「どろんこ村」-子どもたちが「生きる」を学ぶ楽しいところ!
渥美半島で有機野菜を作り、豚やヤギ、ニワトリと共に暮らし、全国から来る子ども達へ、ファームステイを通して命の循環や共に生きることの大切さを伝えている、「どろんこ村」の小笠原さんと渡部さんご夫妻。世の中が便利になり、自分たちが食べているものが何処から来ているのか、自分達の口に入る前にどれだけのものが無駄にされてきているか、などに無知になっている人が多いのではないでしょうか。そうした便利という所から真逆のところで、「生きる」を学べる「どろんこ村」のお話です。
私が彼と初めて出会ったのは、39歳の誕生日の前日だった。
もう冬の初めだというのに半ズボン、裸足に草履をはいて来た彼は、赤いバラの花束を私にくれた。野菜といっしょに配達して残った物だったが、思わぬ誕生日プレゼントみたいでうれしかった。マンションの玄関で、半ズボンのポケットから出して真新しい靴下をはいた彼の、手と足の大きさにびっくりしたのを覚えている。
彼はそのとき34才、渥美半島の農家の長男だった。
その頃私は、1年半前に離婚して、3人の子どもを育てながら働き、...
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