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人的資本の開示における人事・HRの重要性

人的資本の開示とは、企業が保有する「人材」を価値創造の源泉となる「資本」と捉え、その人的資本に関する情報を、投資家などのステークホルダーに向けて開示することです。


人的資本開示の背景

近年、企業価値を評価する上で、財務情報だけでなく、人的資本への投資やその活用状況が重視されるようになりました。
そこで、投資家などが企業の人的資本に関する情報を適切に理解し、投資判断を行うことができるよう、人的資本の開示が求められるようになりました。
日本では、2023年3月期決算から、有価証券報告書を発行する大手企業約4,000社を対象に、人的資本の開示が義務化されています。

開示項目

開示が求められる情報は多岐にわたり、大きく7つの分野に分けられます。

  1. 人的資本に関する企業理念・経営戦略・目標:人的資本に関する基本的な考え方や長期的な目標などを開示します。

  2. 人材育成:従業員の能力開発やキャリア形成支援に関する取り組みを開示します。

  3. ダイバーシティ&インクルージョン:多様な人材の活躍推進に関する取り組みを開示します。

  4. 働きやすい環境づくり:従業員のエンゲージメント向上や働きやすい職場環境づくりに関する取り組みを開示します。

  5. 従業員の健康・安全:従業員の心身の健康維持・増進に関する取り組みを開示します。

  6. 報酬・処遇:従業員への報酬や処遇に関する考え方や具体的な取り組みを開示します。

  7. 人的資本の状況:従業員の構成や離職率、エンゲージメントスコアなどの客観的な指標を開示します。

目的と効果

人的資本の開示は、企業と投資家などステークホルダーとの相互理解を深め、中長期的な企業価値向上を促すことを目的としています。

開示を通じて、企業は自社の人的資本に関する考え方や取り組みを明確化し、投資家からの理解と支持を得ることができます。
また、開示された情報を分析することで、自社の強みや課題を把握し、改善につなげることも可能です。

人的資本の開示における人事・HRの重要性

人的資本の開示において、人事・HRは非常に重要な役割を担います。その重要性は、主に以下の3点に集約されます。

情報収集と分析の中心的役割

人的資本に関する情報は、人事・HR部門が保有・管理しているケースが多く、開示に必要なデータの収集・分析において中心的な役割を果たします。

従業員のエンゲージメント調査、離職率、研修受講状況、目標管理制度の運用状況など、人事・HR部門が日常的に収集しているデータは、開示項目に合致する重要な情報源となります。
これらのデータを適切に収集・分析し、開示に活用できる形に整理することが求められます。

戦略的な開示ストーリーの構築

人的資本の開示は、単にデータを羅列するだけでなく、企業の人的資本に関する考え方や戦略、具体的な取り組みを投資家などのステークホルダーに分かりやすく伝える必要があります。

人事・HR部門は、経営層と連携し、企業理念や経営戦略に基づいた開示ストーリーを構築し、開示情報に一貫性を持たせることが重要です。

人的資本経営の実践と改善

人的資本の開示は、企業の人的資本経営の取り組みを客観的に評価し、改善につなげる機会となります。

人事・HR部門は、開示を通じて自社の強みや課題を把握し、今後の人的資本経営の強化に向けた具体的なアクションプランを策定・実行していく必要があります。

総評

人的資本の開示は、人事・HR部門にとって、自らの専門性を活かし、企業価値向上に貢献できる絶好の機会です。
開示に向けた準備や情報発信を通じて、人事・HR部門は企業における戦略的重要性を高め、経営層との連携を強化することができます。

さらに、人的資本の開示は、以下の点においても人事・HR部門にプラスの影響をもたらします。

従業員エンゲージメントの向上

開示を通じて、企業が従業員を重要な資本として捉え、その成長・活躍を支援している姿勢を示すことで、従業員のエンゲージメント向上につながります。

採用力の強化

開示情報を通じて、企業の魅力や働きやすさをアピールすることで、優秀な人材の獲得を促進できます。

社内コミュニケーションの活性化

開示に向けた準備や情報共有を通じて、部門間の連携が強化され、社内コミュニケーションが活性化します。

人的資本の開示は、人事・HR部門にとって大きな挑戦ですが、同時に大きなチャンスでもあります。
積極的な取り組みを通じて、企業の持続的な成長に貢献していきましょう。

