
食の問題と性格をつなぐのは遺伝なのか環境なのか
食に関する問題を抱えると,生活全般がなかなか苦しいものになります。今回のテーマは摂食障害(拒食や過食)なのですが,摂食障害だけでなく,胃腸の調子が悪くなったり口のなかの疾患など,食に関する問題を抱えると気分も全体的にどんよりとしたものになってきてしまいます。
自分自身,少し前に胃の調子が悪くなってしまい,ものをあまり食べることができなくなってしまいました。その後,病院に行って薬を処方してもらい,よくなったのですが,やはり食べることが難しくなる状態というのは,楽しみも失われますし気分も落ち込むものだなと感じました。
摂食障害
摂食障害は,単に食行動の異常だけを指す言葉ではありません。以下に書かれているように,体重へのこだわりや自己評価の問題などを伴う障害です。
単なる食欲や食行動の異常ではなく、1)体重に対する過度のこだわりがあること、 2)自己評価への体重・体形の過剰な影響が存在する、といった心理的要因に基づく食行動の重篤な障害です。
摂食障害には大きく2つのパターンがあります。
◎神経性食欲不振症(anorexia nervosa):強いやせ願望や肥満への恐怖を伴う
◎神経性過食症(bulimia nervosa):過食への衝動を抑えられず,短時間に大量の食事をとってしまうが,体重増加への恐怖から体重をコントロールしようと試みる
1998年の統計ですが,日本でどれくらいの患者さんがいるかというと,神経性食欲不振症が10万人中5人前後,神経症過食症が10万人中3人程度となっています。
1998年に全国の医療施設(23,401施設)を対象に実施した疫学調査(図1)によると、患者推定数(罹患率)はANが12,500(人口10万対10.0)、BNが6,500(人口10万対5.2)、EDNOSが4,200(人口10万対3.3)でした。
摂食障害と性格
摂食障害のうち,暴飲暴食の経験はパーソナリティ特性にどのように関連するのでしょうか。アメリカのミズーリ州で行われた研究があります。この論文を見てみましょう(Is the relationship between binge eating episodes and personality attributable to genetic factors?)。
ここから先は

日々是好日・心理学ノート
【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?