってたんだもの。
客は私ひとりでした。平日午前だから仕方ないと言えば仕方ないけれど、こんな名作を1000円で観られるのにもったいない。近所の人の非文化的生活に驚くばかり。東京、名古屋、大阪、広島、福岡、仙台、札幌、那覇ではこんなことないだろうと思ったり思わなかったり。横浜という東京植民地かつ地方都市が非文化的な生活をさせているのかも知れませんが、そこは柳瀬博一氏とか速水健朗氏とかマイルドヤンキーの人あたりが書いてるかも知れないので、そっちを探してくださいな。
劇中に出て来るすべての物のデザインはストリームラインモダンでおしゃれ。笑いは萩本欽一のようにしつこいけど、カラッとしている。しかも主人公にセリフがない。すべて状況で説明する。内容もチャップリンのように説教くさくない。素晴らしいので、観たことない方にはおすすめです。
さて、寅さんシリーズの『ぼくの伯父さん』。こちらは渥美清演じる車寅次郎が主人公の座を降り、吉岡秀隆演じる諏訪満男が主人公になった第一作目。寅さんが満男のメンターを演じるんです。
監督はもちろん山田洋次氏。左翼の傾向がある山田洋次監督ですが、当時はまだまだホモで遊んでいます。ホモをファニーなものとして捉えています。
キャンセルカルチャー的に過去を糾弾するつもりはありませんが、ご本人は「昔はよかったけど今はダメ」とは言ってはいけないと思います。言ってないし、言わないと思いますけど。もちろん私だって、「とんねるずの石橋貴明氏が保毛尾田保毛男で怒られたのなら、山田洋次氏も怒られろよ!」なんて言いません。
あ、ホモって書いたのはWikipediaの記述に基づくものであって差別的意図はないです。ほらね。
さて、北杜夫著『ぼくのおじさん』。2016年に山下敦弘が映画化するということで文庫本を買ったんです。そしたら本棚にありました。ダブったんですねえ。
いい映画でしたが、雪男(ぼく)の作文形式にしなくてもよかったのかなと思いました。でも、作文形式にしないと『ぼくのおじさん』というタイトルにムリが出るので、作文形式でもいいのかなとも思いました。
ウェルメイドな良作だと思います。ハワイに行って戦争のことに触れているあたり、オフビートなコメディの中にメッセージが込められていてよかったです。あれ? 戦争のことなんて触れてたっけ? 違う作品と勘違いしてるかな?
王ケイ