My bible 〜「記者ハンドブック」
私は最強の武器を手に入れた。
もう怖いものはない。
文章を書く全ての人にとって道しるべとなる、この本。
共同通信社の「記者ハンドブック」。
その14版が3月に発売されたことを、少し前にnoterさんの記事で知った。
6年ぶりの改訂である。これは買わねばなるまい。
と思った時にはすでに完売だった。
私は増刷になるのを待ち、ようやく手にした。
サブタイトルに「新聞用字用語集」とあるように、多くの新聞がこのハンドブックを表記の基準としている。
新聞だけでなく、TVや雑誌など、文字による情報発信に関わる人にとって必携と言われている本だ。
持っているnoterさんやライターさんも多いだろう。
以前記事にチラッと書いたことがあるが、私はある時期、大学生さんが書いた小論文の添削をしていたことがある。
その仕事でも、表記の採点基準はこのハンドブックだった。送り仮名は合っているか、当て字を使っていないかなど、この本を参考に作られたマニュアルに沿って採点をしていた(このマニュアルがなければ私に添削などとてもできない)。
副業の環境が整ったらまたこの仕事を再開したいと思っている私にとって、今回の改訂版は必ず手に入れたいものだった。
この14版の大きな追加項目はジェンダー関連の用語だそうだ。
その章には「ジェンダー平等への配慮」として、現在では使わないほうがよいとされる表現が載せられている。
その中に目を引く単語があった。
「女優」
これは「俳優」に置き換えたほうがよいらしい。
しまった。
私はこのnoteの中で、いったい何回「女優」という言葉を書いただろう。
大女優とか天才女優とか、数えきれないほど書いたように思う。やべぇ。
しかし、このハンドブックには次のような注釈も載せられている。
往年の大女優。
このワードで某漫画の某登場人物を思い出す人も多いのではないだろうか。
さすが月◯先生。共同通信社も忖度するのか(違う)。
でもやはり、◯影先生は「大俳優」ではピンとこない。漫画や小説といったカルチャーにおいては、このハンドブックから逸脱した表記も個性として尊重されるのかもしれない。
それにしても、このハンドブックは読み物としても面白い。
「これは差別用語に当たるのか!」「この会社の正式名はこう書くのか!」などと、自分の不見識を思い知らされる。
と書きながらも、「不見識」の使い方は合ってるかな、などと気になる。おっと「」の前後は読点は打たないんだった。
ハンドブックを確認することなく読みやすい文章がすらすら書けるようになるには、道のりは険しいようだ。私にそんな日は来るのか。
私はもしかしたら、バイブルではなく禁書を手に入れてしまったのかもしれない。
ええと「禁書」の使い方は……合ってる?