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お散歩ふりかけ #2 ―影を見つける―
明るいうちのお散歩では、必ず光があり、影が出来る。
とても当たり前のことではあるけれど、ふと目をやると、色々な形や線があって、その影を作っている実体の存在に感動してしまうことがあるのだ。
お散歩することで太陽の光を浴びたり、適度な運動になったりして、リラックス出来るというのはよく言われるし、特に疑問もなく納得できる。
ぼんやり歩いていると、思考もひと休み出来て良いのだろう。
私の場合、歩きながら影を見つけては思いを馳せることで、自分がなんだか知らないうちに背負っている『意味』から解放されて、頭を空っぽに出来るのだ。
方法としては、ただ影を見つけるのではなく、その影を有機物と無機物に分類しながら歩く。
分類してみると、自然と人工とが自分自身と触れている部分を見つめられる気がする。
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例えば、木漏れ日。
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有機物の影は、線の境目があいまいで、動きがある。常に揺らいでいて、1秒たりとも同じ影は出来ない。
『生きることは変化することである。』
そのことを視覚的に示されている気がして、なんだかふっと、気が緩む。
歩いている私の影も常に変化していて、"私も生きているんだなぁ" と、ぼんやり思えて安心する。
一方、建物などの無機物の影は、線がくっきりしていて、同じ間隔を保ちながら、ただ時の経過によってしか影の形を変化させない。
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はっきりとした影を見ていると、緻密な計算によって設計された物理性を感じる。
『人生とは、単に物理的な時間である。』
そんな風に思えてきて、色々なことに意味や目的を見出そうと躍起になっている日常から距離を置ける気がしてくるのだ。
人生はただ与えられた時間であるのだと思うと、意味とか目的を見出しても見出せなくても、どちらでも良くて全て自由なんだと思えて、なんだか呼吸がしやすくなる。
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それなりに与えられた時間の中で、それなりに変化していくだけである。
実感はなくとも、何となくそんな風に感じられるだけで、あまりにも具体的すぎる考え事が、大きく柔らかなひとまとまりになって、心が軽くなる。
さまざまな影の形を楽しみながら、ゆるやかに思考が溶けてゆくのである。
みなさんも影を見つけながら、お散歩してみてはいかがでしょうか。
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