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むさしの写真帖

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「写真っていうのはねぇ。いい被写体が来たっ、て思ってからカメラ向けたらもう遅いんですよ。その場の空気に自分が溶け込めば、二、三秒前に来るのがわかるんですよ。その二、三秒のあいだに…
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2024年9月の記事一覧

老人の家

老人の家

もうだいぶ昔の話だけれど、ボランティアの真似事みたいなことをしていて、特別養護老人ホームへ通っていた時期があった。
そこは要介護認定でも重度の段階の人が多く、ほとんどの人が認知症であり、車椅子での生活をしているか寝たきりという施設だった。
ぼくは介護の資格を持っているわけじゃないから、話し相手になったり、介護士さんの手伝いをする程度だったけれど、病院や自宅への送迎などの車の運転をする事もあった。

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虹をわたって(71回目)

虹をわたって(71回目)

イルミネーションを飾る工事中。
冬の粧である。
まあもう10月なんだもんなァ。

こちらはようやく開いてきた彼岸花である。
場所によっては見頃になっているらしいが、うちの近所の畑ではこんな感じだ。
暑かったせいなのか赤が薄い。
これはちょっと現像でいじくった。
だってホワイトバランスもおかしかったんだもん。

1972年発売らしいから、ぼくは6歳か。
この頃の歌を結構覚えていたりするが、聞く媒体は

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43(70回目)

43(70回目)

ライカQ3 43が話題だ。
もちろん界隈の話。
43というのはレンズの焦点距離のことで43mmのレンズが付いているということだ。

43mm。
聞き慣れない。
聞けば43mmというのはフルサイズ(36mm×24mm)の対角線長らしい(正確には43.2mm)
なので倍率がちょうど1倍になって圧縮も歪みもないらしい。

でもなぁ。
それは撮像がその比率であるのが前提ではないのかな。
イメージサークルで

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あのころの午後8時

あのころの午後8時

高校の頃。

部活が終わり、ぼくら下級生は後片付けして帰るから少し遅くなる。
疲れ果ててそれほど言葉も出ない。

「なぁ」
ん?
「腹減らん?」
減った
「ラーメン行こか」
おう

疲れてるんだから真っ直ぐ帰った方が良いに決まってるのに、何となく寄り道をしたくなるのは、もうこんな頃から始まっている習性なのか。

真冬の街にポイッと出ると、風の冷たさに景色がじんわり滲む。
いつもの中華料理屋まで、い

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何かに頼ると感性は育まれない(69回目)

何かに頼ると感性は育まれない(69回目)

ここまでEF20-32mm f3.5-5.6USM。
ここからEF28-70mm f3.5-4.5II。

アマチュアはお金をもらわないから動機が純粋で自由。
お金が発生するとなると大変。
余計なことをしてしまうかも知れない。
与えられた環境でできることをやればいい、余計なことをしようとするから無理が生まれる。
イコール自然。

雑音の中では聞こえないものを雑音を廃した中で聞く。

ぼくの言葉は方

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なにも起きない日を過ごしたいのだ(68回目)

なにも起きない日を過ごしたいのだ(68回目)

体調がすこぶる悪いので、主治医のところに行って「あれこれ」診てもらった。
声の大変によく通る主治医は、待合室の人たちにもよく聞こえる声で「あれこれ」とぼくに訊ねる。町医者にプライバシーもへったくれもない。
まあ聞かれたところで平日の午前中なんて爺さん婆さんばかりだが、ぼくはできるだけ他の人に聞こえないように「あれこれ」と答える。
そしていつもの薬をいつものように処方してもらう。
で、結局なんなんだ

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西日のあたる部屋(2013年)

西日のあたる部屋(2013年)

前に怖い体験談を書いていて、誰かに聞いた話の中で、ぞわっと鳥肌がたった話を思い出したので、ついでに。
そういう話が苦手な方はスルーということで。

70年代の頃か。
大学進学で上京した青年(以降A君とする)は、不慣れな土地でもあるので、なるべく大学から近い場所でアパートを探した。
金もないので出来るだけ家賃が安く、それで便利が良い場所となると、かなり選択は狭められ築30年にもなろうという木造2階建

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人気なさすぎなそれ(67回目)

人気なさすぎなそれ(67回目)

この記事の前後はほとんど見られてない。
写真自体は悪くないと思うんだけど、見てもらえる要因というのはそういうところだけではないんだろう。
気にしてないようで気になる。
なのでむりくり見てもらえるように記事を貼り付けるというあざとい真似をしている。
見てね。

今日はまた昼間は夏になった。
どうも体調が悪く半日休みをもらって寝ていた。

起きて飲み物を買うのにコンビニに行く。
ポケットにカメラを入れ

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伊勢湾台風の日だった

伊勢湾台風の日だった

今日9月26日は伊勢湾台風が上陸した日らしい。
1959年、昭和34年のことだから、ぼくはまだ影も形もない。
今でも大きな台風が来ると「伊勢湾台風並みの...」というアナウンスをよく聞くが、それを聞いて台風の規模が分かる人はだんだん減っていくんだろう。
たぶん70歳以上じゃないとイメージがわかないんじゃないかな。

ぼくは父親からよく話を聞いた。
雨戸が飛ばされそうになって家族総出で押さえたことと

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モノクロな気分だった(66回目)

モノクロな気分だった(66回目)

フィルムを使っていた頃はモノクロばかりだった。
1日に1本は使ったからコストの問題が大きい。
そう言えるくらいモノクロフィルムは安価だった。
自分で現像して、そのあとはスキャンしたり紙焼きしたり。

街でのスナップも花を撮ったりするのもモノクロだった。
別にそれでなにかを表現したり主張したりする訳ではない。カメラにいつも入っているのがモノクロフィルムだから、それで撮っただけだ。

少しコントラスト

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Candid(2013年)

Candid(2013年)

(こんなことを今どき書くと◯◯ハラだ!とか言われるんだろうなァ)

近頃のお母さんは子連れでなけりゃ、とてもお母さんには見えないくらい若くてキレイな人が多い。
自分の幼稚園の入園式の集合写真を見ると如実に分かるが、大げさじゃなくて現在の感覚で言うと、お祖母ちゃんと写ってる?と思うほどに、昔のお母さんたちは「The お母ちゃん」していた。
それはお父さんも同様で、僕は今年47歳(11年前の記事ね。現

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今度は今度 今は今(65回目)

今度は今度 今は今(65回目)

遅ればせながら「PERFECT DAYS」を録画したものを観た。

もしもまだご覧になってないなら観てみるといいと思う。
ぼくが言えるのはそれだけ。

まだライカがM8を出したばかりの頃、プロモーションビデオをヴィム・ヴェンダースが作っていて、それが大変に出来のいいものだった。

たまにはモノクロもいいな(すぐ影響される人)

ご近所(64回目)

ご近所(64回目)

ご近所をほっつき歩く。
こういうのがいい。
どこか撮りに行くのも悪くないが、半径1kmとかでなんでもないものをちゃかちゃか撮るのがぼくの写真っぽい。

しろばんば

しろばんば

コウモリを見ないな、と気付いたのは最近だ。
子供の頃、夕方になると手のひらほどの大きさのコウモリが空を乱舞している光景は日常だった気がする。
我が家の近くだと、ムクドリやカラスばかりを見かけ、コウモリは全く見かけない。
勢力分布だけの問題かも知れないが、カラスもムクドリも異常な数なので、生態系に変化があったのだろうか、とも思う。
そんな事を思っていた矢先、もう少し郊外で車を走らせていたら、信号待ち

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