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ボーダーラインと速い生活史
境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン・パーソナリティ・ディスオーダー)は,不安定な自己認識や衝動性の強さ,感情や思考のコントロールしにくさ,自己破壊的な行動を特徴とするパーソナリティ障害の一種です。ゼロか100か,敵か味方かといった白黒はっきりさせようとする思考や,対人関係上の問題となって問題が表面化することもあります。
このパーソナリティ障害は,虐待やネグレクトなど発達初期の環境に起因するともいわれています。厳しい環境に対する一種の連鎖反応のようなものとして,この障害を捉えることができるという見方です。
そして,厳しい環境の下で育つことで助長される特徴だといわれているものに,速い生活史戦略があります。
生活史戦略
これまでも何度か,生活史理論(ライフヒストリー理論)については取り上げてきました。これは,生きている中でどのあたりに資源を投入するか,という戦略から生物や人間のライフサイクルを捉える見方です。おおよそ2つの相反する生活史戦略があると考えられています。
r戦略・短期的戦略
◎性成熟の速度が速い
◎生涯パートナー数が多い
◎子どもの数が多い
◎養育への投資が少ない
K戦略・長期的戦略
◎性成熟の速度が遅い
◎生涯パートナー数が少ない
◎子どもの数が少ない
◎養育への投資が多い
生まれてから十分な資源が与えられないと,短期的な戦略(r戦略)をとるようになると言われています。資源が少ないので,できるだけ速く資源を生殖に傾け,来るべき脅威が生じる前に早め早めに衝動的に物事に対処しようと心掛けることになります。
境界性パーソナリティ障害と短期的戦略
ということは,境界性パーソナリティ障害と短期的な生活史戦略には関連があるのではないかという想像が成り立つのですが,実際には関連するのでしょうか。
このことを検討した論文がありますので,こちらを見てみましょう(Borderline Personality Disorder in a “Life History Theory” Perspective: Evidence for a Fast “Pace-of-Life-Syndrome”)。
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