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本『他人がこわい ーあがり症・内気・社会恐怖の心理学』 レビュー

この本を読もうと思ったのは,心理支援のためだけではない。

漠然と「社会不安が強い」という意識のある自身について,理解を深めるため,手に取った。

読んでみて…まじで良かった。

本書は社会不安について悩んでいる当事者だけでなく,支援者にも役に立つ,社会不安の入門書だ。

つまり,当事者であり,支援者でもある自分にとって,一石二鳥な内容だったのだ。

そこで,注目した点について,振り返ってみる。


社会不安の分類

社会不安といっても,様々な種類がある。
挙げられていた分類について,個人の解釈でわかりやすく記述してみる。

・内気…生活全般で不安を抱くが,苦しんではおらず,受け入れている
・あがり症…特定の場面で不安を抱き,苦しんでいる
・社会恐怖…特定の場面で不安を抱き,苦しいだけでなく,生活に支障もでている
・回避性人格障害…生活全般で不安を抱いており,苦しまないために社交を避ける

私の社会不安をこの分類に当てはめるとすると,「回避性人格障害」に当てはまるのだろう。

たくさんの人と交友を持つと面倒だから,交友を広げる場はできるだけ避けて通りたい。

しかし,この「面倒」は私なりの防衛で,回避行動だったのだと思う。

社会不安が強く,この苦しみを味わわないために,人との関わりを避けていたのだろう。

「回避性人格障害」について知ってはいたが,自身と照らし合わせてみると,自分が見透かされているようでなんだかくすぐったい。

回避性人格障害の問題

なぜ,私は「社会不安が強い」という認知があり,回避性人格障害について(ふんわり)知っていながら,今までここが繋がらなかったのだろう。

それは,自分が精神疾患ではないというスキーマがあったからだと考えられる。

人付き合いを避けるといっても,社会生活に大きな支障をきたすほどじゃないし…

と思っていた。

しかし,本書では以下のように述べられている。

こんなふうに苦手な状況を避け続けていると,やがては自ら進んで新しいことにチャレンジすることができなくなり,少しでもいつもと違う状況に遭遇しただけで大きな試練にぶつかったと感じるようになってしまう。

回避の癖がどんどんひどくなり,それに伴って挑戦のハードルがどんどん上がっていってしまう,ということか。

それは困る😭😭😭

でも,思い当たるところはある。

何か新しいことを始めるとき,過緊張状態になる。

これは,回避の癖の成れの果てなのかもしれない……。


社会不安の克服方法

このままじゃ嫌だ!!えーん!!!!!!

泣き喚いていたところですが,本書ではちゃんと克服方法も書かれています。

・薬物療法

・暴露療法
・認知療法
・認知行動療法

上記のように,薬物療法と非薬物療法がいくつか挙げられて,併用することが推奨されていた。

その中で,私が注目したのは,認知行動療法の大切なポイントとして挙げられていた,「上手にコミュニケーションする」能力を伸ばすプログラムについてだ。

このプログラムのステップは,以下の通りである。

第一段階:基本技術を習得する

①難易度の高くない状況で,スムーズにやり取りができるようになるためのシミュレーションをする。
(例 友だちと,カフェで軽食を取っている時,借りたお金を返してくれるよう要求する)
②医師がフィードバックをする
③再びその状況を演じる
④医師からの及第点をもらったら,日常生活でも同じことを実行する

第二段階:応用技術を習得する

①克服すべきシチュエーションを設定する。
②状況をシミュレーションする。
③第一段階で学んだ技術を思いだしながら,適切な応対について話し合う。
④シミュレーションを繰り返し,最善策を模索する。

ここで紹介されている事例のクライエントは,このプログラムを通して,実際の生活においてもうまく自己主張ができる機会が増えていったそうな。

このプログラムで興味深いと思ったところは,プログラムに実際に行ってみる過程がないことだ。

医師とシミュレーションを繰り返すことで,コミュニケーションの技術を身につけ,それに伴って実際のコミュニケーションが良くなったという次第だ。

でも考えてみると,医師との話し合いだって,立派なコミュニケーションだ。

治療関係を結んだ安全な関係性の中で,コミュニケーションについて話し合いながら,コミュニケーションすることは,意外にも,クライエントにとって効果的な訓練になるのかもしれない

まとめ

正直,この記事を書くことについて迷いがあった。

心理師が社会不安強いと言い張ることが,ネガティブな影響を与えるのではないか,という思いが拭えなかったからだ。

しかし,これから患者さんやクライエントの役に立つ心理支援を行っていくために,自身の特性と向き合い,その特性をどう扱っていくか知ることは,不可欠だと思う。

だから「回避」せずに,今後も向き合っていきたい。

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