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【障害者雇用】転職のススメ②

前回①の記事では以下の項目について記載した。
・転職時期オススメ度(障害者求人の増加時期)
・転職のスピード感について
・障害者雇用専門の転職エージェントについて
・転職スケジュール
・法定雇用率人数カウントについて
そこで今回の記事では少し深く切り込んでいきたい。
※一部、強い言葉をあえて使っています。
※本記事は全文無料です。

<この記事での聴覚障害者想定モデル:2~3級想定。オープン就労。文字主体のコミュニケーションを中心に行っているものとする>

職種について(事務職・専門職)

事務職は大企業であればどこかしら働き口はあるため、選択肢も多くかなり競争率は高いものの選び放題の蹴り放題である。
が、求人票に書いてあることが全てではないので転職エージェントとじっくりチェックしていくのをお勧めする(特にボーナスとか週休二日制とか)

一方、デザイナーやクリエイター、プログラマ、エンジニア、情報系、建築系、医療系、公務員系その他などの専門職は転職エージェントを使ってもなかなか情報を集めることができない。業界人や知人ツテに情報を集めるしかない。
なので、自分が興味のある企業へどんどんポートフォリオや面接を申し込む。求人を一応転職エージェントへ見せて相談するのもよい。
仮にHPに障害採用募集や窓口が無くても、ダメ元で問い合わせてみることで企業側が検討することもある。ダメ元でどんどん凸していこう。

専門職の場合は、事務職とはかなり異なる求人票、雇用形態となっているのでじっくり見て判断していく必要がある。
例えば、週休二日制がいいか、完全週休二日制がいいかどうか、残業時間はどうか(裁量労働制かみなし残業か)などもかなり左右されてくる。

事務職でも同様だが、現在はリモートワークも進んできており、楽になっている部分はある。ただ最初の数ヵ月だけは出社して欲しい、といった企業も多い。障害を持っているのなら尚更、自分の障害を第三者視点で説明できる力と、交渉力、工夫が問われる。

大手企業で障害者雇用でデザイナー職を採っているところは完全週休二日制を採用しており祝日はお休みだった。ただし給与体系は昇給が控えめで低賃金だった。このように障害雇用ならではのメリットデメリットもある。
その他、契約社員のみ(正社員登用あり)とか、ボーナスは無いが基本給が高めといったような求人票では読み取りづらい情報も多い。特にボーナス関連は入ってみないと分からない情報なので難しい🙃
業界に知人がいればこっそり聞くのが早いかもしれない。
※契約社員については真面目に仕事している障害者であれば契約解除される可能性は限りなく低い(雇用率達成のためである…)

ポートフォリオを使えることがデザイナー系や専門職の強みなので実績を積むために大企業の契約社員やアルバイトから始めるのも一応手ではある。

聴覚障害者で専門職に就いている人は何十人かいるのでチャンスは必ずある!目の前にたくさんある!!

追記:多様な職業の聴覚障害者を紹介しているWebメディア「こここ」https://co-coco.jp/series/hataraku/

かなり珍しい職業もあってすごく驚いた。聴覚障害者の多種多様なロールモデルはいるんだ、と参考になった。

(※ちなみに、著者は完全週休二日制の事務職と求人票にあったのにいざ入ってみたら月1土日出勤シフト制なローカルルールがこっそり設けられていたこともあった。おクソが過ぎると当時思いました)

聴覚障害者の面接のコツ、回答(令和版)

オンライン面接にできるならなるべくオンライン面接にしてもらおう。
やはり、情報保障やチャットでのやり取りがオンラインだとやりやすかったためである。企業側としては聴覚障害者とチャットで意思疎通ができるだけでも仕事の様子のイメージがしやすく、安心する。
(オンライン面接ツールはZoom、Teamsを使う企業が多かった。Teamsであれば音声文字起こし機能があり精度がいいのでとても便利。)
面接の事前質問なども想定しておいて練習を行うといい。丁寧に資料準備しておけば面接中に資料(カンペ)見ながらチャット打ったりして励める。

日本語が苦手ならChatGPTを使ってもよい。ただ、入った後に自分の首を絞めることになるのであまり綺麗な文章や経歴や仕事の経験などを盛り過ぎたり嘘をつくのはお勧めしない。
ちなみにChatGPTで「これから面接の練習を始めます。会社の面接官役になりきってください」と入れると面接の練習に付き合ってくれる。たまに虚しくなるので生身の友達にも協力を仰ぐとよい。

チャットで面接を受けて進行する場合、文字をいかに早く打てるかが鍵なのでタッチタイピング速度向上として空き時間に寿司打🍣をやるのもおススメ

障害理解と人間関係

聴覚障害者社員が辞める理由No.1は「人間関係」である(個人調べ)

