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なぜ女性は、パンが好きなのか?

仕事柄さまざまな”食べ物狂”に出会いますが(私はベトナム料理狂)、パンラヴァーの熱量たるや半端ないなと、強者に遭遇する度に思ってしまいます。小麦粉を発酵させた炭水化物のかたまり(失礼…!)に群がる人々を見ると、結局人間は糖質をオフすることはできないんだろうなぁと思ってしまいます。

パンへのほどばしる熱量を知っているから「なぜ人はパンが好きなのか?」もっと言うと「なぜ女性はパンが好きなのか?」の考察は避けていました。
阿古真理さんの著書「なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか」や阿古さんのパンに関する東洋経済の記事からしても、その食文化の奥深さから、私はひっそり慎ましくしていようと思っていました。

福田さん、菓子パンに”はしゃぐ”のって恥ですか?

でも、悲しいなパンの考察を見てしまったのです。
ネガティブなことは書きたくないので簡潔にしますが、福田和也さんの「悪女の美食術(講談社)」「菓子パンの昼食にはしゃぐ、恥知らず」という章があって、そこでは昼食にパンを購入する女性についてまとめられています。

どうも女性のパンに対する思い入れは男性よりもはるかに強い。
これは一体何を意味してるのでしょうか。
これを、女性がパンが好きだから、と云ってしまってはつまらない。
(中略)
私なりの解釈を述べさせていただくと、まずはその手軽さですね。パンは後始末も簡単、臭いも残らない。それに第一、ローコストである。
さらにファーストフードや弁当から比べれば、低カロリーである。これも大事なポイントでしょうね。
早く、安く、比較的に低カロリーでしかも面倒くさくない、ということでパンの至便制の高さは際立っているのです。

人間性を放棄した「おやつ食」
(中略)
昼をパンですませて、どうして、ああも楽しげにしていられるのか。食事とも言えない、むしろそれを否定するものを摂取しながら楽しげであることに疑問を感じたない精神が理解できないのです。

和田さんの考察で共感できるのは「手軽さ」だけでした。
私は「低カロリー」という視点でパンを選ぶ女性に私はまだ出会ったことがありません。パンを買う時に、左脳的に行動するでしょうか?もっと本能的にパンを喜々といてトレイに載せている女性をよく見ます。

長い前段となりましたが、
そんなこともあって改めて私なりのパンへの考察をまとめようと思ったのです。

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女性がパン好きになる、4つの理由。

女性が比較的「パン好き」になる大きな理由は、主に4つあると思っています。ひとつひとつ説明していきますね。

【理由1】女は、ショーケースに弱い生き物。
【理由2】
パンはカスタマイズできるから、お店の差別化が無限になる。
【理由3】依然「パンはお店で買う食べ物」。
【理由4】ライフステージで訪れる「朝はパン派」のきっかけ。


【理由1】女はショーケースに弱い生き物。

「パン屋さんに足を踏み入れた瞬間」「パンを口の中に頬張る瞬間」、
あなたが興奮するのはどっちのタイミングですか?

私は断然、前者です。
パン屋さんに入店し、眼の前に広がるパンのショーケースや棚を見た時に「何を買おう!」と大喜びします。この感情はパンに限らずデパ地下の惣菜店やお菓子屋さんでも同じ感情を覚えますが、均一サイズのケーキが礼儀正しく並ぶ洋菓子店より、大小様々なサイズや形のパンでギーっシリと埋め尽くされているパン屋さんのほうが購買意欲を掻き立てられているように思います。

そう。パン屋さんは、ショーケースの中にギュッと敷き詰めるような陳列(ドン・キホーテ式/ヴィレバン式陳列)で、女性の心を掻き立てているのではないでしょうか。
女性が好きなショーケース×購買意欲を掻き立てるドンキ式陳列となれば鬼に金棒。
この陳列は、パンと比較される「おにぎり」の売り場ではこうはいきませんよね。

【理由2】パンはカスタマイズできるから、お店の差別化が無限になる。

パンと対比されるのは役割や食べるシーンが近しい「おにぎり」になりますが、パンとおにぎりでは、作り手のカスタマイズする変数の違いが圧倒的に異なります。

▼パンの変数
・使う粉の種類(小麦粉が米粉か、など)
・使う粉の産地
・使う水
・使うバターや油の産地
・酵母が天然かどうか
・種類(ハードかソフトか、リッチかリーンか)
・製法(ストレート法か中種法か)
・生地をねかせる時間
・燒く温度
・焼き上げるタイミング
・カテゴリー(菓子/惣菜/サンドイッチ/食パンなど)
・トッピングはどうするか
→チーズやベーコン、はちみつやこしょう、バターなど。合わせ方は無限大
▼おにぎりの変数
・米の産地
・米の炊き方
・合わせる具材
・合わせる塩の種類
・握り方
・海苔の産地

この変数が多ければ多いほど、各々のお店でカスタマイズがその店の個性となって差別化につながります。
その変数のカスタマイズ性が時代にフィットした時、食の情報雑誌や女性誌を賑わせてくれるわけ「人気パン屋さん」が出来上がるわけですもんね。
結果としてファンの好奇心を枯らすことはなく、ずっと夢中でいられるわけです。

【理由3】依然「パンはお店で買う食べ物」。

調理家電の技術も発達し、自宅で手軽に外食のメニューが作れるようになりました。レストランのメニューのミールキットもある時代ですからね。

でも、パンはなかなか気軽に自宅で作れません。
ホームベーカリー家電はありますが、家電の世帯浸透率はわずか。プロが作るパンとはやっぱり次元が違います。すると必然的にパンが食べたくなったらお店に行く構図が出来上がります。
人は自宅外で食べたり飲んだりするだけで、特別な経験として記憶されて「パンはハレの日の食べ物」、「食べると幸せになる」と認識します。

たくさんの選択肢の中から自分で選んで食べるという行為自体が、女性の喜びに直結し、心が満たされていることでしょう。

おにぎりは日本の主食、炊飯器の家庭導入率は90%以上。
すると、自宅で日常的に食べている分、おにぎりに毎日高揚するのは難しいですね、

【理由4】ライフステージで訪れる「朝はパン派」のきっかけ。

最後にお伝えするのは「あるタイミングからパンが好きになった」。という女性陣。
そのタイミングはズバリ”子育て世代になったタイミング”です。
パンは白米と違って、幼い子どもが1人でこぼさず食べてくれるため子育て世代の朝食がパン派にスイッチされやすい傾向があります。
(だから、余った食パンを使ったアレンジレシピが絶えないのです。)

朝食は1年で365回。
その度にパンを食べていると、自然とパンへの関心が高まるもの。
子どもに手がかからなくなって、ちょっと高級食パンに財布の紐がゆるんでしまう大人の女性陣の気持ちがよくわかります。


といいつつも、最近は外国で寿司に代わって「おにぎりブーム」が来ているのだとか。それはまた別の話として近々まとめようと思います。
そして私は、申し訳ないのですが「ごはん派」です。

糖質最高!!!

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