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【障害者雇用】転職のススメ①

令和の世。ダイバーシティ理解、多様性を尊重し、さまざまな背景を持つ人と共に働くことの意義がやっと認知されている。また、終身雇用制が減りつつ、人生において転職活動を行うこと自体が珍しいものではなくなってきた。
そこで障害者雇用は実は売り手市場であること早い者勝ちであることを踏まえて転職について書いていく。転職活動は捨てる神あれば拾う神ありの世界なので諦めないでほしい。企業側がどの時期に障害者採用準備を進めているかを想定していくとやりやすいので参考にしてほしい。

ちなみに著者はあまり役に立ってないが障害者職業生活相談員資格を持っている。学んだ知識と自らの2度の転職経験から気づいた点をここに記す。
※検索のため「障がい者」をあえて「障害者」記載とする。
※①、②の記事共に全文無料です。

<この記事での聴覚障害者想定モデル:2~3級想定。オープン就労。文字主体のコミュニケーションを中心に行っているものとする>


※まず、障害者採用の場合は「法定雇用率」の存在がキーとなる。
雇用率達成は毎年7月半ばまでに(正確には6月1日時点のデータ)障害者採用状況を国に報告する義務がある。集計前の4~6月、行政指導が入った企業が8月~11月頃慌てて障害者求人を出すことが多い。
(人事用語でロクイチ報告と呼ばれているらしい)

転職時期オススメ度(障害者求人の増加時期)

1~3月 👍👍👍ベストシーズンで狙い目!
→4月から勤務スタートを狙うならこの期間中に転職活動終わらせたい所!
求人も多く出る時期である。準備期間なども含め落ち着いてやりやすい。

※4月勤務スタートの利点:新年度に向けて事業拡大&3月末退職者などで増員ニーズ高め。また、新入社員対象の説明会や研修に参加させやすいこと、会社規則なども新年度からのスタートを想定されているところが多く、人事側は手間かからずに済む。
※お国仕事の場合は基本的に4月勤務スタートだが、公務員試験を受けながら民間企業と併せて転職活動を進めることはやや難あり(後述で記載)

4月 👍👍 人事が一番忙しい時期。人事からの返信レスポンス遅くなりがちなところもあるが、企業や業界によっては採用を強化しておきたい時期。
6月の法定雇用率達成に向けて求人出し始めるのもこの時期。急遽この時期に採用されてギリギリ滑り込む中途入社員も少なくはない。
6月勤務スタートを目指すのであれば、4月中に書類選考や面接を進めると良い。

5月 👍👍 ゴールデンウイークがあるので前半は忙しい時期になりやすくもあるが、5月後半となると毎年一定数辞める人が何人かちらほらいるので人手欲しいとこ出てくる可能性はある。

6月 👍 ボーナスの時期なので辞める人ちらほらいる。外で面接するならこの時期が暑すぎずやりやすい。
6月1日以降になると求人は落ち着いてしまうためなるべく6月までに内定を貰っておきたいところ。
「6月1日付で入社して欲しい」と言う企業は多い(法定雇用率達成関連で)

7月 👍 人事が比較的落ち着いてる頃だが、求人も落ち着いている(法定雇用率の集計時期のため)

8月 👍 お盆の時期なので企業側のお盆休みが営業かお休みかどうかが分かりやすい。夏休みなので学生のインターンやアルバイトは多いかも。
外での面接はクソ暑くて疲労が半端ないのでおススメしない。

なお、この時期は行政から「ちょっとおたくの企業、障害者法定雇用率達成してませんけど💢」って指摘されて慌てて求人を出す企業も多い。
ただし、8~10月に慌てて求人を出すということは現場では障害に対する配慮の準備がまだ整っていない場合もあるのでややリスクも。

9月 👍 「障害者雇用支援月間」らしいので求人が多いらしい…?
下半期の切り替え時期が近いので人手欲しくなる頃。台風が多いので外での面接時は電車遅延などに注意。笑