まず最初に人事、配属部署で障害理解について配慮のお願いで自分からどんどん動かないと、最初はなんとかなっても後々ガチで詰むからである。
ただでさえ仕事を覚えるだけでも必死なのに、「合理的配慮」の最初の文字すら知らない人へ配慮をお願いしなければいけないし、自分のことも説明しないといけないので何度も説明することに疲れてしまう人も少なくはない。

障害者はゼロからのスタートではなく、マイナスからのスタートであることに気づきにくい人が多いのである。そのため一般人と同じスタートラインに立って、同じ仕事をこなすには一般人の2倍、3倍の努力が必要になってしまう。真面目な人ほどここで頑張りすぎて潰れるので注意。
合理的配慮は「マイナスをゼロにするもの」であり「同じスタートラインに立つためだけのもの」だ。
(障害があっても一般の社員と同じぐらいプラスの成果があればちゃんと評価しますよ!とか言われると背後から刺したくなる)

人間関係などの悩みがあってカウンセラーへ相談や様々なカウンセリングを受けたくともコミュニケーションが面倒で行くのが億劫。そのためカウンセリングを受ける機会の喪失が起きやすく逃げ道が少ないことがかなりメンタル面に影響してくる。

実際、メンタルをやられて鬱病発症する聴覚障害者は少なくはない。
普段から上司や同僚、その他の人、友人と相談できる環境を少しずつでも構築していく。そして余裕があれば手話通訳をカウンセラーへ頼むのも検討した方がいいかもしれない。
※聴覚障害者のカウンセラーは存在しているが数は多くはない

地雷企業注意報!!おいで~とバリアフリーのお面を被りながら誘う先には爆弾がある。それを見て「YABA」と自分のキャラがのけぞっている。
(ブラック企業という言い方は人種・肌色の悪印象に繋がるためここでは地雷企業とする)

地雷企業の見極め方

・年間ずっと障害雇用求人を出してるとこ。
常に人手が足りてないか、単純に職場環境が悪い。
(筆者はそのようなところで勤めてたが、人事采配が下手でミスマッチが多過ぎて入ってはすぐ辞める人が多かった。人手は常に足りなかったので「次の人は1ヶ月保つかね」とよく話してた)

または一応形だけの求人を出してるだけの企業。


・健常者(?)社員の入れ替わりが激しい
全体的な母数が増えたり減ったりすると法定雇用率もそれに伴って変動しやすいため、常に求人を出すことになりやすい。
周りの社員の異動が多い、または忙しいといったような社風のデメリットとしては、イチからまた周りの同僚や上司へ障害について理解をしてもらうところから始めないといけないこと。それで心を病む障害者が多い傾向。定着率にも関わる。

みなし残業と書いてあるところは少し警戒した方がいいかも。

※転職口コミサイトはある程度参考に
障害雇用の口コミは無いものの、社風の雰囲気は少しだけ掴める。ぶっちゃけ周りの社員に余裕が無いと我々障害者にもしわ寄せが来て余裕がなくなるためである。

・聴覚障害者社員がよく辞める
聴覚障害界隈の口コミはかなり強い。その人の性格、適性、退職理由などピンからキリまであるがなるべく聞けるなら聞いておく。転職エージェントもこのような障害者定着率の情報は蓄積されているはず。情報は多いに越したことはない。
なぜ辞めたか、どういう職場環境だったかを知人友人伝手に軽く聞いておくだけでも、とんでもないハズレ職場を引く確率は下がる。

※労働環境がひどいかどうかについては第三者からの視点がかなり大事。
ずっといると、感覚がどんどん鈍くなってくるからである。環境と個別の合理的配慮が適切であるかは自分では気づきにくい一面であり、知人に「ぶっちゃけこれどう思う?」を言えるか、気づけるかが大事。そこでやっと初めて認識できるものなのである。

障害雇用の地域格差

地域の人口が障害雇用口の数に連結するため、障害雇用は現段階では人が多い所、特に関東(東京)一極集中になりがち。地方にいると募集も少なく、就職の入口が狭く感じてしまいがち。
ただ、現在はリモートワークが進み、世間の考え方も変わり、地方での勤務や、帰省して地方で働くことを推奨し始めている企業も出て来ているのでこの辺りは個人の采配や交渉力も必要。これからの可能性に期待していきたい。
例)「現在〇〇県にいます。一時的に関東で働きたいとは思っていますが諸事情or親の介護もあるため、〇〇県に戻って働きたい。志望理由としてリモートワークの制度が活かせそうだと思った。活用する場合相談していきたい」などのアピールも有効。
企業からすれば障害者社員にはぜひ定着して数年は働いてほしいと思っているのでそこを利用すると吉。

