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『お父さん』って何?
ウサギ仙人(ウ仙)から『お母さん』の由来を教えてもらった亀子であったが、
亀子「『お母さん』は家庭の太陽って仰ってましたよね」
ウ仙「そうじゃ」
亀子「『お父さん』ってどういう意味なんですか?」
『お父さん』の語源は『お尊さん』
ウ仙「お父さんの語源は『お尊さん』なんじゃ。つまり『尊い存在』ってことじゃな」
亀子「なんかズルいですね」
ウ仙「ズルい?」
亀子「だって私は一生懸命子育てしているのに、何もしなくても『尊い存在』だなんて」
ウ仙「実はな、お父さんが『尊い存在』になるかどうかは、おぬしが決めるんじゃぞ」
亀子「わたしが?どういうことですか?」
ウ仙「その話の前に、『お父さん』の語源について少し話をしておこう」
『お父さん』は神様のように尊い人
ウ仙「おぬしは、日本の神話については知っておるな?」
亀子「日本の神話というと、『古事記』と『日本書紀』ですか?」
ウ仙「その通りじゃ。この神話にはたくさんの神様が登場するんじゃ」
亀子「知ってますよ。ヤマタノオロチを倒したのはスサノオノミコトだし、国譲りしたのはオオクニヌシノミコト、死んだあと白鳥になったのはヤマトタケルノミコトですね」
ウ仙「なかなかよく知っておるじゃないか」
亀子「『ドラえもん』のタイムベルトの話で、ヤマタノオロチが出てきたネタ元はここにあるんですよね」
ウ仙「そんな小ネタも知っておるんじゃな。『ドラえもん』じゃと、モンスターボールという道具から出てきた幻影だったようじゃがな」
亀子「ところでその神様たちと『お父さんが尊い』のと何の関係があるのですか?」
ウ仙「神様の名前に共通する『ミコト』という漢字は、『古事記』じゃと『命』という漢字を使うのじゃが、『日本書紀』じゃと『尊』という漢字を使うのじゃ」
亀子「たしかにヤマトタケルノミコトは『古事記』では『倭建命』ですが、『日本書紀』だと『日本武尊』ですものね」
ウ仙「そういうことじゃ。だから『お父さん』は神様のように尊い人という意味なんじゃ」
現実には神様になれない父親
ウ仙「ところが、現実には神様になれない父親が多いんじゃよ。読売新聞に掲載された『こどもの詩』を紹介しよう」
なんかつかれちゃった。
おとうさん
すこし
だまってもらっていい?
亀子「年少児が書いたとは思えない作文ですね」
ウ仙「実際は親が応募しておるからな。もう一つ紹介しよう」
おやすみのひ
ぱぱはいつもあそんでくれる
ままはいくじがたいへんって
いってたよ
ぱぱはこのはとあそんでばかりで
いいね
たまにはいくじでもしたら
亀子「ちゃんと育児しているパパなのに、娘に理解されなくてかわいそうですね」
ウ仙「子どもは自分の知っている言葉でしか物事を考えられないからのぅ」
亀子「どういうことですか?」
ウ仙「ある年長児の男の子が保育園で『ぼくは生まれた時ナメクジだったんだ』と何度も言うから、担任が母親に『生まれた時にナメクジだったんだ』と何度も言ってたことを報告すると、『この子、未熟児だったんです』と返答があったらしいのじゃ」
亀子「未熟児とナメクジを間違えたんですか」
ウ仙「年長児の子は未熟児なんて言う言葉を知らんから、自分の知っている『ナメクジ』という言葉に変換してしまったんじゃな」
亀子「そういうことですか」
ウ仙「次は沖縄の島の小学校1年生の女の子が書いた『お父さん』というタイトルの作文じゃな」
わたしの
おとうさんは
ちょっぴりうそつき
わたしの
きょねんの
たんじょうびに
「タバコをやめる。」
といったのに
まだずーっとタバコを
つづけているんだよ
できればはやく
タバコをはやく
やめればいいな
だっておとうさんの
からだに
わるいから
わたしのおとうさんが
びょうきになったら
いやだからだよ
にちかとかぞくのために
いつまでも
げんきにながいきして
ほしい
だから
やくそくはまもってね
亀子「お父さん思いのいい作文ですね。さすがに小学生になると違いますね」
ウ仙「実はこの続きがあるんじゃよ」
「うそつきは
どろぼうのはじまり」
おとうさんは
おまわりさんなんだから
亀子「泥棒を捕まえる仕事のお巡りさんがウソついたら、ダメですね」
ウ仙「いくら『お父さん』の語源が『神様のように尊い人』でもなかなか現実には神様になれないんじゃよ」
亀子「そう聞いて安心しました」
ウ仙「実はな、子どもの父親の評価は母親が鍵を握っているんじゃ
」
亀子「えー!そうなんですか?」
ウ仙「無論じゃ。でもこの話はまた次回」
こうして亀子のレベルが上がった。
亀子は『お父さん』の語源が『お尊さん』で、『神様のように尊い人』ということを学んだ。
しかし現実には神様になれない父親が多いようであった。
(「『お父さん』が神様になれるかどうかは『お母さん』のサジ加減」につづく)