人的資本の開示は、企業にとって、自社の価値を適切に評価してもらうための重要な取り組みです。開示を通じて、企業は投資家などステークホルダーとの信頼関係を構築し、持続的な成長を実現することが期待されます。

人事と他部署の共通点から勝ち筋を考える

そんなうまくいくかなとは思いつつ、上記のように人事・HRが非常に重要な立ち位置となることは明白なわけです。

知らんけど。

人事は企業の内部資源を管理し、最適な人材を確保し育成する役割を果たします。

この二つの分野がどのようにして相互に影響し合い、企業の成長を促進するのかについて、深く掘り下げて考察していきます。

人事とマーケティングの共通点

顧客(従業員)理解の重要性

人事部門とマーケティング部門の両方にとって、対象となる「顧客」を理解することは最も重要です。

人事では「顧客」は従業員であり、彼らのニーズや期待に応えることが求められます。
一方、マーケティングでは「顧客」は製品やサービスを購入する消費者であり、彼らのニーズに応えるために市場調査や消費者インサイトを活用します。

このように、どちらの部門も対象者の理解に基づいた戦略立案が成功の鍵となります。

ブランド価値の伝達

人事とマーケティングの共通の役割として、企業のブランド価値を伝えることが挙げられます。

マーケティングは、外部に向けて企業のブランドイメージを構築し、商品やサービスの価値を伝えます。
一方で、人事は内部において企業の価値観や文化を従業員に伝え、エンゲージメントを高める役割を担います。

企業文化と外部に向けたブランドイメージが一致していることは、顧客と従業員双方に対して信頼を築く上で重要です。

人事とマーケティングの相乗効果

採用マーケティング

人事とマーケティングの融合の一例として、採用マーケティングが挙げられます。
採用マーケティングとは、企業のブランドを求職者に対して魅力的に見せるための活動です。

4P、4Cといったマーケティングの手法を活用し、ターゲットとなる人材層に対して効果的に情報を発信し、優秀な人材を引き付けることができます。

従業員エンゲージメントとマーケティング

従業員のエンゲージメントが高い企業は、その従業員が企業のブランディングを外部に良いイメージを伝える役割を果たします。

マーケティング部門は、このような従業員の声を活用して、信頼性の高いマーケティング活動を展開することができます。

人事と営業の共通点

人材の重要性

人事と営業はともに「人」に依存しています。

人事は、企業にとって最も価値のある資産である人材を管理し、最適な配置を考えます。
同様に、営業部門もまた、その成功は個々の営業担当者のスキルと努力にかかっています。

優れた営業担当者は顧客との信頼関係を築き、効果的に商品やサービスを販売することが求められます。

つまり、両部門はともに人材の質が成否を分ける要因となっているのです。

コミュニケーション能力の重要性

人事と営業のどちらも、優れたコミュニケーション能力が求められます。

人事部門では、社内のコミュニケーションを円滑にし、従業員のエンゲージメントを高めるための施策が必要です。
一方で、営業部門では、顧客との良好なコミュニケーションが契約の獲得や関係の維持に直結します。

このように、コミュニケーション能力は両部門で共通して重要視されるスキルです。

人事と営業の相乗効果

採用と営業の戦略的連携

人事と営業の連携は、特に採用活動において重要です。
営業に強い人材を採用することで、企業の営業力を強化することが可能です。
また、営業の現場から得られる顧客のフィードバックや市場のトレンドは、人事の採用戦略にも影響を与えます。

例えば、特定の市場や顧客層に強い営業担当者が必要であれば、そのニーズに応じた採用活動を行うことで、より効果的な営業活動が期待できます。

トレーニングとスキルアップ

人事部門は、営業担当者のトレーニングやスキルアップのプログラムを提供する役割も担っています。
営業における成功は、単に個々の才能や経験に依存するだけでなく、継続的なトレーニングとスキルの向上が求められます。