追記:大手企業であれば、地方に支社がある可能性も捨てきれないので、ダメ元で問い合わせて「障害者採用で地方支社で働いてみたい」と申し出ることも一つの手。


地域によっては車関係の会社に勤めている聴覚障害者も多い。特に名古屋。
(※自動車業界は業界ならではの現場職による独特な価値観と金銭感覚が形成されてる)


番外編・特例子会社

特定の特例子会社を貶すつもりはないが、あくまでも参考程度に。
ちなみに著者は特例子会社で勤務した経験あり。

社風と会社規則と人間関係によってかなり差が出てくるガチャ企業。
独特な人間関係とやけに厳しい勤怠管理システムと謎の評価体制が形成されていることが多い。
あまりよろしくない言い方をすると、現代の「健常者によるテイの良い無意識アパルトヘイト」である。障害に対する無意識の壁は厚い。
割り切れる人、肝が据わっている人、仕事を右から左に受け流して立ち回れる人でない限り、仕事ができる人にかなり負担が集まりがちなのである程度の諦めと覚悟は必要。仕事ができないフリを装えば生き残れる。
障害者が他の障害者の尻ぬぐいをすることが常態化しているからである。
(本来なら健常者(笑)によるサポートが入るべきであるところを、耳以外は問題が無い聴覚障害者を含む、真面目な障害者が一生懸命やってるのを都合良く利用されてしまい、搾取されている側面もある。健常者(笑)が尻ぬぐいしろ~~~~~!!!怒怒怒ー怒 怒ー怒怒)
私怨が入り込みました。大変失礼しました。

障害者が集まるため知人とエンカウントする確率も高いのでプライベートを知ってる知人に会いたくないという人にはお勧めしない。仕事とプライベートをきっちり分けれるのであれば良いものの…聴覚障害界隈だとその部分の切り替えを上手く意識しないとしんどい人もいるのではないかと思う。
雰囲気的には学校みたいな人間関係というか…仕事における常識がちょっとズレてて通じにくいというか…。職場の人間関係が独特になりやすいのはどの特例子会社でも同様なのかもしれない。
簡単にお賃金を上げることはないため(+数百円程度)、謎の評価体制を多く追加し、実態の無い評価を上げさせている。あれこれと行き当たりばったりな手法でモチベを上げさせようとしてくるが、まずは給与を上げた方がいいのは明らかである。

特例子会社の僅かなメリット:
合理的配慮は最低限のことを行っている企業も多い為、オープン就労で仕事を行いたい方、今すぐに仕事を見つけたい方々の最後の砦としては良い。
賃金は一般就労より低いが、年功序列制のところも多いので40~60代障害者の沈没先転職先としてはアリ。

社内手話通訳が常在している特例子会社で働いてる知人からは「わりと働きやすい」という声もあるので、合う人には合うし、合わない人にはとことん合わない環境であると思われる。拾う神あれば捨てる神あり。
仕事における優先順位や大事にしているものは人それぞれなので特例子会社は一概にはダメだとは言えないのが難しいところで………。

追記:特例子会社でも会社によっては在宅勤務制度を設けている会社もあるようです。リモートワークに即座に対応できるところは比較的環境が良い会社だと思います。(コロナ禍前は出社前提の会社が多かった)

特例子会社が日本社会にあること自体が、かなり福祉的で日本的ではあるし、ちょっとよろしくないとは思っているものの現代のアパルトヘイト感が強い。障害者雇用でよくある低賃金や劣悪な職場環境の問題などといったような悪いイメージが払底されれば、もっと改善されれば、日本全体の「障害」におけるイメージは変わるのではないか。そうすれば特例子会社含む、日本全体の障害雇用、職場環境はもっと良くなるのではないのだろうか。

とりあえず地雷企業は滅んで欲しい。

まとめ

何度も繰り返すが障害雇用市場は売り手市場である。
障害雇用を切り口に、自分の選択次第で大手企業もやってみたい仕事もダメ元で挑戦していけるチャンスが転がっているわけなのである。
今の環境が少しでも合わないと思っているなら、我慢できないのなら、自分のやりたいことや生きるためにもどんどん転職していってほしい。笑。

そうやって障害者雇用市場の流動性が高まることで、各企業の風通しが良くなっていき、求人も更に増え、多方面における多様性や障害者雇用の可能性がかなり広がっていくからである。

焦らずに冷静に判断ができれば良き縁に恵まれて、良い職場も絶対見つかります!!
がんばって!がんばれなくてもゆっくりやすんで!
あなたが思うより選択肢はめちゃくちゃたくさんあるから!!!!!!



※ちなみに筆者はただの事務職です。人事業務には関わってません。

ヘッダー挿絵・協力: カキン・チャン @excite_masked
https://x.com/excite_masked?s=21&t=fSBaKqBb4cV4WvQvWdjiqQ


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