嫌なことが何度も頭に思い浮かんでしまうのは男女どちらが多いのか

男女の心理学的な特徴の違いについては,本当にいろいろなことが言われます。最近は特に「脳」に絡めて記事が書かれることも増えているのではないでしょうか。たとえば「男性脳」と「女性脳」といった書かれ方ですね。

性別による違いを研究することに問題があるわけではありません。実際にいろいろな「違い」は研究の中で観察されます。

男性と女性

こういう記事はけっこういろいろなところで目にします。

たとえば,「男性脳と女性脳の違いとは」という記事です。この記事の中に,次のように書かれています。

女性脳の場合、経験したことを言葉であとから延々と反すうします。女性脳の得意分野である言語を操るので、1の出来事が3にも10にも情報として膨れ上がるのです。逆に、男性脳の人は経験したことをぼんやりと忘れて半減していきます

反すう

物事を何度も何度も繰り返して考えてしまうことを,反すう(rumination)といいます。

反すうにもパターンがあるようで,落ち込んだり抑うつ的になったりしたときに,その原因を「どうしてそうなってしまったのだろう」と何度も何度も考えてしまうことを,抑うつ的反すうといいます。

また,特に落ち込んだりする経験がなくても,とにかくネガティブなことが何度も思い浮かんでしまうことを,ネガティブな反すうと言うようです。

嫌なことが何度も思い浮かんでしまうと,どんどん落ち込んで抑うつ的になる可能性が高まります。できれば,こういう思考は止めておきたいところです。

なお,反すうについては,自意識について書いた記事の中でも触れたことがあります。

反すうの男女差

先ほどの記事では,女性の方が男性よりも言語を使う(ような「脳のつくり」になっている)ので,女性の方が反すうをおこないやすいということが書かれていました。

しかし,反すうという行動自体は,脳を調べなくても研究をすることができます。心理学では,普段の生活の中でどの程度反すうをする傾向にあるのか,質問紙による調査で研究が行われてきました。

この論文(Gender differences in rumination: A meta-analysis)では,そういった研究を統計的にまとめて統合するメタ分析を行うことで,反すうには男女でどれくらいの差があるのかを検討しています。

メタ分析を行うために集められた論文は59本,統計的に統合されたのは14321名分のデータでした。

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