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小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品

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無料の青空文庫で今すぐ読める、文学作品を紹介。肩の凝りそうな難しい話ではなく「楽しかった」と読み終えることができるものだけをピックアップする。
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記事一覧

近代文学・古書の旅 ~神保町で訪れた古書店・書店・喫茶店などのリスト~

近代文学・古書の旅 ~神保町で訪れた古書店・書店・喫茶店などのリスト~

 旅行中、訪れた店ごとに感想や品揃えの傾向及び感想を記していた。最初の方に行った所はどうしても不慣れなのもあり短めにはなっているが、足を運んだ所は全て書いている。
 今後、神保町の古書店街へ行くことを考えている人の参考になるかもしれないと思ったので、こちらも掲載する。ちなみに、下記に転載した神保町古書店マップでいうと、おおまかには右から左に回っていったイメージだ。

7月18日三茶書房

 近代文

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近代文学・古書の旅 ~大好きなあの小説の初版本を神保町で買ってみた~

近代文学・古書の旅 ~大好きなあの小説の初版本を神保町で買ってみた~

はじめに

 何事もないかのように毎日noteを更新していたが、別の記事でも触れたように一時帰国していた。去年も6月に日本へ帰ったが、その頃よりも新型コロナウイルスへの規制が緩和されたため、今回は出発する前から少し遠出がしたいと考えていた。
 何をしようかと色々考えたが、動けるのが基本的に平日になることを考えると、友人に連絡を取るのは少し憚られる。どうしようかと悩んだときに最初に思いついたのが、古

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小酒井不木「変な恋」

小酒井不木「変な恋」

 前回更新してから、1年以上が経過してしまった。実は書こうと思っていた小説の著作権が切れていなかったり、面白いと思ったら既に紹介した作家だったりといった事が続き、なかなか更新できなかったのだ。正直、もう見つからなかったらどうしよう、とも思ったのだが、文豪達のことを信じて重い腰を上げて探したところ、やはり見つかった。今回は、小酒井不木「変な恋」を紹介する。ちなみにカテゴリーとしては、ミステリー小説に

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太宰治「愛と美について」

太宰治「愛と美について」

 今日、2月3日は檀一雄の誕生日だ。ただ、彼の作品は青空文庫には入っていない。そこで本日は彼と親交の深かった太宰治の作品を取り上げることにしたい。

 そうは言っても正直な所で、太宰治を取り上げるのは腰が重い。世の中には彼を敬愛してやまない人も多いだろうし、何と言っても私は太宰治にある種の苦手意識を持っているからだ。そこの話は関係ないため割愛するが、今回紹介する作品は「人間失格」のように重くなく、

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小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品 その3 香倶土三鳥「お金とピストル」

小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品 その3 香倶土三鳥「お金とピストル」

 前回から随分と時間が空いてしまったが、第3回目の今回は超短編の作品「お金とピストル」を紹介する。作者の名前を見てピンと来る方も来ない方も、興味を持っていただけたら幸いだ。

 前回の「屋根裏の散歩者」を選ぶ過程で香倶土三鳥「オシャベリ姫」という作品を知った。こちらの作品も面白かったのだが、第2回を公開した後に見つけた「お金とピストル」を、個人的に気に入ったため今回はこの作品を紹介したい。

 ま

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小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品 その2 江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」

小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品 その2 江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」

 今回は日本の推理小説と言えば、即座に名前が思い浮かぶ人も多いであろう江戸川乱歩の作品から「屋根裏の散歩者」。

 前回の第1回では、国語便覧に絶対にキメ顔の写真付きで掲載されている、芥川龍之介の作品を紹介した。その続きで、今回も便覧で真面目くさった顔をしている文豪の作品を選ぶ予定だった。しかし、問題が発生。

 紹介したかった作品が、私の知識不足で実は著作権が切れていなかった。加えて別の作品を選

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小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品 その1 芥川龍之介「魔術」

小説家志望がすすめる青空文庫の面白い作品 その1 芥川龍之介「魔術」

今すぐ青空文庫で読める、ぜひ一読して欲しい小説を紹介する。初回は芥川龍之介「魔術」。

芥川龍之介と言えば、高校生なら教科書に載っている「羅生門」あたりが、真っ先に思い浮かぶかもしれない。小学生や中学生なら、青い鳥文庫等に収録されている「蜘蛛の糸」だろうか。

学校や教育関係者が推奨する作品は、芥川龍之介に限らず、どうも面白くない。いや、本来は面白い場合でも、そこに国語としての解や、道徳的な意味付

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