10月 👍 切り替え時期なので求人出やすい。
評価面談とかがある時期なので管理陣は少し忙しめかも。

11月 👍👍 12月に向けて人手が欲しいところも出てくる。

12月 👍 ボーナスの時期なので辞める人ちらほらいる。
スケジュール管理から年末年始営業かお休みかどうかがわかりやすい。年末調整や年末年始調整などで人事は忙しめなので面接日が決まりづらい。
「12月1日付で入社して欲しい」と言う企業も。

ちなみに退職者にとって年末調整手続きが楽になるのは12月末退職である。
(※12月まで在籍していれば年末調整を会社側がしてくれるため)
なので、1月から勤務スタートも狙い目である(お正月モードから急に出勤となるのはやや憂鬱ではあるが)

基本的に障害者雇用は売り手市場。割とチャンスはいつでもあると思ってよい。30代~でもガンガン転職する人は多い!
これらの時期については、あくまでも目安である。
専門職、技術職の場合は進行しているプロジェクトによって求人が変動することも多いのでタイミングと運が大きく関わってくる。諦めないで!きみならできる!

転職のスピード感について

新卒として就職活動するのとは違い、中途採用の場合は内定までのスピードがかなり速い。速いことに対して最初は戸惑いもあった。
新卒の場合は数ヵ月かけて内定辞退するかどうかを待ってもらうのはできるものの、転職の場合は内定を出されたらそこから基本的に1週間で承諾するか、辞退するかを決めなければいけない。
特に転職エージェントを利用する場合は決断を急かされる。一度貰った内定を承諾してからの辞退は相手方に失礼なのと、転職エージェントからも避けた方がいいとか言われる。

※お国仕事の場合(障害者公務員)
1年間掛けて、公務員試験のスケジュールを立てているため、どうしても民間採用とのスピード感にズレが出てくる。中途採用で民間と公務員を並行して受けてる人ぶっちゃけ少ないかな…公務員試験をメインに据え、結果次第で判断し、試験から1~2ヵ月の期間で民間の転職活動を共に行うのがベターか。
(障害者採用試験の出願(春~秋)※自治体によって時期バラバラ⇒試験(夏~冬)⇒冬に手続きを進めるゆっくりめのスケジュールとなる。状況次第では公務員内定を蹴ることも有り得るのである)
または非正規雇用であれば割と通年募集しているのでそれに応募してお国仕事の経験を積むのも手か。

障害者雇用専門の転職エージェントについて

わたしがお世話になったのはdodaチャレンジとatGP(ステマではないです)
https://doda.jp/challenge/  ⇒個人的にはオススメ
https://www.atgp.jp/

障害者雇用エージェントは転職成功報酬が企業からエージェントに対して支払われるため、障害者は無料で使えるのでとてもおススメしたい。
特に、企業とのクソ面倒くさいメールやり取りと面接のスケジュール組みをエージェント側がやってくれるからである!!!!!!個人的にはここがすごく心理的にも時間的にも節約できて助かった。どんどん頼っていこう。
転職エージェントはあなたの頼もしい秘書である。

申し込む流れとしてはサイトで申し込み後、メールが来るのでそこで打ち合わせカウンセリング(オンラインでも可能だったりする)の後に、担当エージェントが決まる。この時、エージェントとの相性が大事なので少しでもモヤッとしたらすぐ言うこと。それでもモヤっとしたら担当変えも検討。信用関係が欠かせないのでなるべくエージェントに対しては見せかけだけの言葉ではなく率直に伝えること。
(例:ここが嫌だったので合理的配慮ちゃんとしてるとこがいいとか、今の年収より少しでもUPできればそれで良いとか、人間関係悩んだので風通しの良いところで働きたいとか、毎日身体を使う定型業務でもいいとか、一般の人と同じようにガンガン稼ぎたいとか、障害年金を貰いながら働き続けたいので年収は〇万までぐらいでいい…とかコソコソ)

自分の履歴書や職務経歴書を転職エージェントにアドバイスを貰いながら作ることもできる。ここが一番時間かかるのでじっくり練っていくとよい。面接後にエージェントから「あの企業どうでしたか?どこが良かったですか?」と面接フィードバックを行ったりアンケート入力したりする。ちょっと入力するものが多いので大変ではあるがしっかりやると吉。
転職後にも、定着支援のためのアフターケアや相談にも乗ってくれるのでどんどん利用した方が良い。全部無料なので。

