定年後の夫の育て方(4)洗濯ばさみは?
定年後の夫の育て方、第4回です。
以前の話はこちら
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わたしの働いたお金はわたしのもの、じゃない
夫が会社を退職して1ヵ月半が経った。
少し休めば働き出すだろうと思っていたが、どうやら働くつもりがないらしい。
本当に働かないんだ。あつこ、がっかりする。
なぜがっかりをしているのか、
理由はわかっている。
●過去のパートの給料は、全部あつこのもの
●今のパートの給料はすべて家計に入る
なんだかモチベーションが上がらないのだ。
今までは自分の口座の残高が増えていくだけだったけど、これからはそうはいかない。
ある意味、今までいいとこ取りをしてきたわけだが。
(でも、働いている主婦の皆さん、そうですよね、自分が働いたお金は自分のもの・・・じゃないですか??)
退職する前に、この家計関係についてちゃんと話し合うべきだった。
夫の収入がなくなるので、
妻が働くお金はその代わりに家計に入れるという単純な考えしかなかった。
多少の貯金があったので、そこまで切羽詰まって考えていなかった。
ところが、かなりの勢いで目減りしていく。
(この問題は、いろいろあった挙句に、
きちんと話し合うこととなる)
理科系夫は緻密な性格であるが、
会社を辞めて自分の健康状態を良くしたい気持ちが強かった。
働かないの?と聞くのをやめる
60歳以降も働くとするならば、
もとの会社、もしくは関係会社などでできるだけ長く雇ってもらうのが賢明だ。
夫は、継続雇用の期間の途中で自ら退社したため、就職の斡旋はなかった。
週五日働くつもりもない。
働きたいというモチベーションが消えてしまったのだ。
娘2人を社会人になるまで面倒を見たのだから、もう休みたかったのだろう。
重大な案件を背負って、
出張に出かけるときの悲壮な顔をふと思い出した。
「働かないの?」と聞くのは、もうやめにしよう。
洗濯ばさみ
ならば、家で働いてもらうしかない。
野菜を茹でるのはだいぶ上手になってきた。
キャベツのスライスもできるようになってきた。でもそんなの当たり前。
洗濯物をこんでもらおう。
今まで数えるほどしか洗濯物を取り込んだことがないけれども、まぁ平気だろう。
会社から帰ってくると、確かに洗濯物は取り込まれていた。
しかし。
竿にびっしりと洗濯バサミが付いている。
しかも、干したときのまま、竿じたいが取り込まれていない。
わたしの洗濯スタイルとしては、洗濯バサミは全部取り外してカゴに戻しておく。
竿も全部取り外して、ベランダの床に置いておく。
もし強い風などが吹いてきて、万が一、竿が道路に落ちたら危ないからだ。
自分でも思いがけないほど強い口調で言ってしまった。
あつこ「洗濯バサミをちゃんとしまえないの?」
あつこ「それから竿もちゃんとベランダの床の上に戻さないと。
落ちたら危ないでしょ」
あつこ「言われなくてもそのぐらいわかると思ったのに」
理科系夫、明らかに不機嫌な顔になった。
「わかったよ」とボソリ。
シソが
薬味にシソが欲しかった。
理科系夫「買ってくる」とフットワーク軽く出かけた。
が、しばらく経ったあと
「品切れだった」と帰ってきた。
シソが品切れなんてある?
理科系夫「大葉(おおば)はあったけど、シソはなかった」
あつこ、固まる。
あつこ「あのね、大葉ってシソのことだよ」
続いて夫が固まる。
あつこ「なんで店員さんに聞かなかったの?」
理科系夫「店員に聞かなくても見つけられるのが面白い」(精一杯の強がりだった、あとから考えると)
あつこ「子供じゃないんだし、ちゃんと聞いて買ってきてよ」
夫は黙り込み、会話のない冷たい食卓となった。
このとき、夫はかなりへこんでいた。
定年後の夫婦の危機が訪れるまでもう少しである。
音声配信で、なぜ夫にそんなに強く、洗濯バサミの件で怒れたのかお話ししています。女性ならわかる感情かと(笑)