ファミレスではタレントマネジメントができていたのに知的労働ではできていない気がする
「タレントマネジメント」とは、従業員一人ひとりが持つ能力、スキル、経験などの情報を戦略的に管理し、採用、育成、配置、評価などの人事施策全体に活用することで、従業員のエンゲージメントを高め、組織全体の成長を促すための人材マネジメント手法を指します。
エンゲージメントが高まるのかどうかは置いておいて、上のGeminiたんの説明はあらかたあっていると思います。
ファミレスでの店舗マネジメント
私は2年前までファミレスの店長だったのですが、ご存知の通り飲食業界は深刻な人手不足です。
知らんけどと思った方もいるかもしれませんが、そうなのです。
深刻すぎて、過重労働を避けるということにかなりウェイトを置いた経営をしていた記憶があります。
36協定とかやらかしたらまずいので。というかそれ以前に夜か昼どっちかは寝たいので。
最優先事項は採用
過重労働を避けるためには、人手が必要なので、当然、採用に本気を出すわけですが、最低時給なので人がきませんし、来たとしても過酷すぎて、数ヶ月後にはやめています。
少数のベテランだけで強引にやりくりしている非常に不健全な状態です。
そこで私が行なったのが「新人が店で一番えらい人である」という教育でした。
運よく1人、大学生を捕まえた採用できたので、店舗にいる全ての従業員に、店長である私より上なのはもちろんのこと、先輩に当たるベテランの従業員や、お客さま、私の上司にあたる人よりも新人が偉いと思い込むよう言い聞かせてました。
意外とうまくいったので、新人のエンゲージメントが上がった感はあります。エンゲージメント関係ありましたね。ミスりました。
ただ、激甘の教育方針だったので、通常1ヶ月で終わらせなければならない教育に6ヶ月かけたのは内緒です。
だって1ヶ月じゃ無理だもん。
エンゲージメントが高まった段階で知り合いを紹介してもらう
他の人にとってはよく思われていなかったかもしれませんが、新人さんは楽しそうだったので知り合いを紹介してもらうことにしました。
2人ぐらい増えたらいいなと思っていたら奇跡の5人増えました。
やや過剰人員になりましたが、どうせ誰かはやめるしまぁいいかと思ってました。
誰もやめませんでした。
結果として1年後の定着率100%、他の100%の店舗は1人採用してたまたま残っただけという状態の中、6人採用して6人残すという偉業を、一周回って逆に偉業を成し遂げたのを急に言われて気づいたのを今でも覚えています。
「何か秘訣あるの?」と急に聞かれてとっさに綺麗事で返答したためあまり興味を惹かれませんでした。
従業員が余ったのならサブスキルを身につけさせる
新人が6人も入ったことでベテラン従業員が激おこです。
そんな優しい待遇受けていない上に、自分のシフトが減ると思ったからです。
なら、別の仕事覚えたら?といたってまともな回答をしました。
ホールならキッチンを、キッチンならホールを教育しました。
新しいポジションを覚えさせるっていいですね。初心を取り戻してくれるので。もちろん、教育は激甘です。
その結果、自分の担当している店舗はホールとキッチン両方できる人が異様に多いという状態になりました。
計算通りです。
サブスキルを身につけた人は融通がきく
ホールとキッチンの両方ができる人は、シフト作成時に、どっちで入れてもいいのでかなり簡単にシフト作成できました。
欠点としては、やはり後から覚えたポジションに対して苦手意識がある傾向が見受けられます。現にホールはバリバリできるのに、キッチンではことあるごとに「これなんでしたっけ?」と聞いてくるような状態です。
無論計算通りです。
そもそも1ポジションでかなりできるのだから、サブポジションなんてそのレベルで良いのです。
適材適所だけがタレントマネジメントではない
苦手でもケアはしながらやってもらい続けたら、それなりにはできるようになります。
商品知識があるんだから1から教えるよりずっと楽です。
むしろ平日の暇な時間帯は、適材適所の真逆でシフトを作成していたりした甲斐もあって、0.9人前の働きぶりはしてくれるようになりました。
これが本来の能力を活かす人員配置だったらサブポジションを忘れるだけです。
忙しい土日祝日だけ、本来のポジションで本気を出してもらいます。
このことで人員不足による機会損失をほぼ完封できたので、前年比がとてつもないことになった期間が10ヶ月ぐらい連続で続いたのを覚えています。
店長といってもマネジメントをそこまで教わったわけではなく、ピープルマネジメントやタレントマネジメントという言葉は今の職場に来てから知りました。
無意識マネジメントです。
そもそも論で、全力のシフトを作り続けていたら、新人は育てにくいし、ベテランもいつかは辞めて大変になるし、労働時間オーバーするしでいいことがあまりないなあとふんわり思っていたのを覚えています。
持続可能なシフトを作成するためには、ベストメンバーでシフトを組み続けることはあまりよろしくないのではないかと今でも思います。
得意なことばっかりではなく、ちょっと苦手なことも覚えないといつか詰む気配がしていたのです。
適材適所すぎることのデメリット
もう色々出てますが以下のようなデメリットがあります。
特定の「できる」従業員に負担になる
過重労働のリスクがある一方で全然余裕な人もいる
属人化してしまい、誰かが辞めた時に大きな損失になる
一方でメリットといえばパフォーマンスが最強なことぐらいです。
サブスキル持ちすぎ軍団を抱えている私からすれば、ちょっと変えたぐらいではパフォーマンスは下がりません。
従業員の「私なんでもできるわ」という自信にもつながりますし、新人採用時にホールとキッチンどっちを希望されても別にいいのです。
間違った組織マネジメントが生む悲劇
今は普通の会社勤めをしていますが、最近の風潮としてとにかく「業務効率化」とか言われますが、それは持続可能なのでしょうか?
属人化を招いてはいないでしょうか?
とはいえ、採用にコストがかかるのも人を抱えるのに費用がかかるのもわかります。当然の話です。
なら、今いる従業員に、率先してサブスキルを何か1つでも磨いてもらった方が安価にリスクヘッジできます。
さらに、サブスキルを持った人が横断的業務を行うことができるので、特化しすぎると歪みが生まれる可能性もあります。
最悪の結果として組織崩壊が待っているのですが、リスクヘッジできていないなら当然だよねとも思います。
ジョブローテーションとかが導入されていればいいのですが、半ば強制的な異動であるケースも散見されるので、今度はエンゲージメント側が心配です。
まとめ
「ぶっちゃけなんでもできるからどうでもいい」と思えるような人材になりましょう。
マネジメントサイドも現場の仕事できていますか?レジ打ちできない店長みたいになっていないか確認してみましょう。