追記:障害社員の定着率が悪い地雷企業情報もエージェント側である程度把握しているはず。なので、条件に合わない地雷企業の求人票を見せないようにしてくれたり、こちらから求人情報を掲示して「これどう思いますか?」と聞くと「あそこはちょっとやめた方が…」などといったアドバイスもくれるのでおススメ。(地雷企業の見極めについては②の記事で記述する。)
障害者を都合良く使う地雷企業は社会的に滅んでくれ。

転職スケジュール

応募から最終面接までのスケジュールは1~3ヵ月が目安。一般就労と違って面接は2回ほどで終わる場合が多い。多くても3回といったところ。オンライン面接であればもっと早く終わる。先述の通り、障害者雇用市場は売り手市場なので早い者勝ちのスピード勝負。

①準備期間 丁寧にやるなら1~2ヵ月。
履歴書や障害事由や自分の求める優先順位をゆっくり決める。
お金を優先するか、人間関係を優先するか、休みやすさを優先するか、福利厚生を優先するかで判断基準がかな~~~り変わるため。
ここは友人にもChatGPTにも協力してもらうと吉!!

②転職エージェントを使う
適職診断、打ち合わせカウンセリングを受ける。そのあとは転職エージェントから求人票たくさん届くのでそれらを見て選んだり没ったり。
※求人票は後からどんどん追加されるため、今ある求人票でいいのが無ければ次々と見て行った方が心理的にも楽。あなたは企業を選べる立場だ!

③書類選考、面接、内定 ※複数企業を同時に受けるためスケジュール調整をエージェントにやってもらうのがコツ
 1週目 書類応募、書類選考、面接打診
 2週目 1次面接
(他受けてるところがあるならなるべく近日に受けるよう調整) 
 3週目 2次面接
(他受けてるところがあるならなるべく近日に受けるよう調整)  
 4週目 意思確認の最終面接。内定を貰った場合は他の内定と比較し、内定承諾か辞退かを1週間で決めていく。
辞退ならまた他の良さそうなところを探す。
 5週目 内定承諾の場合は内定後の打ち合わせや準備などすり合わせる。
 6週目 現職で勤めている場合は退職手続き交渉、有給消化交渉など。
(これもエージェントと相談してどんな風に辞めればスムーズかをアドバイス貰える。退職手続きがキツければ退職代行サービスも検討)

これで2~3ヵ月ほど。書類選考が上手くいかなかったり、内定蹴ったり他の所をじっくり検討したりすれば半年ほどかかる。もし半年ほど時間かける場合はどこかでお休みする期間(1ヵ月とか)を設けたり、エージェントにその旨を相談した方がメンタル的にも楽。転職活動は時間かければかけるほど自分の心が地味に削られていくので注意!

法定雇用率人数カウントについて

障害者の法定雇用率カウント係数
【重度身体障害者(2級,3級重複相当):2カウント】
【身体障害者(3級相当):1カウント】【精神障害者(区分なし):1カウント】

https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c2126/

週30時間労働の場合、身体障害者が精神障害者よりまだまだ比較的採用されやすい傾向にある。
身体障害が優遇されやすい理由としては四体満足であればハード面で他の不足部分を補いやすいと思われがちだからである。
(補装具や補聴器や文字起こし機器や車椅子や義手義足や自動ドアやエレベーターの鏡やスロープや点字など…)

…ただし、聴覚障害の場合はハード面で補えない部分がどうしても出てくるため、ソフト面での配慮と各々工夫と心構えと周りの配慮がどうしても必要となるので注意されたし。メンタルケアとかね!メンタルケアとかね!


続きの記事では職種、障害理解、地雷企業、地域格差、特例子会社などの話を記載する。

つづき


※ちなみに筆者はただの事務職です。人事業務には関わってません。

ヘッダー挿絵・協力: カキン・チャン @excite_masked
https://x.com/excite_masked?s=21&t=fSBaKqBb4cV4WvQvWdjiqQ



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