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筋トレをしながら生きていくことに決めたのに、いつの間にか、泳いで生きていくことに決まっていた話

私は泳げなかった。

泳ぐ気がなかった、が正しいかもしれない。

体育の時間、陽に照らされてじっとり暑いプールサイドでIQ2くらいになった私は、水の中で前に進むなんて、すごいなあとか思いながら、気持ちよさそうに泳ぐクラスメイトをぼーっと眺めていた。夏の間はずっと。

今年2月のある寒い日のこと、水泳用品店に連れられて水着一式を買うことになり、気がついたら1時間後、区民プールに浮いていた。

泳ぎだし10メートルくらいはクロールで、そのあと平泳ぎ、犬かきなどを駆使してやっと25メートルを泳げるかどうか位の水泳スキル。泳げないのでウォーキングコースを行ったり来たりしたり、ただぷかぷか背泳ぎみたいな感じの事をして遊んでいた。

それなのに、息が上がって肩がつって足が疲れて水面からあがると全身が泥のように重たくて。家に帰るともう一歩も歩けないほどに疲れてしまう。それに全身が筋肉痛でつらい。

なんだか悔しかった。水に負けた気がした。

まずフォームがおかしい。腕の力だけで進もうとしており、息継ぎの顔の上げ方も天井を見上げるように息を吸うので軸がずれて前にうまく進めない。

正しいフォームをとことん教えてもらう。

正しいフォームはすごい(語彙力)

水泳は筋トレと同じだ(は?)

教えられた通りに泳いでみると、体がすいーっと進む感覚がつかめるようになる。

教えられたとおりに、素直に、そのまま行えば、ちゃんとできることを、筋トレで私は学んでいる。

もともとできる人は、それを感覚的にできるのだからすごい。私は一度言葉で言ってもらって、やってみせてもらって、自分で動いてみて、直され、繰り返し練習しないとわからない。

フォームを身体が覚えてくると、次は距離を伸ばせるようになってくる。50メートルの次は100メートル。その次の日は150メートル。だんだん休憩せずに泳ぐ距離を50メートルずつ増やしていく。

今では50メートルプールを6往復、つまり600メートル休憩せずに泳げるようになった。(水泳開始から約2ヶ月)小休憩を挟めば50分間で1000メートルを泳げるようになった。

水泳で距離を伸ばしていく作業は、筋トレの自重負荷トレーニングの回数を増やしていく作業に似ていて、昨日より今日、今日より明日成長していることが実感できるので、とてもハマってしまった。

泳げなかったときの人生と、泳げるようになってからの人生は、大きく変わった。

前へ前へ自分の力でぐんぐん進む水の感覚を知ったあとの人生は、知らなかったときのそれより、ほんの少しだけビールがうまい。

ちょっぴりでも何かが良く変わることって、人生において、とても尊くて素敵なことだ。

そういう感じで、生きていく。

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