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子どもの幸せ④(自己肯定感)だまされるな
ウサギ仙人(ウ仙)から子どもの自己肯定感について学んでいた亀子であったが、
ウ仙「『目標』と『目的』という言葉があるが、どっちが上位概念かわかるか?」
亀子「上位概念?」
ウ仙「たとえば『人生の目標』『人生の目的』だったら、最終ゴールはどっちかということじゃ。」
亀子「う~ん。どっちも同じような言葉だと思っていましたが、『目標』ですかね」
ウ仙「同じような言葉を比べる時には共通の文字は除外することじゃ。すなわち『目標』と『目的』でいえば、『標』と『的』ということじゃな。おぬしは弓道の経験はあるか?」
亀子「いや、ないです」
ウ仙「弓を射る時に、的を目指すんじゃが、的の真ん中に矢を刺すために、手前にある目印(標)を狙うんじゃ」
亀子「なんかボーリングの1番ピンにボールを当てるのに、レーンの真ん中にある三角形のマークを狙うみたいですね」
ウ仙「おぬしの言う通り、それもまったく同じ原理じゃのぅ」
亀子「わたくしって、いいセンスしてますよね?」
ウ仙「時々、鋭いことを言うのぅ」
亀子「時々・・・」
ウ仙「話を元に戻すと『的』と『標』だと『的』のほうが遠くにあって最終ゴールであり、『標』はその通過点に過ぎないのじゃ。だから『目的』と『目標』でも、
『目的』が上位概念で最終ゴールであり、『目標』は『目的』にたどり着くための通過地点ということ
になるのじゃ」
亀子「そういうことだったんですね」
ウ仙「『子育ての目的は何か』と問われれば、最終ゴールとして『子どもが幸せな人生を送ること』なんじゃが、そのための『目標』として、これまで伝授してきた『成長意欲』『共生意識』『ポジティブ思考』『自己肯定感』の4つを高めるということなんじゃ」
亀子「これまでの話がつながってきました」
ウ仙「おぬしがこれまでの話をどれくらい理解しているか、ちょっと試してみよう。次の詩はある有名人の言葉なんじゃ。おぬしが子どもに語るのであれば、この続きになんという言葉を続けるかの?3行くらい言葉を綴ってみてくれ」
人は何か一つくらい誇れるものを持っている。
何でもいい、それを見つけなさい。
勉強が駄目だったら、運動がある。
両方駄目だったら、君には優しさがある。
夢をもて、目的をもて、やれば出来る。
亀子「ずいぶんと前向きな詩ですね。ポジティブ思考を発揮すれば、こんな続きになりますね」
失敗してもあきらめるな。
君にはたくさんの仲間がいる。
仲間と一緒に夢を実現すればいいのだから
ウ仙「おぬしもなかなか詩人としての才能がありそうじゃのぅ」
亀子「やっとほめてもらえましたね」
ウ仙「しかしこの詩を書いた本人はこう続けとるんじゃな」
こんな言葉にだまされるな
こんな言葉にだまされるな、何も無くていいんだ。
人は生まれて、生きて死ぬ。
これだけでたいしたもんだ。
亀子「ガビーン!衝撃の内容ですね」
ウ仙「詩の前半はたしかに前向きな内容なんじゃが、それに乗っかってしまうと落とし穴にハマってしまう」
亀子「しかも世界の映画監督・北野武さんの言葉なんですね」
ウ仙「そうなんじゃ。おぬしは『風雲たけし城』とか『オレたちひょうきん族』というテレビ番組を知っておるか」
亀子「『ひょうきん族』って、懺悔して水をかけられる番組ですよね?」
ウ仙「まぁそのコーナーだけじゃないんじゃが、グレート義太夫の懺悔は有名じゃな。わしが子どもの頃は、土曜日夜8時からのテレビ番組と言えば、いかりや長介率いるドリフターズの『8時だよ。全員集合』と、たけし・島田紳助・明石家さんまといった大スターを生んだ『オレたちひょうきん族』のどちらかという感じじゃった」
亀子「どっちも見たい番組ですね」
ウ仙「当時はまだビデオもほとんどない時代じゃし、今みたいにテレビが一家一台という風潮が強かったので、どっちかの番組しか見れんかった。しかもまだテレビはリモコンもなく、チャンネルをダイヤル回して変えるタイプのものが多かったので、兄弟で見ていると力の強い年長者の意向が反映されることになっておった」
亀子「そんな時代があったのですね」
ウ仙「『風雲たけし城』が放映されている時には、たけしさんがフライデーを襲撃して逮捕されてしまったので、本人の格好をした着ぐるみが代わりに殿として出演しておったんじゃ」
亀子「今だったら問題起こったら、すぐに放映中止になるのに・・・考えられないですね」
ウ仙「しかしそんな人生いろいろを経験した、たけしさんだからこそ言葉の重みがあるな」
亀子「単なる映画監督の巨匠ではなかったのですね」
ウ仙「前回も言ったが、自己肯定感はありのままを認めるということじゃ」
亀子「そうでしたね」
ウ仙「親としては
夢がなくても、目的がなくても、生きているだけでたいしたもの
という心がまえでゆったりと子どもと向き合うことが、子育ての目的への遠回りのようで近道なんじゃ」
亀子「わかりました」
こうして亀子はレベルが上がった。
『目的』と『目標』の違いがわかり、言葉の表面にだまされないようになった。(つづく)