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初夏の歌「ラ・ムーたこ焼き」

※短歌・俳句集その2です。

大昔にしたためた、こっぱずかしいポエムってありますよね。
黒歴史?デスノート?もう燃やしちゃった?
失くしたものはいつもあなたの心の中にあるのですよ。

「年頃の女子がどうして詩を書かないことがあろうか」

年頃でないので詩なんて書けないよ!
でもあれこれ推敲するのは、大人のたのしみですね。

あまりロマン溢れるのは恥ずかしいけど
くすっと笑えるけど変な歌ってのが最近の気分。
写真もEPIKとやらで加工してみました。もし良かったら解説も一緒にどうぞ。


渾身の初夏の歌 8首

①具のタコが 小さいけれど
この味が いいねと笑う ラ・ムーたこ焼き

②灼熱の 冥き真夏を 思うとき
園の女王は 儚く笑う

③ゆく春よ 掘り上げ洗う チューリップ
割れたかけらに ごめんとつぶやく

④「青春 イコール あの子といた日々」
青歯で 平成流行歌

⑤太尾山 湯谷の杜と たわむれる
狐の子らと 我が童心

⑥やわ肌の かほるオムツを 替えずして
虚しからずや リモートの君

⑦母となり 暮れる筑摩江 暮れる夢
紅葉の手には 硝子のかけら

⑧この次は 墓で語ろう 我が郷の
きみの頭蓋を 意識する夜


※以下解説



①具のタコが 小さいけれど
この味が いいねと笑う ラ・ムーたこ焼き

隣街にできたラ・ムーというスーパーの激安たこ焼きが私好みの味。
関西人たこやきにうるさい。そんな日常の幸せ。


②灼熱の 冥き真夏を 思うとき
園の女王は 儚く笑う

女王とは庭の薔薇なのかクレマチスなのかそれとも傲慢な自分自身なのか。
真夏の太陽に灼き尽くされる前に楽しむ花ざかり。
ちょっとスカした感じが鼻につく?


③ゆく春よ 掘り上げ洗う チューリップ
割れたかけらに ごめんとつぶやく

花後のチューリップを堀り上げる作業。
まれにスコップで球根を傷つけてしまい来春の咲みを失う小さな悲しみ
スコップ、シャベル、どっち派?
片手で持つ小さい方のことね。


④「青春 イコール あの子といた日々」
青歯で 平成流行歌

青歯(Bluetooth)という謎の呪術によって私のスマホからスピーカーにワイヤレスで音楽が流せるんですよ。
そんな最新鋭のスピーカーでも聞くのは古い曲ばかり。

曲は、NONA REEVES/DJ!DJ!~とどかぬ想い~


⑤太尾山(ふとおやま)
湯谷(ゆたに)の杜(もり)と
たわむれる
狐の子らと 我が童心

子どもと遊んでいると童心に帰る時間がありますね。
タイムマシーンで過去の自分を救うような妙な安らぎ。
自分なのに自分じゃないような、精神的神隠し。
贅肉は重いが、神社の狐さんたちと遊んでいます。


⑥やわ肌の かほるオムツを 替えずして
虚しからずや リモートの君

「おむつ替えもせず、在宅ワークしててむなしくないのか!」

家で仕事するとおさな子の世話も強いられる現代の親の苦悩。
リモート会議中に鳥が肩に留まってくる苦役。
父も母も育児のつらみをシェア出来る時代に感謝。

本歌は言うまでもなく与謝野晶子女史、
「柔肌の熱き血潮に触れもみで悲しからずや道を説く君」
(とてもゴメンナサイ)


⑦母となり 暮れる筑摩江 暮れる夢
紅葉の手には 硝子のかけら

※筑摩江(ちくまえ)=琵琶湖の歌枕であり湖北の地名。

母になり、ままならぬ身(よくあるダジャレね)に紅葉の手がシーグラスを差し出します。
それは希望か慰めか。
(諦めるんじゃない。最も湖に沈めるべきは、母親だからと言い訳して夢を諦める弱い心だ!)

同郷の誇り、石田三成公の歌を育児に大胆本歌取り(三成様ゴメンナサイ)

※本歌

『筑摩江や 芦間にともすかがり火と ともに消えゆくわが身なりけり』

『残紅葉 散残る 紅葉そ殊にいとおしき 秋の名残は こればかりぞと』

※ちなみに写真は琵琶湖じゃない(笑)


この次は 墓で語ろう 我が郷(さと)の
きみの頭蓋(ずがい)を 意識する夜

きみも一緒の墓に入るんだよと、墓参り中のブラックジョーク。
その入る骨はどれだろうと考える夜。
タナトスとエロス。
下の句は「きみの鎖骨をなぞる夜」とか悩んだけど
それだとあまりにも「露骨」よね。


以上、解説も読んで下さり誠にありがとうございます。
望まれずとも次回に続きますよ。

※前作


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