人事部門が提供するトレーニングプログラムは、営業部門の成果を向上させるための重要なツールとなります。

また、人事と営業が協力して効果的なトレーニングプログラムを設計することで、組織全体のパフォーマンス向上が図れます。

人事と広報の共通点

企業文化の構築と発信

人事と広報はどちらも企業文化の構築と発信において重要な役割を果たします。

人事部門は、従業員の採用、育成、評価、報酬などを通じて、企業文化を形成し、内部に浸透させる役割を担います。
一方、広報部門は、企業のビジョンやミッション、価値観を外部に向けて発信し、企業ブランドを構築する役割を果たします。

これらの取り組みは、企業の内外に一貫したメッセージを伝えることで、企業の信頼性を高め、ブランド価値を向上させる効果があります。

コミュニケーションの重要性

人事と広報はともに、効果的なコミュニケーションを重視しています。

人事部門は、従業員とのコミュニケーションを通じて、エンゲージメントを高め、組織の一体感を醸成することを目指します。
広報部門は、メディアや顧客、投資家、その他のステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、企業のポジティブなイメージを形成し、維持することを目指します。

このように、双方の部門が効果的なコミュニケーションを行うことで、企業全体の統一感が生まれ、企業の競争力を高めることができます。

人事と広報の相乗効果

社内広報とエンゲージメントの向上

広報活動は、社内の従業員に対しても重要な役割を果たします。
広報部門が作成する社内報やイントラネット、社内イベントなどの情報発信は、従業員のエンゲージメントを高めるために活用されます。

人事部門と広報部門が連携して社内広報を強化することで、従業員のモチベーション向上や組織への帰属意識を高めることができます。
これにより、企業全体の生産性向上にも寄与することが期待されます。

リクルーティングとブランド強化

広報活動は、採用活動にも大きな影響を与えます。

人事部門と広報部門が協力して、企業の魅力を効果的に発信することで、優秀な人材の確保が可能となります。

例えば、企業のビジョンやミッション、価値観を求職者に対して明確に伝えることで、企業文化に共感し、企業の成長に貢献したいと考える人材を引き付けることができます。

さらに、広報活動を通じて、企業の社会的責任(CSR)活動や持続可能な取り組みをアピールすることで、社会的に意識の高い人材の採用を促進することが可能です。

人的資本の開示により人事やHRが抱える負担

情報収集・分析の負担

開示に必要なデータは、人事・HR部門だけでなく、他部門が保有している場合もあります。
必要なデータを収集し、開示に適した形式に加工・集計する作業は、人事・HR部門にとって大きな負担となります。

また、従来の人事・HR部門の業務では、高度なデータ分析スキルが求められないケースも多いため、開示に必要な分析を行うためのスキルやノウハウが不足している可能性があります。

開示体制構築の負担

開示に向けた社内体制の構築や情報管理ルールの策定など、新たな業務プロセスを整備する必要があります。

さらに、開示に必要な情報は、人事・HR部門だけでなく、経営企画、財務経理、広報など、他部門との連携が不可欠で、円滑な連携体制を構築し、情報共有をスムーズに行う必要があります。

継続的な開示・改善の負担

人的資本の開示は、毎年の有価証券報告書への記載のため、毎年、最新の情報を収集・分析し、開示内容を更新していく必要があるばかりか、開示後、投資家などステークホルダーからのフィードバックを収集し、改善につなげるサイクルを確立する必要があります。

従業員への配慮

開示する情報には、従業員の個人情報が含まれる可能性があります。プライバシーに配慮し、適切な情報管理体制を構築する必要があります。
同様に、開示内容によっては、従業員が不安を抱く可能性もあります。
開示の目的や意義を丁寧に説明し、従業員の理解と協力を得ることが重要です。

まとめ

人的資本の開示は、企業の持続可能な成長を支えるための重要な要素であり、人事部門やHRの役割はますます重要になっています。

データの収集、分析、報告、戦略の立案と実行に至るまで、これらの部門が果たす役割は非常に大きく、企業全体のパフォーマンスに直結しています。

今後も人的資本の開示において、さらなる透明性と効果的な戦略の導入が求められるでしょう。
それにより、企業は投資家やステークホルダーからの信頼を獲得し、持続的な成長を実現することが可能です。

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増井 光生🎈
基本的にふざけてます。たまに真面目になります。ギャップ萌えです。

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