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うどんと私

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日本各地でうどんを食べた記録
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いつも肉うどんを食べてしまう

いつも肉うどんを食べてしまう



前日の夕方から本格的に降った雪は、稜線上に融けることなくそのまま残っていた。杉の木の枝に積もった雪は日光であたためられて水滴になり、森の中はさながら雨が降っているようだった。

登りの道が一部崩落していてもその案内すら出ていないような人が来ない峠だったから、雪に残った一人分の足跡を発見して、自分と同じような物好きがいるのだとうれしくなった。

始発の自分よりもさらに早い時間に来ているその足跡は

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だいたい肉うどんを食べてしまう

だいたい肉うどんを食べてしまう

ミックスうどんとかスタミナうどんのような、天ぷらなんかの盛り合わせではない単体トッピングでの肉は、うどん界の具ヒエラルキーでは最上位にいる。自分が肉うどんを選ぶのは、うどんメニューにおけるフラッグシップだからという理由が大きい気がする。

しかし大阪でうどんを食べ歩いてみると、肉うどんと同じ位置に、もしくはその上位に牛スジうどんや油かすうどんがいることがわかった。これはとても悩ましい問題で、他所の

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なんとなく肉うどんを食べてしまう

なんとなく肉うどんを食べてしまう

 旅に出るといろいろなうどん屋をまわりたいから、水分は取るけれど余計なものは食べないようにして可能な限り毎食うどんで済ませるようになる。

 最近は旅の後半になると疲れを感じるようになってきて、おそらくは年を取ったせいだろうから仕方ないかとおもっていたけれど、九州を旅行していた時にふと気になって二日間の食事を書き出してみたところ、こういう結果になった。

菓子パン
肉ごぼう天うどん
肉ごぼう天うど

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新開地の立ち食いうどんのつゆ全部抜く

新開地の立ち食いうどんのつゆ全部抜く

 ファストフードとしての寿司を初めて体験したのは新開地アーケード入り口のところにある源八寿しで、注文してから1分くらいで寿司が出てくるのは衝撃だった。しかも安くておいしい。

 東京の回らないお寿司屋さんにあまり惹かれないのは、いまいち事がスピーディに進まない点だったことに気づかされたりした。

 そんなわけで大阪を通りがかる度に、隙を見計らっては源八寿しに通っていると、新開地の商店街には良い古本

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毎日名玄のうどんを食べてしまう

毎日名玄のうどんを食べてしまう

 人生の残された時間の中でピンクフロイドの『狂気』をあと何回聴けるのか、これは多くの人が常日頃から考え、悩んでいることではあるけれど、自分はそれにプラスで名玄のうどんをあと何杯を食べられるのだろうかということをいつも考えている。

 名玄との心の距離は近くてすぐそばにある気ではいるけれど、東京にいる限りは物理的な距離があって、名玄のうどんを食べられない問題がある。

 長いこと社会人のフリをしてう

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名玄について私が知っている二、三の事柄

名玄について私が知っている二、三の事柄

 自分がこの世でもっとも愛するうどん屋、岡山県の平井にある名玄について、公式ホームページで基本的なことはわかるのですが、それ以外のTIPSなど知っていることを書き残しておきます。

・名玄について

 50年近く岡山で愛され続けている老舗のうどん屋さんです。セルフ方式のうどん屋はここ由来といわれていたりもしますが、個人的にはさすがにそれはどうだろうとおもっています。

 思いのほか、ホームページが

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うどんは食べないと逃げてしまう

うどんは食べないと逃げてしまう

 8月にバルベースさんと大阪で合流して古書店を巡ったりお茶をしたりした時、ちょうど天神橋筋商店街にいたこともあって昼ごはんに自分イチオシの天六うどんを紹介しようと向かってみたものの、店が見当たらない。

 嫌な予感がありつつもすぐに検索してみると閉店情報がでてきて、跡形もなく取り壊された店内に唯一、看板だけ残されているのをみつけた。

 旅先ではわりとゲボ吐きそうになりながらうどんを食い歩いている

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いつのまにかうどんを食べてしまう

いつのまにかうどんを食べてしまう

 さぬきうどんを初めて食べたのは、かつて中国・四国地方に住んでいる人間が皆レオマワールドを目指した時代のことで、帰り道に適当に入ったロードサイドのうどん屋でのことだった。

 夏の時期だったからざるうどんを頼んだけれど、一口目の印象は「これはうどん?」だった。両親とかは香川のうどんだからこういうもんじゃという感じで食べていたけれど、当時の自分にとってその堅すぎる食感は消しゴムにしかおもえなかった。

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